本編19
屋敷を出て2時間で夢の国の教会へ帰還、常人ならもっと時間がかかるだろうが私は普通の人間では無い。
「さて、レンはいるかな」
別に声をかけようと言う訳では無いが自身の姿を見られたら「何をしに行くの?」とか「○○につきあって!」とか言われるに違いない、用事があるから……と断っても「何の用事?」とか「俺も行きたい!」とか言われると面倒くさい。
「気配がしない……あの機械人形と散歩でもしてるのか?」
1人と1体の動向を考えつつ自室へ向かう、私の自室は教会祭壇の下に扉があり更に階段を下るとある地下室だ。一々祭壇をどかすのも面倒い為、本当に準備する時や大事なものしか入れていない。
「地図と食料後は……寝袋とかテント」
ここから近い村は……無いな夢の国領土ギリギリまで行けばあるが時間がかかる。こうなると村や旅人を襲うよりも他の屋敷に放牧されている子供を襲った方がいいな。
「北口方面で襲うと揉み消しが面倒臭いな……数は少ないが西口方面に進むと多少はあるみたいだな」
北口は山があるが抜けてしまうと平野が続いているこの国の貴族連中はそこを放牧地として土地を買い牧場を建てているが西口はそういう土地を買えなかった貴族の中でも落ちこぼれが買うところだ、警備も甘い。
「この前私に楯突いて来た奴が西口に住んでいるな、丁度いいここにするかおっとそろそろアレを使わないと」
襲撃の準備よりも大事なこと、それは棚にある瓶の中から粉末を取り出しそれを飲む。この粉はレンやハルカに渡した弾丸と同じ金属で出来ている。今まで集めた幸せな記憶を記録してある金属を粉末にしたもの、これを一定期間内に摂取しないと私は身体が動かなくなってしまう。
「そろそろ粉の在庫も無くなってきたし集めに行かなきゃな」
自室を出て祭壇を元の場所に戻そうとした瞬間、
「レンジュ…また出掛けるのか」
老人が話しかけてきた……誰だっけ?そう司教なのは思い出せるが名前が出てこない。
「そうよ、仕事」
「ワシの名前覚えおるか」
「あ〜ゴメンなさい物覚えが悪くて」
「アンドレじゃよ、同士の名前すら忘れるようになったらお前もいよいよ寿命が近いな」
「仕方ないわよ、人の記憶を食べた直後は少し記憶あやふやになるんだから」
「ワシはお前と違って絶望の使い方も希望の使い方も下手じゃっただからお前みたいに若い体を維持出来ん」
「私だってこの体を維持するにはかなりの労力かかってるの」
「あの日の出来事が起きてからお前と組んで何百年、この体ももう持たん」
「寿命が近いのかしら…」
「せめて、ワシを機械の体にしてくれ……生身は辛い」
「何言ってるの……ずっと前から機械の体でしょ」
「………………あぁ………?……うん………」
そう言ってアンドレは止まってしまった。
「アンドレ…アンタはもう脳みそが止まりかけてんのよ同士だったのは考え方が似てただけそれだけよ」
そう言って私は教会を出る、アンドレはしばらくしたら再起動して教会の雑事を行うだろうレンもそれに気づいていないがエミリアと付き合っていくうちに気付くかもしれないその時にはもう遅いかもしれないが。
「さて、西口から出て狩りにいきますか」




