序章1
村が焼かれ教会で保護され3日経った……火傷も大分治り身体の調子も良くなってきた。
「ケイジュ……村で起きたことについて聞いてもいいかな」
ご飯を持ってきたケイジュに聞いた、そろそろ話してくれる頃合だと思う。
「君達が見たマークの人達はね、国から来た税務官よ」
「王国……税務官なんでその人達が俺達の村に来たんだよ!」
「君達の村はね税の支払いを拒否した人達が作り上げた村なの税務官は何年もかけて調べてようやく辿り着いた」
「支払いってお金なのかそれを拒否したから村を焼いたのか!」
「違う…お金じゃない国が徴収するのは愛情なの」
「愛情?」
見えないものをどうやって奪うんだよ…それに愛情を人から取っても何に使うんだ……分からない15年生きてきて自分の村が出来た理由も知らなかった。
「そのさ、奪った愛情をどうするわけ?」
「それは私にも分からない……」
「もう1つ聞いてもいい?」
「なに?」
「ケイジュは何処まで知ってるの?それに何時からここにいたの?」
助けてくれた恩人にこんなことを考えるのは失礼かもしれないがもしかしたら彼女が税務官とやらを呼んだ原因かもしれない。
「私がこの教会に来たのは数年前でもこの建物は村が出来た時にはもうあったそうよ」
「そうなんだ……俺知らなかったよ数年前からここに居たなんて」
「大人達はこの教会を隠したかったみたいね、子供達が村以外の世界がある事を知ると外に出たくなるからそれを防ぎたかったのかも」
「じゃあこの教会は何の役目があってここにあるんですか……」
大人達がよくここを出入りしていたかと言われるとよく分からない、毎日雑木林には出入りしていたが大人達を追いかけたことも無かったからだ。
「そうだね、大きく2つ役目があるかな。
1.相談に乗る、これは教会としての仕事だね大人も人生で迷う事があるから話を聞くんだ。
2.商品の仲介所、村の人達に頼まれて商人さん達から物を買って置いておくコッチがメインだったかな」
「そんな事してたんすね……」
「レン君、君はどうしたい?」
「どうって?」
「この教会にはずっと暮らせないから近くの国まで行ってそこで暮らす、過去の事を忘れて。
徴収しに来た国まで行って愛情を取り返す」
家族や友人を燃やされた事を忘れて暮らすことが出来るだろうか、いや出来ない毎日あの火事が悪夢になって自分を襲うだろう。
「取り返したい」
「決まりだねじゃあ準備しよっか歩いて3日はかかるから」
「最後にいい?国の名前って何?」
自分達を襲った国の名前せめてこれだけは覚えておきたいそうしないと報復心というか復讐心が薄れるような気がしたからだ。
「あの国はね、夢の国と言われてるよ」
夢の国……人のものを奪って夢を語るのか何とも傲慢だと思った。