見えない苦労(2)
「あ、次の人来たって。カップルシートとって、92-93の部屋だって」
「──! それ、隣ですよ!!」
「──!! (息を潜めるように小さな声で)じゃ、気をつけて……」
「(囁き声で)行ってきまーす」
──20分後──
「ガチャッ(囁き声で)ただいまー」
「(同じく囁き声で)お疲れ様、大丈夫だった?」
「(囁き声)はい。次はどうなってますか?」
「(囁き声)ちょっと時間空いて1時間後かな。隣、まだいる?」
「(ドアに耳あてて)今ゴソゴソしてますのでもう帰ると思います」
──5分後──
ガチャッ
「(音が鳴って数秒後、そーっとドアを開け覗きこみ)今出てきましたー!」
「ふぅーーー、なんか不思議な緊張感漂ったよ」
「バレたらどうなったでしょうね?」
「んーーー、お父さんという事にしとく? 娘がお世話になってます、とかいって」
「娘にパンツ売らせたりオテテさせる父親、イヤダー!」
「wwwwww」
「wwwwww」
──基本カップルシートでやっていたのでお客さんの近くというケースは少なかったですが、中にはわざわざカップルシートを取って待機しているお客さんも。隣にお客さんがいたケースは、これを含めて3回程ありました。その度、この様にドキドキを経験していたものです。
※次話公開は9/26 20時頃です。