見えない苦労
「あ、次の人、ストッキングとパンツねー」
「はーい。……んしょ、うんーしょ」(真横でスカート捲り上げ、パンツとストッキング装着する図)
「……ふぅ──」(隣で生着替え中にも関わらず、我関せずタバコ吸いながらPCとにらめっこの図)
「シュッシュー、わっクサッ!」(念入りに股間部分と足にスプレーしてその匂いにしかめっ面する図)
「フッ……」(いつもの光景に、思わず鼻で笑う図)
「ふー、用意出来ましたので、行ってきまーす!」
──5分後──
「ただいまーー。ついでに唾も売ってきましたー。はい、お願いしまーす」(貰ってきたお金を差し出す図)
「お! お疲れー。スッ」(伝票にお金を挟む図)
「あ、また来たよ。今度はストッキングだけだって」
「えーーー、またですかー、りょーかい。……んしょ、うんーしょ」
「……あ、ごめん。パンツだけだって」
「うぅ、了解」(速攻でストッキング脱ぐ図)
「いっその事、ストッキング履いてったら?」
「いーえ、パンツ売った後、ノーパンでストッキング履かなくちゃいけないじゃないですか。 それじゃ変態ですよ!」
「ま、確かに。って、先日パンツ在庫なくなってその恰好で過ごしてたじゃん」
「えぇ……あの経験で分かった事は、私は露出の趣味を持ち合わせていないと分かった事です。二度とあんな恥ずかしい思いしたくないです!」
「……なるほど、了解」
「じゃ、行ってきまーす」
──お互い恥も外見もないカップルシートでのごく当たり前の風景です、これが。
※次話公開は9/26 01時頃です。