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婚約者候補

ジャック目線でのお話しです。

 あの次の日チャーリーとアンドレアに話をした。


「今回はゲームじゃない。」

「はっ?ゲームじゃないって?・・・まさか本気だった?」

「ああ、確かに始まりはゲームでいつもと同じだった。でもサラと話をしていくうちに、いつの間にか彼女に惹かれていた。こんな気持ち初めてだった。・・・あの日お前たちにサラの事を聞かれるまですっかり忘れていたよ、ゲームだったって事。」


 話を聞いた二人も何とかサラともう一度話をする期会を作ろうと頑張ってくれたが、結局一言も話が出来ないまま夏季休暇に入ってしまった。





 休暇に入って暫くした日、俺はチャーリー達と久しぶりに出かけていた。もうそろそろ帰ろうかという頃、アンドレアが言いにくそうに話しだした。


「あのさ、こんな時に言うのもなんだけど・・・あのさ、ハーボット嬢の事なんだけど、ホントか分かんないよ?あの・・・」

「あー、まどろっこしい!早く言え!」

「この前チラッと聞いたんだけど、誰かと婚約するかもって。」

「はっ?」

「誰と!」

「僕だって分からないよ、大人たちが話してるの通りすがりに聞いただけだから。」


 ダメだ、絶対にダメだ。気持ちだけが焦る。『時間を置けばもう一度サラも話を聞いてくれるだろう、だからこの2か月近い休暇はちょうどいい。』そんなふうに簡単に思っていた。とりあえず情報を集めなければ。

 二人に手伝ってもらい何とか情報を集めた。まだハーボット家に正式な申し込みをしたものはいない、ただ数家で婚約者候補としてサラの名前が上がっているのは確かだった。みな前回の婚約解消から半年も経っていないことを考え、時期を見計らっているといったとこだろう。



 俺にはまだ婚約者はいない。父は俺の結婚についてどう思っているのだろう。もし今俺が結婚について話を自分からすることで墓穴をほる可能性はある、でも今俺には躊躇っている時間はない。


「父さん、聞きたいことがあるのですが。」

「何だ?珍しいな、お前から質問とは。」


 のんびりとお茶を楽しんでいた手が止まった。


「俺には今、婚約者はいませんよね?」

「ああ。ただ決定はしていないが候補者ならいるぞ?」

「えっ?」

「お前はまだ会ったことが無いな。タージル国のオリヴィア姫だ。オリヴィア姫はまだ13歳だから、お前が学院を卒業する前に婚約を交わす予定でいたんだが。」


 最悪だ・・・、公になってないだけで俺には婚約者がもういたのか・・・。


「どうした?黙り込んで。」

「・・・あの、それは決定事項ですよね・・・。」

「ん?」


 貴族の令嬢ならまだしも王女様。父は宰相で公爵様、その後を継ぐ俺は上位貴族もしくは王女様の嫁ぎ先にはもってこいと言う事か。貴族の恋愛結婚なんて稀も稀。婚約してから、結婚してから愛を育む、もしくは良い関係築くのが当たり前。もし良き関係が築けなくとも貴族のほぼ義務となっている子作りをし、後はお互いに自由に過ごすなんて事も珍しくはない。

 王女様には申し訳ないが、今の入れなら確実に後者になりそうだ。


「ジャック、好きな子でも出来たか?しかもそんな話をすると言う事は相手は貴族か。」

「・・・」

「王女との話は決定ではないよ。お前が産まれて祝いに来てくれたサーチス国王と俺が酒の席で話しただけだからな。アイツとは旧友でな。」

「では、サラ・・・ハーボット家のサラ嬢ではダメでしょうか。」


 黙っていてはチャンスもやって来ない、腹をくくり父に提案した。


「サラ・ハーボットか。彼女は確か半年前にノヴィック家と婚約解消したんだったな。」

「はい。サラに何も落ち度はありません!」

「うん、知っているよ。」

「他にも数家、サラに婚約申し込みを考えている家があると聞きました。サラを他の誰にも譲りたくはない。」

「そうか・・・」


 そう言った後、父はその話をすることは無かった。




 俺はただ悔いる日々を送っていた。

 もうすぐ休暇も終わる、領地に戻っていたサラも帰って来るだろう。学院が始まればサラの顔が見れる、もう話をする事も出来ないかもしれない。もしオリヴィア妃との婚約話が進めば、どのみち今までのように彼女と一緒にいる事はできないのだ。

 ただ顔を見れるだけでいい、もう一度彼女が笑っている姿を見たい。


 後1週間で休暇も終わる、そんな時父から話があった。


「ハーボット家に婚約を申し込んできた。」


 はっ?父は今なんと言った?サラと俺が婚約?

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