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希望荘の住人  作者: 早瀬 薫
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第九話 10

そして、住人のみんなで住井真紀の部屋の片づけを始めようとしたのだが、数人が住井真紀の部屋に足を踏み入れた途端、どこからか、メリメリと木が割れるような音がし、床が震え始めた。暫く我慢していたらおさまるかと思ったのに、一向におさまらない。寧ろ揺れは、おさまるどころか大きくなるばかりだった。


 もしかして、地震が起こったのか!?

 床がグラグラと揺れているではないか!

 もう無理だ、立っていられない!


 と思った瞬間、ドドドドドドドドドドドと天地を劈くような轟音がしたと同時に、床が割れて大きく傾き、僕たちは、大量の物と一緒に階下に落下していった!

 ななえ婆さんも秋川緑も戸田翔子もマロも住井真紀も大家も田中の爺さんも中村誠も浜本琢磨も藤堂啓太も僕も、そして佐々木吉信さえも、「きゃあああああ」とか「うわあああああ」とか叫びながら落ちて行った!


 何が起こったのだろう?


 僕は辺りを見回した。しかし、土煙で全く視界がきかない。もしかしたら、震度五強くらいの大地震が起こったのかもしれなかった。

 暫くして土煙がおさまると、漸く視界が開けてきた。辺りを見回すと、すぐ傍に腰を抜かしたたななえ婆さんの姿が見えた。僕は、なんとか立ち上がり、瓦礫に埋まっている住人の数を数えた。みんな二階の廊下にいたせいか、幸い重傷者はおらず、自分を除く十人と一匹全員の無事を確認できた。


 しかし、ほっとしたのも束の間の間、今度は空がゴロゴロと音を立て始めた。僕は咄嗟に佐々木吉信のほうを振り返ったが、彼の顔がみるみるうちに鬼と化していくのが分かり、恐れおののいた。しかし、命に別状はなかったものの、みんな体のどこかを痛めているのか、動けずにその場にうずくまっている。

 そのうち、雷は大きな音をたてはじめ、同時に稲妻も走った。雷鳴と稲妻が同時に起こるということは、どうやら、雷は頭の真上で発生しているようだった。このままではいけない、なんとかせねばと思った瞬間、恐れていたことが起こった。


 ガラガラガッシャーーーーーンッ!!!!!


 鼓膜が破れるほどの爆音と共に、雷が希望荘を直撃し、炎が上がった!


最終話へ続く

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