デート~候補地巡り~
「ふと、今ネカフェの場所ってどこでやってる?」
「●駅のAっていうネカフェ、それに▲駅のBっていうネカフェですね」
「そこでやってる理由は?」
「会員制ではないですし、ある程度広くて店員のチェックも甘いんです。会員制だと素性がネカフェにバレちゃいますし、何より会員じゃない人だと絶対来ませんから」
「なるほど」
「後は立地、途中で外出可か否か、フラットシートがあるかどうか、カップルシートがあるかどうか等もあります」
「なるほど、了解」
「ただ、出来ればもう少し場所の分散したいですね。出禁くらったりするケースだってあるでしょうし、同じ場所ばかりだと業者だと思われたりしちゃいますし」
「……じゃ、手始めにネカフェ新規開拓に行く?」
「はい♪ 行きましょう~」
──1件目、C店
「取りあえずネットで検索して条件に当てはまりそうな場所をピックして実際来てみたけど、ここどう?」
「ん~~、オープンシートとの距離が近すぎてちょっと目立ちそうです。ここはダメですね」
「了解、次いこか」
──3件目、E店
「ここは?」
「悪くないですけど、ちょっと説明するのに難しい場所ですから、NGです」
──5件目、G店
「ここは?」
「いいかも! ちゃんと鍵もかかりますし、いい感じに静かですし。ここ、候補にしましょう! ちょっと疲れましたので、休んでいきましょ♪」
「あ、そうだね」
「そういえば、こないだ────」
「──! へぇ~、そんな事があったんだ~」
「でね♪────」
──30分後
(コンコン……)
「あ、はい……」
「すいません、静かにして貰えないでしょうか? 他のお客様からクレームが入りまして……」(by.店員)
「あ、す、すいません……」
「よろしくお願いします」(店員退散)
「……そんな声、大きかったかなぁ。まさか店員来るとは思わなかったよ」
「たまたまですよ。それで話の続きなんですけど~────」
──更に30分後
(コンコンコンコン!)
「あ、はい。何でしょう?」
「他のお客様の迷惑になりますので、出て行って下さい!!」
「え? 別に喋っちゃダメって書いてないじゃん」
「限度っていうものがあります! お代は結構ですから、2度と来ないで下さい!!」
──追い出されて車内での会話
「……生まれて初めて出禁喰らっちゃったよ」
「wwwwwww」
「喋っちゃダメなら、その旨最初に伝えておけっつ~の」
「wwwwwww」
「話声が気になるなら、図書館いって勉強でもしてろっつ~の」
「wwwwww その通りなんですけど、ほら──隣の人達、してたじゃないですか」
「──ん? 何を?」
「狭いカップルシートで男女がする事なんて、普通は一つですよね♪」
「──は? Hしてたの? まさか~」
「いやぁ、今の時代、ネカフェをホテル代わりにするカップルは多いですよ。だから、話声が気になって出来なかったんじゃないですか?」
「うわ、それは悪い事したかも」
「い~え、いい気味ですよ。まさか苦情が入って出禁になるとは思いませんでしたが、そのつもりでちょっと声大きく話してましたので♪」
「うわ……まさか意図的だったとは……男の人、これがきっかけでインポになったりして──ヒド!」
「wwwwwww」
──ユキさんの悪戯心(嫌がらせ?)も相まって候補地探しは想像以上に難航、2日間で20件のネカフェを巡り、実に4件もの出禁を喰らう事となった。