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第二十話 やるべきこと

 宣言通りではあるが。

 リーゼの話は長かった。なんと、勇者オリオン、その出生から勇者と呼ばれるに至るまで事細かに語って聞かせたのだ。そこは、俺の要求している部分ではないだろうに。

 それに、オリオンとヨーゼフの二人から直接話を聞いたんじゃないかってほど内容がいちいち詳しかったのだから驚きだ。もっとも途中から聞いているのが面倒になり、余計な部分は聞き流していたから、大筋しか理解していない。

 大事な部分は二つだ。

 一つ、勇者オリオンは王族との仲が悪い。理由は簡単だった。

 オリオンが、なんと魔族との共存を主張していたためだ。

 最初は俺には理解できなかったが、リーゼにしてみればむしろ理解できるような主張らしい。というのも、他国ではある程度の知能を持った魔族との交流のある国が存在している。さらに、遠く離れた僻地ではあるが亜人が国を作り上げているところもあるし、上流階級の魔族が自分たちの領地に城を立てて、城下町を作り一つの国とすることも、数は少ないが実在するというのだ。

 そういった秩序のある国の中で、魔族と人間が共存している国もないわけではないらしい。そういった魔族と慣れ親しんだ人間は、総じてレベラに来るとその害獣のような魔族の扱いに反発を覚えるのも珍しくはないという。まぁ、本当に数は少ないが。

 ただし、この人間至上主義のレベラ王国で、魔族との共存を語るのは国家、引いては魔族の撲滅を謳う国王への反逆罪にあたり、口に出すものはほとんど皆無だ。

 勇者オリオンに関しては、レベラ十二戦役、という前にも出てきた話の中で大活躍したため、その程度のことで罰を与えることができなかったという。オリオン自身、以前から魔族共存活動をしていたが、勇者と讃えられて以降はその活動もより派手に活発になったらしい。

 そうなれば、人間至上主義のレベラ政治家からの反発を招くのは必至。仲が悪くなる、で済んだのはむしろ僥倖ともいえよう。

 勇者オリオンがそうなった理由もリーゼは話していた。

 これは不確かな情報だそうだが、オリオンは幼いころ、白の外に一人で出かけ、魔族に襲われ、魔族に助けられたらしい。

 どういうことか詳しい内容は分からないが、オリオンは助けられたほうに恩を感じ、魔族共存に働いているそうだ。

 そして二つ目の重要ポイント。

 英雄ヨーゼフと勇者オリオンは、仲が悪い。

 この二人、血のつながった実の兄弟であるらしいのだが、どうやらオリオンが魔族との共存主義を除いて典型的な勇者であったのに対し、英雄ヨーゼフはもともとは裏社会の出自らしい。

 その辺もなんだか裏話があったようだが、あいにく聞き流した。幼いころに苦労した、という印象だけは覚えているが、まぁ細かい部分はどうでもいい。

 ヨーゼフが英雄と呼ばれているのは魔王討伐後のことであり、それ以前は腕利きの傭兵ヨーゼフとして名を馳せていたそうだ。おもな仕事は要人警護と表向きはなっているが、実際には要人暗殺が本業だったのではないかとささやかれているらしい。

 そして、まぁありがちではあるが、ヨーゼフは裏仕事をこなすため、政治の道具としては重宝されたそうだ。オリオンはほとんどの政治家から嫌われていたが、ヨーゼフは後ろ暗いことをしてのし上がった政治家にとっては貴重な人材で、優遇されていたそうだ。

