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  作者: るーく
7/8

『ウォル。私はウォルに甘え、甘えられたい・・・

私が女であることを、ウォルに意識させたい・・・』


『急にドキドキするようなこと言わないでよ』


『そのドキドキを共有しよう、ウォル』



ライザに手を引かれて寝室に来た。


二人でベッドに入り、抱き締め合う。




『ウォル、私の心臓の高鳴りが聞こえるだろうか』


『胸が邪魔でよく聞こえないよ』


『そう言いながら顔が赤いぞ。遠慮しないで手で触るがいい』


『そんなことしたら我慢できなくなるよ』


『我慢するな。一人の女として本望なことだ。

私の体は、ウォルに気に入ってもらえたか?』


『大きな胸も、スタイルの良い体も、綺麗な顔も肌も全部、僕には勿体ないよ』



そう言ったら、ライザは僕の顔を自分の胸に抱え込んだ。



『・・・私が我慢できなくなるではないか』


『これから時間はいっぱいあるんだ。

ゆっくり二人の時間を堪能していこう』


『そうだな。

さぁ、私の胸の中でしばし休むといい。

時間になったら起こしてやろう』


『うん・・・ライザ、暖かいな』



ライザに抱きしめられながら、頭を優しく撫でられ、僕は眠りに落ちていった。






『やっほー、ウォル』


『チェインか』


『遊びに来たよ・・・あぁ、罪人のライザもやっほー』


『羽虫が言うようになったな』



ライザに優しくキスで起こされたあと、リビングのソファで二人でくつろいでいたところにチェインが現れた。



『ウォル、ライザ死刑にしようよ』


『ははは』


『チェイン、お前は何をしに来たのだ。

せっかくウォルと甘い時間を二人で過ごしていたのに』


『うわぁ甘いだってさ。

・・・ウォル、優しいってのも罪なことなんだよ』


『はは』



僕は愛想笑いで場をごまかしていた。

何か言うと、それが起爆材になりかねるかもしれないからだ。



『ウォルの優しさに報いるために、私は何でもすると決めたのだ』


『へぇー。ライザがこんな女らしいことを言うようになるなんてねー』


『私は一人の女だ。そうウォルが教えてくれた』


『うわ、なんかエロティックな響き~。

(ウォル、もうヤっちゃったの?)』


『(まだ口付けだけだよ)』


『聞こえているぞ二人とも。

ウォル、私に遠慮することはない。キスでもなんでも、いつだって構わないのだからな』


『ではさっそく』


『ウォル・・・』


『あーバカップル』







チェインはひとしきり僕らに聞きたいことを聞くと、帰っていった。


もうあたりは暗くなってきていた。



『夕食の材料を調達してこようと思う』


『一緒に行くよ。荷物持ちくらいできるし』


『すまないな。その優しさに甘えよう。

ウォルと一緒に街を歩けるなんて、私は幸せだ』




僕とライザは、城下町の商店街まで来た。


人々は、ライザが初恋の暴走故に無実の罪を僕に被せたことを知っているので、何も聞いたりしてこないし陰口を叩いたりしてこなかった。












『夫婦のように見えただろうか』


『どちらかと言えば恋人同士じゃない?』


『・・・ウォルを夫として迎えることを考えると果てしない』


『気持ちが早いね』




順調に買物を済ませて帰宅した。













『エプロンは裸の上から着用するのが正しいとは本当か?』


『全く違うよ。誰から聞いたのさ』


『さきほど姉からテレパスが届いた』


『黙って裸で着用していたら、僕は後ろから襲ってたかもね』


『なんてことだ。口が災いを呼ぶとは・・・』




なんてお決まりの一悶着があったりもしたが、無事に夕食は終えることができた。

ライザの手料理は文句のつけようがないほど美味しかった。







『ウォル、湯加減はどうだ』


『・・・いいよ』


『そうか』


『・・・一緒にお風呂に入るのはいいんだけど、せめて体を隠してよ』


『なぜだ』


『なぜって・・・』



一緒に入ると言ってきかないライザと風呂に入った。


素直に嬉しいと思えないのが悲しい。



『恥じらう女ってのに男はそそるらしいよ』


『なんと、ウォルもそうなのか?』


『・・・』


『見たいなら見るがいい。ウォルに隠すことなど何もない』


『・・・』



結局、チラチラとライザの裸を見てしまった。











『そろそろ就寝の時間だな』


『もうそんな時間か』


『さぁ私がウォルの体を暖めて、良い夢に誘おう』


『・・・今脱いだ寝巻きと下着は着てね』


『なぜだ』


『なぜって・・・』



昼寝のときには脱いだりしなかったのに。


僕はレイザ王女が絡んでいるとみた。






ライザと一緒にベッドに入り、横になった。



『ウォル』


『なに』


『手を握っても良いだろうか』


『・・・いいよ』



ライザは僕の手を握ってきた。

あれだけの剣の使い手だったら、手はゴツゴツだろうと思ってた。


滑らかで小さな手だと感じた。

入隊のときにはそこまで細かく感じ取れなかった。



『こうしてウォルの体温を感じていないと、不安で仕方ない』


『ムードがないって、僕の手を払ったことあったよね』


『・・・あの頃の私はとても愚かだった。

ウォルには一生謝っても謝りきれない』


『あのときは僕が悪いと思うんだけど』


『ウォルは悪くない。

中途半端にからかっていた私が悪い』


『ライザ、キスしてもいい?』


『もちろんだ・・・ん・・・』



隣のライザに覆いかぶさってキスをした。




『ウォルとキスすると平静でいられない』


『ライザ、照れてるの?』


