八話 予兆と報告
そろそろヒロイン欲しいな~………
~翌朝~
「う~……」
俺は、うめき声を出しながら起きた。体の節々が痛い。
それもそうか、昨日寝たのは、宿ではなく、神殿の床だったのだから。
「やぁお早う。今日はやけに早起きだね。いつも遅い起床なのに。」
そう言われ、俺は辺りを見てみた。まだ、太陽は上ってなかった。
「多分、体が痛くなって起きたのかな。ハハハ」
なんて誤魔化しながら、神殿て、見つけた桶に水魔法を唱えた。
「ウォーターボール」
桶は、幸い綺麗な状態だった。顔を洗いながら、俺は思った。
本当は痛かったんじゃない。寝れなかったんだ、と。
しかし、そんな思いが、隼人に通じる訳がなく、俺達は近くでモスを狩り、朝食にした。後は、隼人がシーナの実を取ってきてくれた。
このシーナの実は、凄く酸っぱいが、その分、栄養価が高い。
まぁ地球で言うレモンみたいなもんだと思ってくれると嬉しい。
それはさておき、俺達は、ギルドに向かって歩き出した。
ギルドに着いたのは、十時頃だった。それなのに、受付嬢達は、慌ただしく、動いていた。
俺は、「何があったんだ?」と尋ねると、
「いまは、あなた達の相手をしている暇は……あれ?シュウトさん達じゃないですか。どうしたんですか?あ!もしかして、依頼の達成報告ですか?」
「それもそうだけど……どうしてこんなに慌ただしいんだ?」
「実は、昨日、ヨフミの方の小国が、何かの大群に襲われたんですよ。しかも、たった一日で、その小国を滅ぼしたそうです。そして、今日は、同盟国のターレス帝国が襲われています。それ以上は、極秘です。」
あ、ちなみに、ヨフミと言うのは、地球で言う南のことだ。
「まぁ、色々あって大変だな。けど、何でここのギルドは、こんなに慌ただしいんだ?。」
「あなたって鈍感ですね。普通同盟国が襲われたなら、援軍を出すでしょう。」
「あ、そうか……あ、そういったら冒険者も、連れていくんだろ?なら、俺達も連れてってくれよ!」
「駄目だよ、秀人君。」
「え?何で?」
「はぁ……貴方ってとことん鈍感ね。ギルドカードにも書いてあるでしょう?ギルドからの特別依頼や、同盟国への援軍出兵には、冒険者ランクD以上と書いてある筈よ。それに貴方達は九歳よ。幾ら成人に近いからって、子供を戦場に立たせる訳には行かないのよ。それも、最前線には、ね。」
うぅ~言い返せない。くそ~行きたかったのに~。しょうがない、依頼達成の報告でもするか。そう言えば、俺達が神殿の地下で出会ったのってまさか……
その瞬間俺は嫌な予感がした。それは、あの地下の壁に書いてあった内容だ。
「我々は、戦争を起こす。」もしかして、俺達が入った時に鳴ったカチッて音は、戦争のスイッチだったのか?いや、変な考えはよそう。今は報告が最優先だ。
「ああそうだ。俺達は依頼達成の報告をしに来たんだ。」
「そ、そうですか。確か、薬草十個の納品でしたね。なるべく早く出して下さい。時間が無いので。早く、ランクD以上の冒険者達に、この依頼を出さなきゃいけないので。」
「それと、俺達実はね、森の中で、何か怪しい神殿を見つけたんだ。でさ、その後詳しく調べて見たらね、地下に通じる穴?って言うか階段を見つけたんだよね。でね、その先に……」
「はいはい、どうせゴブリンでもいたんでしよ。私は、貴方達見たいなお子ちゃまに相手している程、暇じゃ無いんですよ。」
「へぇ、いいんだ。もし俺があんた達に報告された、大群のモンスター?を発見したとしても?」
「……なんですって?」
「駄目だ、この婆さん耳が遠いみたい。もう帰ろうぜ。どうせ、この国が滅びても良いみたいだし。」
そう言って、俺達がカウンターから、離れようとしたとき、誰かに呼び止められた。
「その話、詳しく話してくれんかの、そこの若いの二人よ。」
俺達は、後ろに振り返った。そこには、年老いた七十代後半位の老人がたっていた。
「ギルマス……!」
そのギルマスと呼ばれた老人は、顎髭をいじりながら、ニヤニヤしていた。