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最初の者ではないから こそ
私たちが生まれた頃には、既にもう先人は生まれていて。
社会も仕組みもその全ては、全てが形になっていた。
発する言葉も私たちが産んだわけではなくて。
生まれた時にはそこにあった。
たくさんかけられた。
浴びるように。
歌うように。
そうしてたくさん、借りている。
一番最初にはなれない。
それのなにがわるいのか。
たくさんの想いの中。
浴びるように。
歌うように。
紡がれる。
かけられる。
受け取って。
手に入れる。
それをまた、誰かへと浴びせるように歌うだろう。
最初の者ではないからこそ。
その一歩がどれだけ大切かがわかるはずだ。
ほろりとふいに出ただけという認識は、もう廃れて久しい。
言葉がほとばしる今。
借り物の、仮初めの、その温かさに、ひとときの吐息。
そうしてくるまれた言葉たちの、そのおもてに張り付いた何かが、誰かへとまた貸し出すときに、そっと剥離し相手の胸に落つる。
最初の者ではないのだから、大事と知って繋がれていく。
その道は、幾重にも。