 そんな兄弟仲は、もはや語るまでもなく悪い。

 清廉潔白を字でいくオリオンは兄ヨーゼフの仕事が気に入らなかったらしく、街中でも何度か言い争っているところが目撃されていたという。

 さらには、ヨーゼフが政治家に対して、オリオンに支援するな、という指示も送っていたらしく、オリオンはあまり国からの援助は受けずに活動していたそうだ。

 まぁ、大雑把にリーゼの話を抜き取るとこうなる。

 ……なにやら面倒な話だ。

 素直に王国に尻尾振ってればいいものを、妙な自己主張するからそうなるのだ。

 まぁ、もういないというか、もう中の人は俺になってしまったのでいろいろな悪態はオリオンには届かないが、それでもこれだけは伝えておきたい。

 少しは空気読め。

 さて。

 あまりにも愚かな転生先のせいで、この国から勇者と言う立場なのに歓待されない理由はわかった。静かでいいが、厄介者払いされる前に行動するのも手だ。

 もっと魔族に寛容な国に移住を考えるべきだろう。いやそもそも、本来の目的はこの俺が魔王兼勇者としてすべての魔王を統括し、この世界に安寧をもたらすことにある。まぁ、要は人間と魔族の衝突を減らせればいいだろう。根絶は互いが生物である以上不可能だとは思うが、最終的には互いに認め合って共存できるようになればいい。

 ま、それはずっと先の理想だがな。実現するための策すら今は思いつかん。

 レベラにいる人間の考え方はここ数日の暮らしとリーゼのおかげでおおよそ、掴むことができた。もうこの国にいる理由はないな。人間の常識もだいたい把握しつつある。

 この国のメリットなど、屋敷がある程度だ。この俺の才覚をもってすれば、何もない土地に城くらいたてることは容易い。ふふん。

 俺にもフェルレノにも、この国にとどまり続ける用はない。まぁ、正直な話をすれば、いまからでも国家との話し合いの席を設け、心情を変えたと言って後ろ盾になってもらいたいものだが……、まぁ不可能だろう。そう上手くはいかんし、そんなことに時間を費やす暇があるならもっと有意義なことをする。 

 そうだな……、考えるべきは……仲間か。

 赤獅ウェルザ。せっかく純人間の理解者ができたのだ。ここで別れるのは惜しい。ここの戦士ギルドには悪いが、ぜひヘッドハンティングと行きたいところだ。

 あとは――。

「ん? 何?」

 このリーゼだな。

 思い返してみれば、リーゼは俺が勇者オリオンだったと最初から気づいていたはずだ。なのに何食わぬ顔してこちらの言動に合わせ、情報を小出しにしてのらりくらりとしている。なんのメリットがあって俺と付き合いを続けているのか知らないが、リーゼは物知りだし、頭の回転も良い。ちょっと妙な部分はあるが、それを踏まえて尚、この先も仲間にして損はない。だがその場合、俺が魔族であることを明かすことは、この先も一緒に行動する上でかならず必要になってくるだろう。

 そのときに、離脱、もしくは敵対しないかが心配なのだが……。なんとかなる気がするのはなぜだろう。

 ……しかしまぁ、なんでこんなヤツが宿屋の主人なんぞやっているのか、それが一番の謎だな。やろうと思えば何でもできそうな顔をしているのに。


「ふーん。もしかして、何か記憶を思い出したりした?」

「……いや。そういうわけではないがな」

「そう」


 記憶か。

 そういえば、俺はオリオンとしての記憶を忘れている、と言う話だった。たびたび忘れる。

 これは余談だが、記憶とは脳の一部である海馬と言う記憶小体に蓄えられ、そこから大脳新皮質という部分で保存された情報のことだという。つまり、言ってしまえば意識が俺だろうがなんだろうが、脳に残された記憶が通常は残っているはずなのだ。不安定な精神は確固とした肉体に左右される。この場合、俺の身体に残っているべきは勇者オリオンの記憶になるはずである。

 まぁ、理論をどうこう言っても無意味は事は理解している。俺が俺の記憶を有している時点で、この肉体にも何らかの処理がなされているだろうことは間抜けでもわかることだし、そもそも翼から尻尾まで生える時点で、厳密にいえばこれは勇者オリオンの体でなく、魔王の体なのだ。

 ……オリオンは、死んだのだろうか。

 これは無意味な疑問だ。死んでいようが生きていようが、この非凡なる俺という唯一無二の存在に置き換えられ、身も蓋もない言い方をすれば上書き保存されたのだから、死んでから変わろうが生きてるうちに代わろうが、それが元に戻ることはない。

