19話 石鹸が無いなら作ればいいだろ
さて、ここでの生活は今日で1ヵ月だ。勉強頑張った。俺、超頑張った。授業も大分進んだ。順調すぎたらしく、今日からは夏休みとして2週間ほど教師陣が帰ることもできている。俺も休みだ。まだまだ、叱責を受けるのだが、本当に順調なのだろうか。まあ、休みは大切だよな
そして、折角の夏休みなので、ミカリスに調薬セットを頼んだ。俺の我慢も限界だったんだ。せっかくまともな風呂に入れると思ったのに何故、ここには石鹸が無いんだ。俺は我慢したと思う。森にいた時に、石鹸作りに取りかかろうとしたその日にここにきたので、材料はある。後は作るだけだ
聞いたところ、泡の花のエキスを抽出し、固めた石鹸はあるにはあるらしい。だが、作るのに手間がかかる上に、作っている人も少ない、製法も公開されていないので、王族や一部の貴族しか使えないとか。伯爵家でも、一部のお金を持っている方々が偶に使うくらいだから、その数の少なさが分かるだろう
後、シャンプーやリンスは無いらしく、王族や貴族でも洗うだけだ。以前石鹸で洗ったら髪が傷んだと噂が流れたらしい。情報源は奥さんだ。俺は思った。この世界でもそうなんだなと
まあ、泡の花は森に沢山生えてるし、必要なら栽培でもすればいいし、石鹸と、シャンプー、リンス作りやりますかね。あれ?夏休みなのに俺休んでないな
……難しすぎる。やはり、専用の魔道具とかいるのだろうか。気分転換に普通の傷薬とか風邪薬とか作ろう。それにしても、何でこの世界にはポーションとか無いんだろうか。魔法があるならあっても良いと思うんだが。だから、治癒属性が希少なのか?
何にしても、ポーション作りたかったな
これとこれをゴリゴリゴリゴリ……細かくすり潰す。1:2で混ぜてから水を加えてネリネリネリネリ……。容器に移して傷薬の完成!これ、最初は凄く失敗したんだよな。配合とかすり潰し過ぎたり、逆にすり潰し足りなかったり。水入れすぎたり……俺、頑張ったわぁ
あれ、これ応用したらハンドクリーム的なの出来ないか?……よし、作ろう。余ったら奥さんにあげよう。使用人さん達にもあげよう。あ、同じものだったら拙いかな。奥さんのは匂いを付けよう。何の香りにしようか。ここは、色々作ってみるか
やる気が出てきた。やっぱりいきなり難しい物じゃなくて出来そうなものから始めないとな
よし、1日かかったけど無事試作品が出来たな。これを1週間くらい試して効果があったら、奥さん達に渡そう
さて、息抜きも終わったし勉強しよう。その後、またシャンプー等を作ろう。ここに居ると勉強に集中出来なさそうだな。薬草の匂いがめっちゃするし。書斎行くか。いつまでもミカリスに本を持ってきて貰う訳にも行かなかったので、教えてもらったのだ。結構本があって、何度も通っている。小説とかは無くて、エッセイや、子供向けの絵本や、学術書があった。小説書いたら売れるんじゃないだろうか。ないか。まず、小説なんて書けないし
途中、ミカリスに会ったので、書斎に行くと伝えて行った。なんか、眉間が少しだけピクってしたけど、どうしたんだろう。まあ、その後笑顔で返事したので、気のせいかも知れない




