第49話 喉に詰まる
いつ眠ってしまったんだろう。
雪華は独り部屋の中、机の上に身体を預け、正座したまま寝てしまっていた。
ふわっと鼻にあの香りを覚えた。
一日も経たずして、彼らは帰って来た。けれども、雪華にとってその期間は決して短いものではなかった。
「たっだいま!」
雪菜が元気よく部屋に入って来た。
「静かにしてくれ もう夜遅いんだ」
そう言いながらインガが灯りをつける。
「雪華? ただいま!」
彼らのいない間、色々な事が頭を過った。そのどれもが、雪華の胸を劈くものだった。
「泣いてる?」
雪菜が雪華の元へ近づいてくるのを、雪華はただじっと静かに目で追った。
雪菜が雪華を大きく包み込み、耳元で囁いた。
「私はここにいるよ…… 心配かけてごめんね……」
「ぅ…… い いえ ほ……本当に帰って来てくれて……」
喉から上手く言葉が出ない。
「いいよ 最後まで言わなくても」
「雪乃ちゃん?」
タイガが雪乃の変化を感じ取った。
「なんでもない……」
「風呂入るか?」
「っもう! 今聞く? フツー」
「じゃあ 先入る」
「んなっ! 女の子先じゃい!」
「なら先入れ」
「はぁ 雪華入った?」
「ま まだです……」
「じゃあ 一緒に入ろ! 覗くなよ!」
雪菜が雪華の手を引いて、インガを睨みつけた。
「なんか綺麗になってんな」
「雪華ちゃんが掃除してくれたのかな?」
「何も食べて無さそうだし……」
「猫峯さんにはご飯あげてたみたい」
「……」
インガは腕をまくり、晩御飯の準備を始めた。
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