 しかし、そういう存在がある、ということは、そういう存在にこの俺ですら飲み込まれるかもしれないという話にはつながる。

 ま、どうしようもないがな。対策を練られない以上、それ以上そのことについて考えるのは全くもって無意味だ。そのときに何ができるか考えるしかない。


 ……考えるのはここまででいいだろう。今言い切れるものはたった一つだ。

 どれも、今考えなくてはいけないものではない。


 俺は頭を一度振り、余計な思考を振り払う。

 やならければいけないことは他にある。

 リハビリだ。断固としてこれが最優先だ。

 走れない、翼があるのに飛べない、魔力遅すぎて使えない、の三拍子そろった魔王など魔王ではない。もちろん勇者でもない。そんなものはただの案山子だ。すなわち、非凡たる魔王兼勇者たるこの俺のプライドの問題である。

 幸運なことに、差し迫った危険な事態などない。この二度目の転生で一番スリリングだったのは最初に寄った村でノラウルフという魔族と遭遇した瞬間だった。時点で野盗の襲撃。あっちはウェルザがいたからずいぶん楽させてもらったからな。商人のニュクスの安全を度外視すれば、弓程度いくらもってこようが危険ではなかったこともある。

 ……うむ、平和だ。

 だが、それもいつまで続くか分からん。

 明日にも英雄ヨーゼフのような輩が現れ、命を狙われるかもしれないのだ。自分のスキルパフォーマンスは常に最善を維持しておくべきだろう。

 どこでやるのかも、ほぼ決定している。

 国外だ。

 というか、それしかない。

 どこぞの平原で練習するしかあるまいな。


 うむ、ここらでこの大陸の地理を確認しておくのもいいだろう。

 この国の東はライナム森林への一本道で、そこまでは平原が続いている。ちなみに、以前はライナム森林の比較的浅い部分までしか進んでいなかったから実感は薄いが、あれでレベラ王国の面積の五倍近くはある広大な森なのだ。深奥には強力な魔族もいるという話だ。

 さらにその東に行くと、地の大蛇と呼ばれるルミア山脈が聳えている。これはレベラの隣国であるボーゼ共和国との事実上の国境線になっている。この長大な山脈はこの大陸の左右を分けるように蛇行しつつ北と南東に伸びているらしく、過酷な山越えをしなければ隣国へはいけない。しかも山頂付近は標高が恐ろしく高く、年中雪が降り続くような超寒冷地帯で酸素も極端に薄い。レベラにしてみればボーゼからの侵攻を防ぐ、天然の要塞のようなものだ。

 もっとも、レベラとルミア山脈の間にはライナム森林があり、要塞と言うには少々距離が離れすぎているが。

 勇者オリオンが活躍したとかいうふれこみの、あのレベラ十二戦役の敵国の一つだ。ちなみに、もう一つの敵国であるブルネチア帝国はそのボーゼのさらに北側にある。……どんな理由があってボーゼとブルネチアが協力したのか、かなり気になるな。俺がブルネチアならボーゼがレベラを攻めるタイミングで、ボーゼを背後から強襲するのに。

 ま、余談か。

 西側はキール海に面している。忘れかけていたが、この国は海に面した商業都市というふれこみなのだ。商船や貨物船は西側の海岸で審査を受け、荷を受け渡しする。南にある城門を除けば、城壁が途切れているのはそこだけだ。その代り、ドでかい大砲が十数基、海に向けて並べられている。海竜でも倒す勢いの構えだ。とはいえ、対海竜用だけではなく、対侵略用である。

 広大なキール海の向こうには再度陸地が広がり、海沿いにはミオ聖帝国がある。ここはレベラの存在するレーヴ大陸と対をなす、アウザリアス大陸でも三本の指に入る大帝国だ。レベラの大砲はこの国からの侵略のためにあるといってもいい。だが、比較的新興国であるミオ聖帝国に対して古くから貿易を続けており、両国の関係はけして悪くはない。