『ウォルはいつからそんなに意地悪くなった』


『嫌ならもう僕からはキスしないよ』


『・・・あまり意地悪しないでくれ』



拗ねたようなライザの声に僕は、もう一度キスをした。



『ん・・・ウォル・・・』


『・・・ライザ』


暗闇の中でも、ライザが微笑んでいるのがわかった。






『ねぇライザ。これからどうやって生活していこうか』


『剣の教室を開いてもいいが、作物を育てるのもいいな』



キスをした後、また並んで横になった。


昼間うやむやになった話を僕はライザにした。




『ライザは城の軍隊に入ればいいじゃない』


『・・・罪を犯したからな。もう国のことには関われない。』


『そっか』


『普通に生活していけるだけでも、ウォルと姉さんには感謝しなくてはならない』


『しばらくのんびりして、ゆっくり考えていこうか』


『そうだな。ウォルと一緒にいられれば、私はそれでいいと思っている』



僕はライザを責めない。


絶望なんてもうごめんだからだ。




『僕がライザを側にいさせる理由は、きっと都合の良い女だからじゃないかな』


『いきなりなんだ、ウォル』


『キスしたい、体に触りたいと僕が言ってもライザは拒否しない。

それは罪の意識と僕への気持ちがあるからだよね』


『そうなる、な』


『これから僕がライザに恋愛感情を持つかはわからないんだよ。

それでも、僕の側にいるの?』


『構わない。私はウォルのために生きると誓ったんだ。

拒否されない限り、私はウォルの側にいる』







『わかった。ライザ、これからもよろしくね』


『こちらこそ。何でも私に言ってくれて構わないからな』


『うん。でも僕から言われたことが嫌だったら、はっきり言わなきゃだめだよ』


『ウォルはそんなこと言わない人間だ』


『ライザ、あとで一人で慰めるときに使うから下着頂戴』


『今はいているのでいいか?

だが一人で慰めるのはよくない。私が手伝おう』


『冗談だよ・・・だから今脱いだパンツは、またはいてね』




行動が早いライザにたじたじになってしまう。


けど、この関係も悪くない気がした。




『ウォル、私を抱かないのか』


『したいけど、しない』


『・・・私じゃだめなのか?』



ライザは僕の体に乗り掛かってきた。


不思議と苦しくない。

ライザの胸が僕の胸板でつぶれて気持ちがよかった。







『ライザは充分過ぎるほどだよ。

そんなライザに迫られて何もしない僕の方がおかしいね』


『ウォルの価値観などには口は挟まない。

だが、そんなウォルを私は愛してやまない』


『ライザ・・・』


『ん・・・』



このライザからのキスは長かった。

何度もお互いの唇を交わし合った。




『ライザ、腕枕してあげるよ』


『なんとウォルは優しい男なんだ。

お返しに私は乳枕を・・・』


『ライザ、たまには姉の言葉を疑おうね』




そんな風にしていたら、いつの間にか僕らは眠っていた。












『ウォル、ウォル』


『んん~』


『朝だぞ。昨日はウォルの腕枕ですごく幸せに寝ることができた。感謝する』


『ん・・・それはよかったね』


『さぁ起きよう』




目を開けると、腕枕されたまま僕を見つめているライザと目が合った。


むに


『あ、ごめん』


『寝てる間に偶然私の胸を掴んだのだろう。気にすることはない。

いっそ直に触ってもらいたいのだが』


『寝てる間とはいえ卑怯だよ』


『謝ることはない』




それからしばらく横になったまま、ライザと話していた。


胸に置いたままの手はたまにライザを刺激してしまった。






午前中はライザとのんびり過ごした。


料理はもちろん、掃除や洗濯までライザは完璧にこなしてくれた。



『元上司にあれこれしてもらうってのも、なんだか気が引けるな』


『何を言う。私とウォルは同じ年齢だ。

あの国を出た以上、対等だろう』


『ライザ、そんなにお尻突き出して雑巾がけしてると触っちゃうよ』


『願ってもないことだ。いま下を脱ぐからしばし待ってくれ』


『・・・しないしない。掃除の邪魔してごめん』



ライザは僕が冗談を言っても真に受ける。

だがここまでくるとさすがに理解したのか、僕が折れたときに微笑んでいた。












コンコン


『誰か来たのかな』


『私が出よう。姉さんかチェインだろうか』




ガチャ


『何の用だ』


『あ、ぁ、ライザ様?お久しぶりです』


『お久しぶりです~』


『・・・お久しぶりです』


来たのはライザ隊のエルフ三人だった。






『レイジィにニナにミィルか。久しぶりだな。

だが何の用だ?もう私は国を辞めたし、お前たちの上司ではないのだが』


『はい、えっと・・・』


『ウォルはいますかぁ?』


『ちょっとニナ。私が言おうと思ったのに。』


『・・・お邪魔します』



なんだかんだと結局家に上がってきた。

騒がしくなりそうだな。




『あ、ウォル・・・久しぶり、だね』


『久しぶりだねレイジィ。元気でやってる?』


『あぁ・・・えっとなんだその』


『私たち三人、ウォルに謝りに来たんだよ~』


『・・・ニナ、おいしいところばっかり』



何の用かと思えば、そういうことか。




『別に謝る必要はないんじゃないのかな。

どちらかといえば、僕がみんなに迷惑をかけちゃったし』


『そ、そんなことない。』


『まさかの展開にアタシたちも驚いてさ~』


『・・・ライザ様を信用しきっていたから』



ミィルの言葉にライザの顔が曇った。

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