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ラブコメの主人公はお好きですか?  作者: 利苗 誓
第12章 高校生活 こぼれ話篇
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閑話 暮石散歩はお好きですか? 1



 大学への入学を控えた夜――


 引っ越しをした赤石は、家具の配置に悩んでいた。


「……」


 赤石は小さな部屋の全体を見回しながら、どの家具をどこに置き、どの小物を何の箱に入れるか、思案する。


「……?」


 ピンポン、とベルが鳴らされる。

 赤石はドアスコープ越しに、夜の訪問者を確認した。


「まだかな~……」


 ドアの向こうから、小さな声が聞こえてくる。

 後ろ手に手を組んだ暮石が、そこにいた。


「お前か」


 ガチャリ、と赤石は扉を開けた。


「やっほ、ダーリン」

「そんな時間でもないだろ。夜だぞ」

「とりあえず上がるね」

「あ~……」


 赤石は振り返り、散らかった部屋を見る。


「ごめん、今は散らかってる」

「大丈夫大丈夫。私、赤石君のことならなんでもオッケーだからさ」

「結構汚いぞ」

「大丈夫大丈夫。じゃ、入るよ」

「分かった」


 暮石は靴を脱ぎ、足早に赤石の部屋に入った。


「女、女……」


 暮石は赤石の家に入るや否や、トイレや押し入れの中などを捜索する。


「女隠してない?」

「隠してない」

「女隠してるから私入れるの躊躇ったんじゃないの?」

「そんなんじゃないぞ、別に。汚いだろ」


 赤石は床に粗雑に置かれている小物を、適当な箱にしまう。


「来るなら事前に連絡くらい入れてくれよ」

「連絡入れたら私が来るって分かっちゃうじゃん」

「それでいいだろ」

「浮気チェックにならないじゃん」

「浮気チェックしに来たのかよ」


 やれやれ、と赤石は肩をすくめる。


「夜だし、裸の恭子ちゃんとかベッドで寝ててもおかしくないからね」

「おかしいだろ」


 赤石は暮石の付近を掃除しながら返答する。


「八谷じゃなくても、誰かしら家にいる可能性はあったぞ」

「女?」

「女がいる可能性もあっただろ」

「女と二人っきりで家にいるとか許さないから」

「それは時と場合によるだろ」

「女を入れないといけない状況って何? 私、赤石君の彼女だよね?」

「知らないけど、全くないとは限らないだろ」

「だとしたら、まず私に少なくとも一報入ってるよね?」

「まぁ、それもそうか」


 赤石は暮石に言いくるめられる。


「浮気チェックだけか?」

「ま、そんなところ」

「いつ来ても何もないと思うけどな」

「男の子なんてすぐ浮気するから。定期的にチェックしとかないと」

「人によるだろ」


 よっこらせ、と暮石は赤石のベッドに座る。


「おいで」


 暮石は隣をポンポン、と叩いた。


「犬じゃないんだよ」


 赤石は暮石の隣に座る。


「ぎゅ~~~~~」


 暮石は隣に座った赤石を、抱きしめた。


「すーはーすーはー」


 そして赤石の首に顔をうずめ、息を深く吸う。


「気持ち悪い」

「ここがええんか、ここがええんか?」


 暮石は赤石の服の中に手を入れ、胸を撫で回しながらはぁはぁと息を荒くする。


「おじさんはなぁ、赤石君のここが好きなんや」


 暮石は赤石の胸を撫でながら、耳元でささやく。


「キモいキモい」


 赤石は暮石の頭を掴み、距離を取らせた。


「男にも変態おじに襲われる恐怖を味合わせないと」

「味合わせなくて良い」


 赤石は立ちあがり、掃除を再開した。


「……」


 赤石が掃除をする様子を、暮石は後方から眺める。


「なんか良いなぁ、こういうの」


 暮石は足をプラプラとさせる。


「何が?」

「赤石君の家で、赤石君が何かしてるのを見てるの」

「……そうか」


 暮石の言っていることがよく分からなかったため、適当な相槌に終始する。


「とりゃ!」


 暮石も立ち上がり、背後から赤石に抱き着いた。


「……」


 そして赤石の耳を舐める。


「なになになに」


 赤石はくるくると回転し、暮石の奇行を止めようとする。

 だが、なおも暮石は赤石の耳を舐め続ける。


「くすぐったい」


 赤石は後ろ手で暮石の横腹をくすぐった。


「あははははは、あははははははは」


 暮石は大笑いし、赤石から離れた。


「もう~!」


 頬を膨らませながら、暮石が不機嫌になる。


「なんだよ」

「なんだよ、じゃないんだよ」


 暮石は自身の右耳を指さす。


「どうだった?」

「くすぐったい」

「気持ち良くない?」

「気持ち良くないけど、別に」


 きたね、と赤石はティッシュで耳を拭いた。


「汚くない! 汚くない!」

「気持ち良いわけないだろ、こんなの」

「む~……」


 赤石は暮石の前に立った。


「やっぱりおっきいね、赤石君」

「男女差あるからな、身長って」

「十五センチくらいあるもんね、身長差」

「平均的にはな」


 暮石は赤石に抱き着いた。


「赤石君も抱いて」

「ああ」


 赤石も暮石を抱き返した。


「……」


 そして暮石の耳に、口元を近づけた。


「ひゃんっ!」


 暮石は顔を真っ赤にして飛びのき、赤石から距離を取った。


「なんだよ」

「この野郎~~~!」


 暮石は手で耳を覆いながら、赤石を睨みつける。


「何もしてないだろ」

「耳舐めようとしたでしょ」

「過剰反応すぎるだろ」

「女の子の耳って性感帯の一つだからね?」

「そんなわけあるか」


 赤石は笑い飛ばす。


「いや、本当だから。女の子って男の子の声に恋する生き物だから。耳で恋する女の子」

「しょぼい生態だな」

「だから耳が性感帯になってんの。私の性感帯に簡単に口元を近づけないで! えっち!」

「えぇ……」


 あんまりな意見だな、と赤石はため息を吐いた。


「赤石君が私の耳を舐めてもいいのは、私が許可した時だけ」

「そう言われると許可されてない時にやりたくなるな」

「変態! エッチ! ドスケベ魔人!」

「はいはい」

「彼女の耳を舐めたくなる気持ちは分かるけどさぁ……」

「分からないんだよ、全く」


 赤石は掃除を再開した。


「……」


 暮石は再びベッドに座った。


「ねね」

「ん?」


 暮石が赤石に問いかける。


「お腹空かない?」

「いや、どうかな……」


 赤石は腹を撫でる。


「もう夜だし、別にそんなことはない」

「ふ~ん……」


 暮石は口を尖らせた。


「外、行こっか?」

「こんな夜に?」


 あまり気は進まなかった。


「暮石三葉ちゃんの夜散歩のコーナーだよ」

「……そうか」


 赤石は掃除を止め、外に出る用意をした。


「よぅし、野郎共! 準備は出来たか! 暮石夜散歩の時間だぁ!」

「おー」


 赤石は力なく拳を掲げる。


「出航だぁー!」

「次はどの部署になるんだろうなぁ」

「その出向じゃない」


 赤石と暮石の二人は、夜の散歩に出かけた。




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no.1(ಡωಡ)hiahiahia
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