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ダンジョンの奥地で

「俺様が先に降りるから、待っていてくれ」

「分かったわ、気をつけなさい」


 手袋を取り出し、梯子を降りる。足を踏み外さないように注意しながら、七メートルくらい降りただろうか。鉄の扉があった。

 鍵は錆び付いていたので、壊して通る。地下とは思えない広い空間に、そこそこ大きな地下水が流れていた。特に整備もされていないようで壁には魔力を帯びた鉱石が光っている。


 その一種幻想的な空間にいたのは、高さは三メートル、横幅は五メートルはありそうな巨大なスライムであった。


「大きいな、このサイズは初めて見たぞ」


 どうやらスライムに敵意はないらしい。こちらに意識を向けた風ではあるが、攻撃してきたりはしない。強い魔力を帯びた水色の体が光っているだけだ。


「エルザ、降りてきていいぞ。大きなスライムがいるが危険はなさそうだ」

「わかったわ」


 彼女はあの服で器用に降りてくる。汚れた中を通ってくるが、ほとんど汚れていない。


「きゃっ!?さ、さすがに大きいわね…ちょっとビックリしちゃったわ」


 あまりの大きさに少し引いている。確かに、驚くのも無理はない。


 すると、なんとそのスライムは縮小を始めた。


「え!?」

「小さくなった!?」


 最終的に縦三十センチメートル横五十センチメートルくらいの大きさになる。ぷよぷよと震えている。


「もしかして、言葉がわかるのか?」


 スライムはぽよんと跳ねる。


「懐くものもいるとは聞いていたが、まさかこれほど賢いとは」


 ぽよんぽよんと跳ねた。どうやら胸を張っているようだ。


「うーん。でも私達はこの子が言っていることはわかんないわね」

「ふっふっふっ…」

「何よ、急に」

「昨日俺様が読んでいた本は従魔術についての本だ」

「そういえば昨日私はお着替えしてたものね」


 ジェロムは偉大だった。英雄はやはり偉大だ。


「そこになんと!『モンスターとの意思疎通』という魔術があったのだ!詠唱も覚えてきた!」


 まさかこんなに早く使う時が来るとは。覚えていたら便利だろうとは思ったが、素晴らしい。


「なるほど、それなら話せるわね!」


 ぷるぷると跳ねているスライムに手をかざし、詠唱する。


「いざ、いざ!人の知を奉り、魔の知を戴かん!『フィール』!」


テケリ・リ!テケリ・リ!

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