第197話 口を押さえて
「ぅ……ぐ…………」
インガに喉元を押さえつけられた李熊はうまく発声ができない。
「どういうつもりか説明して貰おうか」
「彼女の意思さ」
インガが彼女の様子を見て、首元を押さえつけていた右腕を若干緩める。
(表情に動揺が見られない 日本語が分からないだけか……)
「っか…… っかほ……」
「なぜ彼女が俺を殺す?」
「君 彼女の第六感に気付いてるね?」
「話を逸らすな」
「一億」
ハーバニルガの言ったその数字が何を意味しているか、彼らにはすぐにわかった。
しばらくの静寂をハーバニルガがもう一度口を開き破った。
「これが聞きたかったんだろう? こんな署名如きで権利が移るだなんて君も思っていないはずだ オークションはもう済んだ」
7018の値段はもう既に付けられていた。
「まあ 一応権利所有者らしいから 今この場で用意できたら 君にその子達をあげるさ」
「……元だな?」
「ああ 一億元」
ポスト日本崩壊の煽りを受け円安が続いた結果、現在の為替レートは一元あたり二十五円ほどである。つまり、一億元とは二十五億円。
インガと茜音は同時に空間ディスプレイを展開した。
「ヒトハちゃん 誤解しないで欲しい 決して貴方達の値段が二十五億円程度だなんてこれっぽっちも思っていないから」
「……」
二十五億円を前に躊躇なく支払いを済ませようとする二人を前に7018は感涙にむせび、声も出ない。
「支払い先を提示してくれ」
「っひ…… いひひひひ……」
ハーバニルガはニヒルな笑みを浮かべ顔を伏せた。
「何がおかしい……」
「っく……」
口を押さえて必死に笑いを堪えようとする彼の目が不気味にこちらを覗き込む。
「何か勘違い……してないか?」
「は」
◇ ◇ ◇
7033含めた十九名の70技能象とテン、ファイア、Shadow、Hefty、Raven、言ノ葉、にゃたいを乗せた大型バスはカナガナへ向かう高速道路を走っていた。
深夜、何者かの車体がそのバスを横から大きく衝突した。壁に擦り付けられたバスが緊急停止する。
バスの扉を何者かがドントンと叩きつける。
「開けろ じゃないとこの扉を破壊する」
バスの周りは既に数台の黒のバンに取り囲われていた。
運転席に座っていたテンがその何者かの指示に従って扉を開けた。
「なるべく 穏便に済ませたいんだが 狙いはなんだ」
冷め切った視線で威圧しながらテンがバスに乗り込んでくる彼に言った。
「ああ こちらとしてもそうしたい」
(乱暴にバスを止めてきたくせに……)
「ここにいる70技能像を全て返して貰おうか」
「お前誰だ!!」
Shadowがその彼の足元から上を見上げてそう言った。
「ガキは黙ってろ」
そう言ってその彼は右脚でShadowを後部座席まで蹴り飛ばした。
「っぐ……」
「! Shadowさん 大丈夫ですか……」
PanaceaがShadowの元に駆け寄ってそう言った。
「あ なんだ?」
「先に手出してきたのはそっちだからね」
Heftyがその彼の脛を目掛けて渾身の右腕を振り抜いた。
「っい……」
最後までお読みいただきありがとうございます。
べ……別に学生をプロデュースし始めたとか……そういうのじゃない……かも
待っていた方がいらっしゃいましたら本当に申し訳ないです。
書きます!!
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