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ラブコメの主人公はお好きですか?  作者: 利苗 誓
第11章 卒業式 後編
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第497話 初めての下宿先はお好きですか? 1




「今日、私帰りたくないの」


 暮石は赤石の耳元でそっと囁いた。

 赤石はバッと飛びのく。


「あはは」


 暮石は笑いながらお腹を抱えた。


「どーてーだ、赤石君」

「やかましい」


 赤石は頬をかく。


「こんなことで顔真っ赤にして、かわいい~」


 暮石は赤石の頬をつつく。


「止めろって、だから」


 赤石は暮石から距離を取る。


「彼女のやることに反対しないで」

「こわ」

「私が法律だから」

「将来とんでもない事件起こしそう」

「赤石君は私の要求を全て叶える義務がある」

「どんな不平等な契約結ばされたんだよ、俺は」

「私と契約して、魔法少年になってよ」

「男の魔法使い見たくないだろ」


 赤石は暮石の横に戻った。


「外であんまりベタベタしたくないんだよ」

「外でやるのが一番良いんじゃん」

「どこがだよ」

「私たちカップルですよ~、って皆に自慢してる感じなのが良いんじゃん」

「理解できないな」


 赤石は肩をすくめる。


「え、何? もしかして浮気してる? 許さないからね?」


 暮石は光のない目で赤石を追い詰める。


「いや、昨日の今日で無茶言うなよ」

「それもそっか」


 暮石はすん、と表情を直した。


「別に遊びで良い、って言ってたのにな」


 赤石はぼそ、と呟いた。


「何? 私に反抗するの?」


 再び暮石が赤石を睨みつける。

 にこにこと笑顔で暮石が赤石に詰め寄る。


「いや、反抗っていうかそういう契約っていうか」

「気持ちが変わったの」

「こんな短期間で……」

「女心と秋の空」

「それ本人の免罪符で言うセリフじゃないから」

「他の女に目移りなんて許さない」

「契約不履行すぎるだろ」


 暮石は赤石の胸をトントン、と二度人差し指で突いた。


「浮気した時はどうなるか、ちゃんとその胸に刻んでおいてね」


 暮石は満面の笑みで、赤石に言う。


「選択を間違えたのかもしれない」


 赤石は苦笑しながら、体勢を立て直した。


「でもさ、やっぱり良くない? あの子たちカップルなんだ、って思われるの?」


 暮石は赤石に釘を刺した後、再び赤石と手を握った。


「いや、全然」

「自慢したくないの?」

「全然」

「じゃあなんで付き合うの?」

「自慢するためではないだろ」

「えぇ~……」


 暮石は道端の小石を蹴る。


「変な子だね、やっぱり赤石君って」

「普通だよ、俺は。俺が普通で、俺以外の人間が全員おかしいんだよ」

「絶対赤石君が変なんだけどなぁ」


 暮石は赤石の手をギュっと握った。


「赤石君は今まで女の子と手、繋いだこととかないんでしょ?」


 暮石はつないだ手を持ち上げ、赤石に上目遣いを仕掛ける。


「こういう風に繋いだことはないな」

「どーてーだ」

「やかましい」

「赤石君の初めて、もらっちゃったな」


 ふふ、と笑い、暮石は赤石を細目で見る。


「そういうお前はあるのかよ」


 意趣返しに、と赤石が暮石に水を向ける。


「……」


 暮石は顔を真っ赤にして、うつむいた。


「どーてーだ、どーてー」

「童貞ちがわい!」


 バシバシ、と暮石が赤石の肩を叩く。


「もう……!」


 ふんす、と暮石は腕を組んだ。


「で」


 暮石は赤石の手を離し、後ろ歩きで赤石の前を歩いた。

 赤石と目を合わせながら、暮石は後ろ向きに歩く。


「危ないぞ」

「危なそうになったら赤石君が教えてよ」


 赤石は暮石の後方にも目を配らせる。


「私、今日帰りたくないんだけど?」


 再び暮石は嫣然と微笑み、赤石を見た。


「いや、お前お母さん迎え来るんだろ?」

「来ないけど?」


 暮石はきょとんとした顔で小首をかしげた。


「というか、元々赤石君の家泊まろうと思ってたけど?」


 暮石はさらに小首をかしげる。


「平然と嘘吐いてたんだな」

「しょうがないじゃん。ああ言わないとお母さんついて来そうだったんだから」

「……」


 赤石は複雑な表情をする。


「良いじゃん、別に。人を貶めたり、自分が利益を得ようとするための嘘じゃないんだから。お母さんのための嘘だよ」

「……そうか」

「赤石君はいちいち堅苦しんだよ」


 暮石は、め、と赤石の口元に指をあてる。


「それとも、赤石君は私のこと嫌い?」


 暮石は赤石を覗き見た。


「いや……」


 赤石は言いよどむ。


「赤石君のルールには反してないはずだよ?」

「……そうか」

「それとも、私が赤石君の家泊まるんです、って言った方が良かった?」

「別に何も言わなくても良かったと思うけど」

「はいは~い、分かりました、ごめんなさ~い」


 暮石は二つ返事で謝り、赤石に背を向け、前を歩き出した。


「……」


 暮石はそれから、無言になった。


「……」

「……」


 二人とも、しばらくの間無言になる。


「……」


 はぁ、と赤石はため息を吐いた。


「分かったよ、悪かったよ」


 暮石の機嫌を損ね、赤石は謝罪した。


「分かれば良いんだよ」