 いままで侵略はなかったことがその証拠だ、とレベラの国防官僚は断言している。もっとも、向こうの大陸の国を相手にしているので後回しにされている、という説もあり、国防に力を入れている最中なのだという。事実、海軍力としてはレベラはミオ聖帝国に遠く及ばない。こちらから攻めても軽く叩かれるだけだ、というのがレベラ側の認識である。

 国家間の争いは……まぁ俺にとっては興味ないが。

 俺の興味はあくまで、人間対魔族の構図にのみである。ほかは自由にやってくれればいい。


 北側は、あまり面積がない。というか、細い。北にのびるルミア山脈に沿うように海が迫り、平地はごく細長い面積しか残されていないのだ。この方面には申し訳程度に鉱業の街があるのみで、他は特筆すべきものはない。ただし俺にとっては、転生した湖や、ちょっとした森がある思い出の場所でもある。あのロケルナ村も、この辺にある。いまさらではあるが、俺たちは南下してきたのだ。

 そして、南側。このレベラ王国にとって唯一の開かれた陸地であり、おそらくこれからの政治的、軍事的、産業的にも重要な土地である。

 が、しかし何もない。

 特筆すべきことは何もなく、本当に、呆れるくらい何もない。ずっと南下すれば背の低い山岳地帯にぶつかるが、そこまで行軍すると一月はかかる。もっとも、騎兵や飛竜のみの部隊であればもっとずっと早く着くが、数が絶対的に少なく、意味がない。

 ……ちなみに、飛竜は野生動物と同じカテゴリに入る。

 これは俺も最初は驚愕してフェルレノに何度も確認したのだが、間違いではなかった。飛竜は魔族ではない。なにより、魔力がない。

 種族としての竜族とは、ドラゴンゾンビやバハムート、リバイアスなどの魔力を扱う者たちを指し、飛竜や海竜などはあくまで、強力な野生動物なのだという。

 しっかし……ドラゴンゾンビは不死族じゃないのだなぁ。ゾンビのくせに。

 フェルレノにそう聞いたところ、種族はどちらの属性に強く傾いているかで区別されるらしく、ドラゴンゾンビの場合はドラゴンの属性のほうが強く残っているらしい。

 ちなみに、これを聞いた時、俺はようやくなぜ死神が精霊族なのか理解したのだが、それはどうでもいいことか。

 話が逸れてしまったが、そういうわけでレベラの近くには敵国なりうる存在がなく、小さな村や町がぽつぽつと存在しているのみだ。

 レーヴ大陸の左上隅っこにある商業国家。それがレベラ王国だ。

 これだけ聞くと商業国家と言うのがウソ臭く感じるが、飛行機のないこの世界において海路の力は偉大で、ミア聖帝国の他にも、レーヴ大陸の海岸線を商船がぐるぐる巡回して必ずと言っていいほどレベラに立ち寄るため、レベラは立派な商業国家として栄えている。特にミア聖帝国との交易はレベラの収益の四割を占め、またレーヴ大陸でミア聖帝国との貿易をしているのはレベラのみという独占貿易も影響が強い。

