10話
「号外だよ! 号外だよ!」
私が決闘に勝利したことで号外が様々な場所で配られた。
傲慢な貴族から民を救ったと平民たちはお祭り騒ぎだ。
私もちゃんと九条家お抱えの記者からインタビューを受けた。
「なぜこのような決闘を?」
「難癖をつけたクレープ屋さんの子どもを殺そうとしたりと、あまりにも彼の言動が酷かったからです」
「今の心境は?」
「決闘に勝ててホッとしています」
「一部貴族が横暴な態度をとる今の現状をどう思いますか?」
「よくないと思います。いつ魔物が攻めてきてもおかしくないご時世ですし、貴族も平民もお互いに尊重しあう必要があるかと」
「九条領では貴族が理不尽に権力を振るうという話しを聞きませんが、それについてはどうですか?」
「領主がそういう方針なので」
「だから移住者がどんどん増えているんですかね?」
「そうですね。あとは新しい領民に対してのサポートが手厚いのも理由の1つじゃないですか」
という感じに私が質問を受けて答える。それを記者がメモしていくというのを繰り返してインタビューは終わった。
こういう経験は今まで無かったから少し緊張した。
まあ、インタビュー用に言ったけど平民とか貴族とかどうでもいい。
重要なのは私にとって敵か味方どちらなのかということだけだ。
・・・
「よっしゃー! ざまーみろ!!」
ここは王都で人気の酒場プレアデス。ここには学園で行われた決闘を観にきた平民の客たちが集まっていた。
「勝ったぞー!」
「見たかよ! あの男の負ける瞬間の表情!」
「最後は泣き叫んでたもんな」
「自業自得だ! 俺たち平民を馬鹿にするからだ!」
酒場に集まった者たちの話題は今日の決闘についてだ。それぞれが酒のつまみにしながら思い思いに話しを展開していく。
「スカッとしたぜー! 仕事を休んででも見に行って良かった!!」
「嘘つけ! お前は働いてないだろ!」
「俺はいつも自宅を警備してんだよ!」
「ただ引きこもってるだけじゃないか!」
「ふん、人にはそれぞれにあった働きかたがあるんだ。俺はそれが自宅警備員だったというだけだ」
「そんなことより朱莉様強かったな」
「ああ、全身を針で貫かれた時はビックリしたが、無事で良かった」
「本当そうだよな。俺もすごい焦ったわ!」
「血だらけなのに普通に立ち上がった時はビックリしたわ!」
「でも、カッコよかったよな!」
「カッコよかったー!」
「でも、カッコいいだけじゃなくて可愛さも兼ね備えてるよな。危うく演習場でパンツ脱ぎそうになったわ」
「俺はパンツ脱いだわ」
「は!? マジで?」
「でもズボンは履いてた」
「どんなプレイだよ!?」
「俺も九条領に移住しようかな」
「良いかもな。九条領は住みやすって良く聞くもんな」
「ああ。それに美人も多いらしい」
「マジで! 俺も本当に引っ越そうかな!」
「自宅警備員はどうしたんだよ」
「そろそろ卒業かな。最近は『あんたは仕事はどうするんだい?』とか『私たちもずっとは生きられないんだから』とか言われて辛いんだよね」
「そうか。俺にも昔はそういう時期があった。でも、定食屋をやっていた親が貴族たちに『飯が不味い』って殺されたんだ。アイツら食ってもいなかったのに! だから俺は親のやっていた定食屋を継いだんだ! いつか有名な定食屋になって貴族を見返すために!」
「オッサン…」
「そうだぜ。ウチの父親も貴族のガキに汚いからって理由で殴り殺されたんだ。このご時世なにが起こるか分かんないんだから両親を大事にしてやれ」
「オッサン…」
「俺に協力出来そうな事があればいえよ! 手伝うから!」
「俺もだ! お前はまだ若いんだからやり直せるさ」
「ありがとう! 俺頑張るよ!!」
また別の場所では女性たちが今日の決闘について話し合っていた。
「スカッとしたわね!!」
「私たちと同じ平民だった子が活躍してるのも嬉しいわよね」
「私は九条領に引っ越す予定だから朱莉様の活躍が見れて良かったわ!」
「私も引っ越そうかしら」
「やっぱり女領主っていうのも魅力的よね。他の領地は貴族の男に美人が誘拐されたという話しも聞くし」
「私意外にも九条領に引っ越す人増えてるわよ! 役人が職とか家とかも探してくれたし至れり尽くせりよ!」
「何より差別が無いものね」
「望様がいるから他の領よりも安全だし」
「騎士の数も多いわよね」
「私の住んでる場所も九条家から派遣された騎士たちが在中してたわ」
「貴族以外の騎士たちが九条家の方に家族を連れて移住してるって話しも聞くわ」
「それで他の領主たちが領地を守れなくなってるって」
「もういっそのこと望様が王になればいいのにね!」