 よしよし、と暮石は背伸びして赤石の頭を撫でた。


「今日は赤石君の家、泊まるね?」

「もう着くけど、親の許可が取れるかどうか難しいな」


 赤石の実家は、もうすぐそこに迫っていた。


「赤石君の下宿先に泊めてよ」

「……え?」


 赤石は腕時計を見た。


「赤石君、一人暮らししてるんだよね?」

「まあそうだけど、そんなこと言ったか?」

「私は赤石君に詳しいから」


 ふふん、と暮石は胸を張る。


「そう、か」


 大方、高梨か八谷から聞いたんだろう、と察しが付く。

 赤石は少し悩み、スマホに入っている地図アプリを見た。


 大学近くにある赤石の下宿先は、実家からそこそこの距離があった。


「大学の近くにあるから、ここから結構遠いぞ?」

「良いよ! お母さんとお父さんのいるところにはちょっと行けないし」

「そう、か」


 赤石は悩む。


「ほら、早くして! 早く決めて赤石君! バスなくなっちゃうよ!」


 暮石が赤石を急かす。


「とりあえず、今日は下宿先に帰るって言ってくる」

「言うなら言う! やるならやる! 早くして! ハリアップ!」

「分かった」


 赤石は実家に入り、母親にことの経緯を話し、帰って来た。


「ほら、バスさん終わっちゃうよ!」


 帰って来た赤石を見て、暮石は小走りで足踏みする。


「走る走る!」


 暮石は赤石の背中をトントンと叩いた。


「まだそんな時間じゃないだろ」

「急いで急いで!」

「急かさないでくれ」


 赤石はゆっくりとバスへ向かう。


「は~や~く~」


 暮石はその場で小走りをする。


「焦らない焦らない、一休み一休み」

「一休みしてる場合じゃないんだよ」


 赤石たちはバス停に着いた。


「赤石君の家に行ったら、もう九時とかなってるかな?」

「そのくらいかもな」

「良い時間帯だね」

「何にとってだよ」


 しばらくして、バス停にバスがやって来る。


「これ乗ったら赤石君の家まで直通?」

「どんなバスだよ。遊園地か、俺の家は」

「私にとっては、遊園地よりはるかに魅力的だけどね」


 あはは、と暮石は笑った。


「やはり赤石氏、私たちの掛け合いは合いますなぁ」


 暮石はにやにやしながら赤石を見る。


「俺は誰に対してもこんなだよ」


 赤石と暮石はバスに乗った。


「体の関係も合いそうなのじゃ……」

「下品な女だな」


 暮石は赤石の隣に座る。


「ようやく隣に座れたね」

「そうだな」

「卒業旅行の時はお互い知らないフリしてたから」


 暮石はにこにこと体を揺らす。


「ちょっと嫉妬しちゃったな、他の女の子と楽しそうにして」

「すんません」

「いや、いいよいいよ。私も須田君とかとたくさんお喋りしちゃったし」

「良い奴だから仲良くしてやってくれ」

「ふふふ」


 暮石は、赤石に体をポンポンとぶつける。


「彼女の会話って感じ」

「浮ついてるな」

「女の子は皆こんななの」


 暮石は自慢げに言う。


「私たち、このままどこにでも行けそうだね」

「バスの運行範囲以外にはどこにも行けないぞ」

「そんな夢のないこと言わないでよ~」


 赤石は窓の外を見ながら、暮石と会話する。


「……」


 暮石は無言で、赤石の手の上に自身の手を置いた。

 驚いた赤石が肩を跳ねさせる。


「止まれボタン、ポチポチ押していいかな?」


 暮石は目を輝かせながら、ボタンを見る。


「子供みたいなこと言わないでくれ」

「ふふ」


 暮石はにこにことしながら、赤石と雑談を楽しんだ。


 





 

「到着~!」


 とう、と掛け声を上げながら暮石はバスから飛び降りた。


「お嬢様、どうぞ」


 暮石は片膝をつき、赤石に片手を差し出した。


「苦しゅうないぞ、若いの」


 赤石は暮石の手を取り、姫君のような厳かな所作でバスを降りた。


『ドア~しやりやっす。ちゅーいだっせぇ』


 運転手の声と共に、バスのドアが閉まる。


「バスの人って毎回何言ってるかよく分からないよね」

「毎日やってたら面倒くさくなるんだろ」


 赤石と暮石は、街の中心部にある主要な駅に降り立った。


「わ~、すごいねぇ、ここの駅」

「大学近くだから結構栄えてるんだよ」


 夜になるというのにも関わらず人で賑わっており、様々な店が立ち並んでいた。


「ここから三十分くらい歩くことになるけど」

「ちょい待ち!」


 暮石が赤石を制止させた。


「実はワシはなぁ、行きたいところがあるんじゃが」

「そうか」


 暮石は顎をさすりながら言う。


「エッチなお店行かない?」


 暮石は赤石に、そう提案した。




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― 新着の感想 ―
暮石のグイグイモード怖いな... そしてこのやりとりの裏で櫻井が 牙を研いでると思うと心納まらねーなホント 櫻井(鵜飼)との決着は卒業式で終えてほしいな 元ハーレムメンバー、全校生徒巻き込んで
暮石氏めちゃめちゃグイグイ行くなぁ。あまりやりすぎて引かれないようにねー。
他の女の子と鉢合わせになる可能性がありますね。修羅場かなそれとも櫻井くんと鉢合わせかな、やっぱり櫻井くんは異世界転生してきたんじゃ無いかな。知らんけど にゃはは!
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