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夏季休暇

予約投稿したつもりが出来てない?

もしダブっての投稿になってたらゴメンナサイ。

 あの教室でのジャック様とお友達の会話を聞いて以来、クラスが同じジャック様と会わずに過ごすというのはムリだが、お話は一度もしていない。私自身まだどのように対してよいのか分からず避けていることもあるが、私より話を聞いたマーガレットとエレナ、クロエの3人が作り出す壁が鉄壁すぎて、ジャック様はもちろんであるが友達のハボット様、ペータース様も私に近づく事が出来ないのだ。


 そしてそのまま夏季休暇に入り母、弟、妹と共に領地に戻った。父は王宮での仕事があるため休暇が終わる最後の数日しか戻ってくることは出来ない。領地には祖父母が住んでいる。会えるが楽しみだ。


「サラ、いらっしゃい。」


 祖母が優しい笑顔で出迎えてくれた。父や母からリュカ様との婚約が解消になった事を聞いているのだろう。『元気そうでよかった。』と小さな子をあやすようにギュッと抱きしめて頭を撫でてくれる。

 普段は自分が本当は沙良である事を完全に忘れているぐらい、この世界に馴染んでいるが、こういう時はサラを思い出し『サラは本当にみんなから愛されていたんだな』と感じる。



「おばあ様、2週間後に私の学院のお友達が3人遊びに来てくれるの。何処に行こうかしら。」

「ちゃんと聞いてますよ。イーサン、若い子が喜びそうな所調べてくれた?」

「はい、奥様。みなにも協力してもらいリストを作成してあります。食後のお茶の時間にお持ちします。」

「イーサンとみんなが考えてくれたの?ありがとう、リストを見るのが楽しみだわ。」

「サラお嬢様のお役にたてて光栄です。」




 2週間後、マーガレット達がやってきた。


「みんな、待ってたわ。いらっしゃい!」

「サラー、久しぶり。1週間お世話になります。」

「自分の家だと思ってくつろいでね。」


 母もおばあ様もニコニコと出迎えている。昼過ぎに到着したその日はさすがに邸内でイーサンやみんなが作ってくれたリストを見ながら明日からの予定をたて、ゆっくりと過ごした。次の日からはリストの場所を次々と回り1週間はあっという間に過ぎていった。


「もう帰っちゃうのね・・・。」

「もう、そんな顔しないで。休みも半分終わったし、直ぐに会えるわよ。」

「そうだけど・・・。」

「それに、そろそろエマにサラを返さないとね。」


 チラッと玄関の方を見てマーガレットが言う。そうなのだ、普段学院に通っているためエマとの時間がほとんど取れない私。エマはこの長期休暇を誰よりも楽しみにしていたのである。それなのに1週間も姉との時間を取られたのである。マーガレット達がやってきた初日はご機嫌でだった、だが私達が連日出かけるたび留守番をさせられるので、ここ2日間のキゲンの悪さはこの上ない。


「みんな、気を付けてね。」


 馬車が見えなくなるまで手を振り見送り家の中に入った。すると直ぐにエマが抱きついてきた。


「姉さま?あとは、ずーっとエマと一緒よね?」


 もう、エマ可愛い!!

 

 エマは宣言通りホントにずっと離してくれなかった。昼間はもちろんの事、お風呂や就寝に至るまで。母やおばあ様が何を言っても聞かないのだ。さすがに疲れたと思っていた時救いの声


「今日は兄さまとお散歩行かない?」


 とハリーが誘ってくれた。しかし瞬殺で


「行かない!行くなら姉さまと行くから!」


 と完全お断りである。

 まあいいか、エマ可愛いいし。休暇が終わればまた相手してあげれないしね。




 あと1週間で夏季休暇も終わりという頃になって、やっとお父様が領地にやってきた。

 しかも驚く話を持って。



「サラにはなしがある。リュカと婚約解消してまだ半年近くしか経ってないが、お前に婚約の話がきている。相手はお前もよく知っているグルーバー公爵家の長男ジャック様だ。」


 やっとお父様が領地に帰って来たと思ったら、いきなりこの爆弾発言である。

 『グルーバー公爵家の長男ジャック様だ。』

 私はお父様が語った言葉を頭の中でループさせたまま動けずにいた。


 なぜ?私何かした?


 ジャック様との事は家族は知らない。これ以上心配をかけるわけにはいかないので絶対に知られてはいけない。零れ落ちそうになる涙をグッとこらえた。

 何も言えずにいる私の代わりにハリーが質問した。


「貴族だから自分の思いだけで結婚出来ないのは分かります。でも姉さんはリュカとの解消から半年も経ってません。しかも・・・」

「ハリー、お前が言いたい事は分かっているよ。父さんも話を聞いた時驚いたし、相手は公爵家だと分かっていたが断りを入れた。でも先方から『ノヴィック子息との話は知っている。返事は直ぐに出さなくていい、サラ嬢がまだそんな気持ちになれないと言うなら断ってもらってもいい。』そう言われた。」

「・・・お父様、それはお断りしてもよいと?」

「いや、いくら断りを入れてもらっていいと言われても、直ぐに返事はでいないよ。サラの気持ちを優先させていいと仰って下さってるんだ、暫く考えても無理なようなら今回は断りをいれるから。」

「はい。」


 ジャック様もこの話を聞いただろう。どんな思いで聞いたのだろうか。父親にゲームをして遊んでいた相手ですなんて言えないだろう。たぶんジャック様も困っているだろう、暫く時間を置いて断りを入れてもらおうと決めた。


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