本編7
レンジュから聞いていた夢の国、人を弄び、資源にすらならないと分かると脳まで使い潰すそんなふうに聞いた。だが教会歩いて見て思ったのは街並みは綺麗に整備され、人間の脳が入ったロボットを見掛けることもなかったからだ。
「城壁内の人全員が人の体を弄んでるのかと思ってた」
思わずそんな声が出てしまった。
「そんなことないよ」
そう言われて声がする方を見ると年齢は自分と同じぐらいの男子が居た。
「君最近この国に来た人?」
「あ、うん……そうだよ」
「国の外でどんな噂が流れてるかは分からないけどいい暮らしをしてるのは城壁内でも一部の人間だけだよ。」
「そう、なんだ」
独り言が聞こえてしまい地雷を踏んでしまった気がする。
「何も知らなくてつい」
「ううん、この国に住んでる僕ですらこの有り様はどうかと思う」
「城壁内でも徴収はあるの?」
「いや、無いよ徴収されるのはこの国の領土に住んでいる城壁外の人間だけ」
「なんで城壁外だけなの?」
「君はこの国でロボットを見た?人の形をして荷物持ちしてたり色々雑用してる奴」
「あぁ…見たよ」
「父さんはロボットを修理しているのを生業にしてるから徴収を免除されてるんだ」
記憶を抜きすぎると廃人になってしまう、修理できる人間は限られるから自国にとって有能な人間は免除して城壁内で守護すると言ったところだろうか。
「自国にとって利益をもたらす人間、例えば菓子職人とか修理工とか技術的な人間は城壁内に呼ばれてるんだ」
「手に職がない人間はどうなるんだ?」
「城壁外で村になって暮らしてる人見なかった?」
「あぁ、見たよ俺らの事を見向きもせず黙々と農作業してたけど」
「この国は価値がないと思われた人間は城壁外に出され農作業に殉じ、徴収され一生を終えるんだ」
「君はどうなの?親父さんは修理工だからこのまま城壁内で暮らすのか?」
「いや、もう少ししたら僕も父さんについて行って一緒に仕事する、その時国に価値がないと思われたら僕だけ城壁外に送られるだろうね」
本当にこの国は人を材料としか見ていない、何が夢の国なんだろうか。
「ロボットについて詳しいならひとつ聞いてもいいか?」
「うん?なにかな」
「あの状態になったロボットって元の人格に戻ることとか」
脳だけくり抜かれ機械の体にいれられだ人間が最後自身の記憶を取り戻せるなら、家族やハルカが最悪そうなっていても希望はまだあるかもしれない。
「今のところ無いかな……脳を機械に入れる時記憶をほとんど抜き取って何も思い出せないようにするから」
「そっか……」
「ごめん、変な事聞いてありがとう。この国こと何も知らなくて」
「こちらこそ喧嘩売る言い方して何かあったらまた来てよ」
「うん、ところでさ君の名前は?」
「名前言うの忘れてたね、僕の名前はマチだよ」
「俺はレン、じゃあマチなにかあったらここに来るよ」
そう言って俺はマチに挨拶してまた街を見ることにした。しばらく探索していたが特に何かが見つかることも無く教会に帰ることにした。時間的は夕方だろうか。
「レン君おかえり」
レンジュが出迎えてくれた何処に行ってたのだろうか?
「ただいまレンジュ」
「そうだ、レン君今日の夜出掛けるから準備してね」
「何処に?」
「ようやく見つけたよ〜君の妹と幼なじみが捕まってる場所」