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追い抜く
バーベキューに最適キングマシュマロみたいな
やあらかく、ふにふに、ふよふよ
おぼつかないぐーの手だった
いつしか、まだ立てもしないのに
寝っ転がりながら、ミルク瓶を抱えて飲めるようになった
たんたんと机を叩く、音
たしたし、と書き文字をつけたいくらいに軽やかで
握ってもらった人差し指に
ポゥとあかりが灯ったような、そんな夢見心地
補助付き箸から卒業して、折り紙を折るようになったり
それでもまだ、重ねた手はふわふわで
笑い声みたいな春指
ほっぺたを突き合いこ
追い抜け追い越せ えいえいおー
まだ、半分
鉛筆がスラスラと紙面を泳ぐ
魚みたいに、はねる声
雲梯を折り返しては、二往復にチャレンジ のち豆
ぎゅっとしあいこする手が、やあらかく、ほっぺをむにむにしてきては笑う
あと、ちょっと
食卓を、ふきんと一緒に踊る手の甲
合わせたらきっと、もうちょっと
一抹の寂しさは、おくびにもきっと出さない
眩しい背中を送り出したい
さみしくとも、アンニュイにも、きっと未来が待ってる
だから追い抜いて追い抜いて追い抜いて行け
それでもきっと見てるから
それでもずっと、見てるから