スノーラビット
四人の兎達の前に現れたのは白いタキシード、仮面をつけた青年だった。
その一風変わった格好の青年と対峙する四人の兄弟。
「そのスノー…ラビットさんが私達鈴村家に何の御用で?」
春兎はやや警戒しながらスノーラビットに問う。
「質問を質問で返して大変申し訳ないのですが、アリスと言う少女に勇者の鍵を渡したのは貴方ですね?」
スノーラビットは改まった口調で聞く。
これが答えだと言っているように…。
「はい、確かに私はワンダーキーを彼女に渡しました」
春兎は答える。
するとスノーラビットはハンカチを用意したかと思うとそれをマジックを披露するかのように四人の兎達に見せ、ハンカチを手の平に一度乗せ、それをめくった。
「!!!」
驚きを隠せない四人の兎。
スノーラビットはマジックを見せたかと思うとワンダーキーを出現させていた。
それは春兎自らがアリスに勇者としての使命を託す為に渡した神秘的な輝きを灯す鍵だった。
「な、何故貴方がそれを…!」
春兎は狼狽える。
何故アリスが持っている筈のワンダーキーをスノーラビットが持っているのかと。
「さっき、アリスと言う少女に会ってきましてね…」
スノーラビットは説明をする。
ーーー数時間前
アリスは触手に捕らえられ、ただっ広い廃墟の中で身動きの取れないままもがいていた。
「苦しい…誰か…助けて…!」
アリスは悲鳴を洩らす。
そこにスノーラビットが姿を現した。
「スノーラビットさんっ!」
アリスはスノーラビットを見据えるや助けを求めるかのような、悲鳴に近いか弱い声を上げた。
「貴女には勇者の役目は荷が重過ぎたようだ…」
何とスノーラビットはアリスに冷たい一言を放った。
しかしアリスはそれを黙って聞いていた。
「怒らないのか?」
「…それは認めています…私は最初から勇者なんてなれっこ無かった…」
アリスの目からは涙が流れ出た。
「何か心残りな事はあるか?」
スノーラビットはアリスに聞く。
「私はこの剣で多くの動物を殺めてしまった…その為こうして罰を受けているの…みんなに謝りたい…」
アリスはメアリアン達にたぶらかされ、剣で動物達の血を流してしまった。
殺さずとも、他に方法があったはずだ!
その時は結愛と友達に戻れるのならと言う通りにしたがそれも叶わず、結愛には愛想をつかされ、剣から出てきた触手と共に罪悪感がアリスを襲った。
「本当はやってはいけない事だが…俺は時を巻き戻す事が出来る…どうする?」
スノーラビットがアリスに聞いてきた。
「お願い…します…」
アリスは答えた。
スノーラビットはパチンと指を鳴らす。
するとアリスの目の前は一時反転して剣を握ったままの状態に時が巻き戻った。
(これは…はっ!スノーラビットさんが時を巻き戻してくれたんだわっ!)
アリスは目の前にモンスターの群れがくつろいでいるのを見て納得した。
後ろにはメアリアンと結愛が様子を見守っている。
(同じ手には乗らない!私は、私らしくっ!)
アリスは剣を下ろし、モンスター達に歩み寄った。
「どうしたのあの娘…剣をしまって…」
予想外と思われる行動にメアリアンは戸惑う。
(アリスちゃん…何しようというの?)
結愛も何かを行おうとするアリスに戸惑う。
アリスはしばらくモンスターの目前に立ち止まるとモンスター達に声をかけた。
「こんにちは!モンスターの皆さん!」
アリスは声を上げた。
モンスター達は振り向く。
『人間だ!』『我々に何のようだ?』モンスター達は何やらモンスターの言葉でヒソヒソと囁きあう。
「私もその中に混ざってよろしいかしら?」
アリスがモンスター達に言うとモンスター達は道を開けてあげた。
そこに来いと言っているかのようだ。
『人間の娘さんがここに来るのは珍しいな』
『悪い人間じゃなさそうで安心したぜ』
モンスター達は何やらキーキー鳴きながらアリスと慣れあう。
それを見守るメアリアンと結愛。
(とりあえずはこのモンスターの群れを追い出さないといけないのよね…)
アリスはモンスターと談笑するも表情には真剣味が帯びていた。
それをモンスターのドードー鳥が見逃さなかったのか、アリスに話してきた。
『お嬢さん、そんな堅い表情しないで肩の力抜いてはどうだい?』
「あ、ごめんなさい」
そうだ、私は今はモンスターと談笑しているのだった。
この子達には悪いけど…この廃墟からは出てって貰わなきゃ!
アリスは策を講じてみた。
(これだわっ!)
アリスは閃いた。
『お嬢さん、何か特技を話してくれないか?どうせ無いんだろうけど?』
ややツンデレ属性のネズミがアリスに話を振ってきた。
「私じゃ無いんだけど、私の飼っているディアナと言う猫の事についてお話するわ!」
アリスはしめたと言わんばかりにモンスター達に話をした。




