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四日目

「君の手料理が食べたい」

「は?」

今日は土曜日。どうやらまだぼくには曜日感覚はあるようだ。

大学も休みなので、一日中彼女といちゃいちゃできるってわけだよフフフ。

というわけで。

「お願いします!!!!お昼ご飯作ってください!!!」

土下座した。見よぼくの綺麗なジャパニーズ・ドゲザ。

「言っている意味が分からない……イカレているのか?この状況で……」

「イカレてる云々はもう今更だよ!一度でいいからぼくは君の手料理が食べたいんだよ!!!」

そう。ぼくはまだ彼女の料理を食べたことがない。

と言うのは、ぼくらは家事を各自で分担して行っているのである。

ぼくが料理と掃除関係、彼女が洗濯や買い物と言った具合だ。

同棲する前にも色々と機会はあったのだが、彼女は強力なセコム……お兄さんと同居していた為なかなか言い出せなかったのだ……

彼女のお兄さん……めちゃくちゃ怖かったんだよ……彼女以上に無口なのに、彼女とは意思疎通が図れてるのが余計やばい。

兄妹の繋がりってやつ?あ、なんかむかつく。

同棲も一番苦労したのがお兄さんの説得だった。あの人頑として首を縦に振らないんだよ……

なんか結婚の許可を取りに行く以上に緊張した思い出がある。あ、いやまだご両親にはご挨拶行ってないよ?

ぼくいつも話脱線してるな?この癖どうにかしたほうがいいかな?

そんなわけでぼくは今(彼女に対する)なけなしのプライドもかなぐり捨ててこうして懇願している。

「…………別にいいんだが……とりあえず顔を上げろ」

「ふぁあい……」

無理やり顎掴まれて顎クイされた……うそ……ぼくの彼女イケメンすぎ……?

「先に断わっておくが……私はまともに料理をしたことがないんでな……味の保証はできねーぜ」

「君の手作りならなんでもいいでずううう」

やった!!第4話完ッ!

いや終わんないけど!完全勝利だよこれは!流れ変わったな!

「言質取ったからね!?絶対作ってよ!」

「げん……?ようわからんが、喰いてぇってんなら作ってやる」

半ば呆れたような顔で言われたが、これはぼくにとってはアポロ11号が月に行ったってくらい大きな進歩である。

いやあれ本当はウソだって話あるけどぼくはまだ信じてます。ロマンがあるじゃろ?

というわけで時間をお昼まで飛ばす。

ぼくの目の前には見た目はごく普通のナポリタンが置かれている。

そしてその向かいには神妙な顔をしている(ように見える)彼女。

では……いざ、実食ッ!

……

………

あ、意外とおいし

「ンっっっっッッ!?」

な……なん……!?えっ!?なにこれ!?あつ……寒い……いや暑い?え??

「…………どうだ」

「あ゛っ……え、え?えと……悪いんだけど、これ、何か……」

「……実は、隠し味にこれを入れてみたんだが……」

「ウェッ」

彼女が持っていたもの。

それは、デスソース。

そうです。有名なアレです。

やばいです。ナポリタンだと思ってたのはボルチーニでした。やばいです。

大事なことなので二回言いました。口の中が灼熱です。

忘れてた。彼女は……辛党だったのだ……

しかし、彼女が作ってくれた手前、吐き出すわけにはいかず、絶えず流れる汗も構わずに完食しました。

こいつは……なかなかヘビーだ、ぜ……

下世話な話だが、次の日のトイレは地獄でした。これは言わずともわかってください。やばい。

ほんと、ぼくが料理当番でよかった……彼女を軽い気持ちで台所に入れるべきじゃあないってことがよくわかりました……ウッ

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