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十日目

おはよう、こんにちは、こんばんは。ぼくです。

あれから毎日のように苦行(と言う名のお風呂)を強いられています。

いや、それはいいんだけど(?)、今は別の問題を抱えています。それは、

「また眠れなかった……」

そう、不眠。

ここの所毎日のように妙な夢を見るのである。屋上から飛び降りる夢から始まり、電車に飛び込む夢、海に落ちる夢……

って、全部自殺してる夢じゃあないかッ!!どうなってるんだ!!

というわけで、そんな後味の悪すぎる夢を毎日見続けたらどうなる?こうなる。

あまりにやつれているから彼女に心配されてしまった。情けない……

これはいけない。これではいつか精神が参って本当にやらかしてしまうかもしれない。

ので。ぼくは試しに以前お調子者である3人目の友人に勧められていた映画をレンタルして見ることにしたのである。

気分転換という奴だ。これで少しは安眠を獲得できれば儲け物だが……

あ、万全を期して許可を得たうえで彼女名義で借りました。便利だね。ネットでDVD借りれるのって。

それで今日DVDが届いたのですが

「俺も見る」

と彼女が言い出したのでなんちゃって上映会をすることにした。珍しいな、こういうのに興味あったのか。

「恋愛映画みたいだけどいいの?興味なさそうだなって思ってた」

「てめー、俺をなんだと思ってやがる……」

いて。ちょっと蹴られた。でも可愛いから許す。

カーテンを閉めて、電気消して……準備はできた。

ではいざ、上映。

で。結果としては。

めっちゃ泣いた。

感動モノの恋愛映画だったようで、ぼくはこれ以上ないってくらい泣いた。おっかしいな、ぼくこんなキャラだったっけ……

内容としては、完璧主義の家に生まれ、努力したにもかかわらず「出来損ない」の烙印を押されてしまい亡霊のように生きていた主人公がヒロインと出会って幸せになると言ったものだった。

うん。ぼく、なんだかその主人公と自分を重ねてしまって、なんか、もう、泣いた。

ほとんどぼくと似たような境遇だったから……

でも、この映画は最後、ハッピーエンドで締めくくられている。

ぼくはきっと違う。

幸せって言うのは長く続かない。

でも、それでも、彼女といるこの幸せだけは、できるだけ長く続いてほしい。

映画が終わってもぐずぐず言っていたぼくを心配してなのか、少々乱暴ではあるがぐちゃぐちゃになった顔をティシューで拭いてくれた。優しい……

「お前がここまで泣くとはな。珍しいこともあるもんだ」

「それ地味にぼくのことディスってない?……まぁ、自分でも驚きなんだけどさ」

「あれぐらい泣いたのは幼稚園にいた時くらいだろうな。俺が知ってる限りでは」

「そうそう、あの時は…………ん?」

「あ?」

「え?なんで君がぼくの幼稚園時代を知ってるの?」

「は?」

「んん?」

あれ?なんかおかしいな。ぼくの中では彼女とは中学時代からの付き合いなんだけど

「てめー……まさか」

「えっ……え??」

急に彼女の顔が険しくなったかと思えば、次の瞬間にはぼくは思いっきり殴り飛ばされていました。え、理不尽……

「いったあ……これ腫れる奴だ……」

「チッ……思い出すかと思ったがそう上手くはいかねェな」

「えっなに?ぼくなんかした?めちゃくちゃ痛いよ?別の意味でまた泣いちゃうよ?」

「てめーがまるっきり俺のことを忘れてるからだろうが」

「えっ、えー……」

彼女の話によると、どうやらぼくらは幼稚園時代からの幼馴染のようなもので、小学生時代の記憶がないのは彼女がその時6年間外国にいたからだそうで。

彼女は幼稚園のころからぼくに惚れてたけど肝心のぼくが全くの鈍感野郎で思いを伝えきれずに家の都合で外国へ。

そして中学生になってやっと帰ってきて再会できたと思ったらなんとぼくは完全に彼女のことを忘れてしまっていたということだ。

そのころのぼくはあまり人と接することができなくてほとんど距離を置いていたから、まともに人を見ることもなかったわけで……

そのせいでまともに会話したこともなかったので気づかなかった……らしい。

本当にずっと一緒にいたの?って聞いたら昔の写真を見せてきた。

「あっ……」

顔を見て愕然とした。何って、彼女の変貌ぶり。

今は一睨みするだけでヤクザも竦みあがるような高圧的な出で立ちになってしまっているが、幼い彼女はこう……ゆるふわ系ロリだった……ほっぺたふにふにしたい……

いや、待って。ぼくはロリコンじゃあない。彼女が好きすぎるだけだ。

そこまで来てようやく思い出した。昔彼女がいじめられてたのを結果的に助けてそれ以来彼女はぼくにべったりだったのだ。

「えと……あの、ごめん……」

「ようやっと思い出したみてーだな……やれやれって感じだぜ」

「うん……いやだってこうも変わってると……気付きにくいって言うか……」

「あ?」

「あああなんでもないですぅうすみませんすみません」

平身低頭で必死で謝りました。許してもらえました。やだ、好き……

しかしこの後、詫びと称してあんなことやこんなことをされたのは秘密。

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