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ラブコメの主人公はお好きですか?  作者: 利苗 誓
第13章 中学生 前編
606/609

プロローグ



 赤石悠人――


 当時、中学二年生。


 進学し、中学生となった赤石。

 学校も終わり、いつもの様に学ランに身を包んだ赤石は、運動場の傍を通りかかった。


「――ッ!!」


 直後、赤石は後頭部に激しい衝撃を感じる。

 サッカー部の蹴り放ったボールが、赤石の後頭部を直撃したのである。


「あ~、全然見えなかったわぁ~」

「わりぃわりぃ」


 くすくすと笑いながら、サッカー部の男たちがボールを拾いにやって来る。

 赤石よりも一学年上の、三年のサッカー部たちが赤石を笑いにやって来た。


「どこ見て歩いてんだよ!」

「そんなところ歩いてたら危ねぇだろ」

「こんなおっそいボールくらい自分で避けろよ」

「ちゃんと周り見て歩けよ~」


 ははは、と周囲の男たちも一緒になって、一笑に付した。


「……」


 赤石は痛む後頭部を撫でながら、そのまま中学校を後にした。





「……」


 赤石は自宅への道を、ただひたすらに、まっすぐに、歩く。


「おい、嫌われ者!」


 後方から声をかけられる。

 赤石は振り向かず、そのまま歩く。


「おい、無視すんなよ嫌われ者! お前のことだよ! なぁ」


 男は小走りで赤石に追いつき、赤石の隣を歩く。

 赤石にちょっかいをかける。


「自分、校内で嫌われてること分かってる? おい」


 同じく、赤石よりも一学年上の、三年の男だった。

 男は赤石の肩に腕を回す。


「お前の仲間なんか誰もいないんだからさ、そろそろ園田君に謝っちまえよ」


 男は赤石に耳打ちする。


「何なら俺も謝ってやってもいいからさ。もういい加減ここまでこじれて強情にしてる意味あるか?」

「……」


 赤石は何も話さない。


「まぁ、ただとは言わないけど。ちょっと買いたいものあるから、それ手伝ってくれるだけでいいんだわ。俺からも園田君に言っとくから」


 な、な、と男は何度も赤石に尋ねる。


「ほら、ママの財布からちょっとお金抜いたら終わる話だろ? それで何もかも全部解決する話だろ? ちょっとママに怒られて今の状況が全部解決するなら、それが一番だろ? な? な?」


 赤石の肩に回した腕に、力が入れられる。


「もう早く謝って楽になっちまえよ、な?」

「……」


 赤石は無言で、男を見る。

 肩に回された腕を振りほどき、赤石はそのまま何も言わずに先を急いだ。


「絶対後悔するからな!」


 男は赤石の後方から、そう声をかけた。


「……」


 赤石悠人、中学二年生。

 赤石の人生にとってもっとも苦節であった時期が、始まろうとしていた。




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