勘違い男ー説教する男ー
「……っとムカつく!」
「ん? どうしたの??」
「ちょっとこれ、見て下さいよ!」
「んー、なになに? えーっと、”こんな事は早く卒業して普通の仕事しな? いつか痛い目に合うよ”、だとー?」
「私、偉そうに説教されるのがいっちばん嫌いなんです!!」
「……100歩譲って説教するのはいいとして、一度お客として来てこんな事言っても説得力も何もあったもんじゃないね。この人、何しに来た人だっけ?」
「確か──紺ソ生脱ぎ買って、オプションで私の足の匂い嗅ぎながらのオナ見ですね」
「……そんなフェチをぶつけるだけぶつけて、説教? 何考えてるんだろ?」
「きっと、説教する俺カッコいいー、そんな俺に惚れるかもー、なんて考えてるんじゃないです?」
「わー、この人、私の事本気で心配してくれて怒ってくれるんだーって? 何の漫画やドラマ見たらそういう思考回路になるんだろ? アホじゃない?」
「第一、説教の仕方も間違ってます!」
「──え? どういう事?」
「今のアダルトの裏の仕事を辞めさせたいなら、それに見合う対価を提示するのが筋ってもんです」
「確かに、ね」
「風俗でも案外いるんです。こんな仕事辞めて普通に働いたら? って言う人。 みんな事情があって高給な風俗で働いている訳ですから、そういう事言うなら、事情を聞いてそれに見合う対価を提示すべきです!」
「確かに言うだけいって、代案も何も提示しない人ばっかだからねぇ」
「まだ月20万で愛人にならないか、という人のがマシです。 ま、私はその額では無理ですけどね♪」
「みのりちゃんの対価だと──月50万……じゃ無理か。その倍??」
「ま、100万だったら本気で考えるかも、ですねw」
「みのりちゃんを辞めさせるならそのくらいの対価は必要だろうね、確かに……」
「その点、ジュンさんは凄いですよ。私に素晴らしい代案提示して見事風俗から足を洗わせましたからね♡」
「──?! え、え~っと……お、俺が辞めさせた事になってるの? あ、あれ? 結果だけみれば確かにその通りかもだけど……」
「長年働いてVIP待遇受けていたこの私にお店を辞める決心させた人は今までいませんでしたから、誇っていいですよ♪」
「い、いや……俺、辞めてくれって言った事、一切ない様な……組んでやってるのは事実だけど──」
「今まで数えきれない程、風俗から足を洗えって言われてきては突っぱねてきたこの私をジュンさんはわずか1カ月で堕とした訳ですから。これからも責任取ってお小遣い、たっくさーん下さいね、パパ♡」
「──怖いよ!」
「wwwwwww」
「──で、どーする? この説教男。テキトーに踊らせて貢君にする?」
「この人、どう見てもお金持ってなさそうですから、放置でいいです」
「ラジャ。って……あれ? この人、りえちゃんにメール来てる。 ──足フェチです、いじめて下さい……だとー!」
「……面白いからアポ取って下さい。 りえちゃんの私に会ったらどんな顔するか見てみたいです^ ^」
「そこまでする気あるんだったら、りえちゃんとみのりちゃんは親友設定にして、自尊心プライド破壊してみのりちゃんの忠実な足奴隷に仕上げるよ。頭の中で絵が完成したから、多分いけるよ」
「じゃ、お願いしまーす♪」
──とにかく、説教男は嫌われるよ、というお話でした。説教するなら代案・対価を提示するのが筋ですよ、と。……みのりちゃんのケースは全く参考にならないでしょうが……
※次話公開は9/26 21時頃です。