14話 言葉遣いって難しい
「では、坊ちゃん。」
「は、はい」
「早速ですが、本日は言葉遣いの練習を致しましょうか」
ミカリスさん……お手柔らかにお願いします。なんか怖い
「坊ちゃん。まずは綺麗な言葉遣いを覚えましょうか。それから、話す事にも慣れていきましょう」
「はい」
貴族らしくって事ですね
「大丈夫でございます。ヤーデル家は子爵ですので、ある程度出来れば良いのです」
「いえ、やるからには、出来るところまで、やりたい、です」
この世界は何故か日本語だから、少しの言い間違いや、言い方の違いで不敬罪とかになったりしたら……何それ怖い超怖い
「素晴らしい心掛けですな。では、始めましょうか」
「では、本日はここまでに致しましょう。夕食の準備が整い次第お呼び致します」
つ、疲れた。いや、頑張れ俺。まだ1日めだ。勉強は始まったばかりなんだ。負けるな
……ミカリスさんスパルタだったな
綺麗な言葉遣いって、意外と知らないよね。ボロ出すの怖いし、これから外面は敬語キャラでいこうかな。猫被っとこう。不敬罪怖い
よし、早いとこ敬語キャラ定着させよう。男だということにも、1年で大分慣れたんだ。女らしい趣味とかの部分は、どうにもならない。言動がこれだけ変わったことを誰か褒めて欲しい。誰もいないけど。
敬語の方が難易度的には低いだろう。うん。最大の難所を乗り越えている俺には多分どんな精神的攻撃も聞かないだろう。それに、大抵の事は頑張ればどうにかなると思う。ちゃんと復習はしよう
うん。どうにかなったわ。この体のスペックがすごい。身体能力の向上って、記憶力とかも含まれていたのかと思うほどすごい。言葉遣いも大分よくなり、ミカリス達を呼び捨てることはまだ慣れないが、徐々になれるだろう
今日でミカリスの授業は終わりだけど、結構できた気がする。まあ、一通り基礎を教えて貰って、後は偶に復習しながら日常生活で慣れて行くだけだ。ダンス以外な。ダンスは基礎だけでは駄目だからな。音楽の先生にはピアノにバイオリンにダンスを教えて貰わなければいけないのか。音楽の先生大変だな。有難いが
「本日まで、お疲れ様でございました。坊ちゃんは覚えが早く、自主的に復習もしていらっしゃったので、予想以上に捗りましたな。素晴らしいです」
……ミカリスには復習していた事がバレていた。何故バレた。何でも卒なくこなすイメージが台無しじゃないか。いや、そんなイメージ付いていなかったのかもしれないが。なんかこう、努力をあまりしなくても、卒なくこなせるのって格好良いじゃないか!
くそうミカリスめ。恥ずかしい。いや、努力が恥ずかしいとかではなく、努力している所を見られるのが恥ずかしいんだ。だって、頑張る理由が不敬罪怖いとか、できたら格好良いとか、物凄く格好悪いんだぞ。嫌だろ
ミカリス誰にも言うなよ