 これが世界有数の商業国家へとレベラを押し上げていると考えていいだろう。

 もっとも、これはミア聖帝国の尋常じゃない国力の証明にもなるのだが。 


 さて。

 ここまで地理を頭に叩き込めば、俺がどこでリハビリするのかも決まってくる。

 候補地はライナム森林方面の東か、小さな集落以外に何もない南かのどちらかだろう。

 個人的には、ライナム森林の奥にいるとかいう魔族とも会ってみたいが、まずはリハビリをして十分に身体が扱えるようになってからでないと、舐められかねない。

 うーむ。まずは南で、身体に慣れておくべきか。

 顔を上げ、退屈そうな顔をしているリーゼとフェルレノを見回す。長い間考え事していたからか、二人はいつの間にか俺を放っておいておしゃべりを楽しんでいた。

 楽しそうでなによりだ。


「フェルレノ」

「あ、はい。……長いこと考え事してましたね」

「ようやく整理できたところだ。これから南へ少し旅に出る。一応、一日二日で帰ってくる予定だが……お前はどうする?」

「私ですか? ご主人様の邪魔にならなければ」


 む。……確かに。それは真剣に考えたほうがいいな。一緒にいると……誤って被害が及ぶかもしれん。しかも、その確率は地味に高い。

 だが逆に、連れていかなければ俺がコントロール不能になった時に助けてもらえる相手がいない。どちらをとるか……。

 くるくる、と頭の中でいくつかの場面を思い浮かべる。

 走りだす俺。置いて行かれるフェルレノ。戻る俺。俺に轢かれるフェルレノ。

 …………。

 ……。


「すまん……。迷惑かけるが、しばらくまた、リーゼと暮らしていてくれ」

「いいですよ」


 俺の答えに、わずかに寂しそうな表情をしてフェルレノは笑った。

 うぐ。俺のコントロールがまともであれば、一緒に旅ができたものを……。いや、旅でなくてリハビリだが。

 この頃一緒にいる時間が少ないな、とか地味に気にしている俺がいることも事実なのだ。

 戻ったら、何か詫びをしなければ。いくら従者として付いてきているとはいえ、さすがに申し訳ない。


「リーゼ。そういうことだ、すまないが面倒みてやってくれないか」

「ま、いいよ。貸しイチね」

「……約束しよう」


 リーゼに、借りを作るのは非常に不安だ。だがまぁ、フェルレノを一人にしておくのももっと不安だし……ここは折れるべきだろう。

 なんならウェルザでもいいが……、いや、ウェルザに限ってそんな、ロリコンではないとは思うが、万が一間違いが起きた場合を考えると、どうにもマズイ気がする。

 って、なんで俺はこんなお父さん的なことを考えねばならんのだ。別にフェルレノが構わないのなら両者合意の上で、何をしたって構うことはない。

 …………しかしなぁ。フェルレノだぞ。もしウェルザとくっついてレベラに残りますって言われたら、俺、一人になる可能性が……。

 いや、考えるのは止そう。やはりリーゼに貸しを一つ作ったほうが俺の精神的にもいい。


「そんじゃ、今夜から特別な授業をしてあげる、フェルレノちゃん」

「特別な授業? って何ですか?」

「フフフ……」

「オイコラ待て、リーゼっ!!」

「うそうそ、冗談。私がそんなことするわけないじゃん。ねぇ?」


 ものすごい妖艶な流し目で見られた。今のリーゼなら、少し服装を変えれば商館の前に立ってても違和感無さそうだ。

 く、リーゼとの間違いが……フェルレノが道を踏み外すのか?

 いや、冗談だと信じたい……。

 しかし……リーゼならやらかしてもおかしくなさそうだ。

 だが他に選択肢はなさそうだ。祈るしかあるまい。

 

 とにかく、まずは身体の扱いに慣れなければ。余力があれば、また魔力を自在に流せるようにもしたい。

「おっと。これは駄賃だ。俺がいない間、どうにかやりくりしてくれ」

 出がけに、忘れかけていたが商人ニュクスからもらった金袋から銀貨を数枚取り出し、残りを全てフェルレノに渡す。たぶんまだ五百ガルドほどはあるだろう。ニュクスに感謝の気持ちが浮かぶ。

 俺の食料は城門前の露店で売っている携帯食料で済ませるつもりだ。……まぁ、魔法で火も使えるし、いざとなれば野生動物でも食えばいいだろう。

 料亭魔王のほうも、商人の護衛クエストでもらった前金の二百ガルドが自宅に置いてあるから、帰ってきてからそれで食べればいい。

 ま、身体を慣らすまでどのくらいかかるか分からないからな。

 できれば一日以内に終わってほしいのだが、さてどうなることやら。

 そうして、フェルレノとリーゼに見送られながら、俺はまたレベラの城門を潜り抜けた。

リハビリ回は次に延期になりました。

今回は怒涛の説明回ですねぇ。

台詞:地分=1:9 の割合でしょうか。


誤字とかいろいろ修正しました。 5.11.0:18

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