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希望荘の住人  作者: 早瀬 薫
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最終話 6

 ところで、どうして南の国と西の国が戦争をすることになったのでしょう? 実は、南の国の王と西の国の王がまだ若かったころは、とても仲の良い国だったのです。ところが、二人は、二人共、東の国の姫に恋をして、二人は決闘をすることになりました。その結果、西の国の王が勝ち、東の国の姫は西の国へ嫁ぐことになりました。けれども、東の国の姫は身体が弱く、結婚してからも、長い間床に臥せっていました。漸く元気になり、セリーヌ姫と妹のアンジェラ姫を産んだのですが、やはり身体の弱かった東の国の姫は、若くして亡くなってしまいました。そこから、仲たがいがはじまったのです。南の国の王は、心優しい貴族の娘と結婚していましたが、やはり、東の国の姫が亡くなったことにショックを受けていたのでした。


 セシル王子は、西の国を出て、再び老人しかいない国へ向かいました。前に来たときと同じように、老人たちは喧嘩ばかりしていました。セシル王子はまたもやうんざりしました。けれども、老人たちをよく観察すると、ちゃんと理由があって喧嘩しているのです。ある老人の家には、隣の国から訪ねてきた孫娘が泊まっていて、その孫娘は喧嘩の理由を知り、隣の家の老人に「うちのおじいちゃんが大変申し訳ないことをしました」と謝りに行きました。すると、どうでしょう? 怒っていた隣の家の老人は笑顔になり「いや私にも悪いところがあったのです。私も申し訳ないことをしました」と言いました。そのことをきっかけに、老人たちの喧嘩はおさまり、みんなが笑顔になっていきました。セシル王子は、この国で大切なものを得ることが出来ました。それは、人を「思いやる」心でした。


 セシル王子は喜び勇んで、次の国へ向かいました。働く人ばかりがいる国です。まず、働いてばかりいる貧しい若者に会いに行きました。相変わらず、彼は貧しいままでしたが、彼女を慕う若い女の子がいることに王子は気付きました。二人は貧しいままでしたが、夢を語り合い、とても幸せそうでした。次に、やはりこの前に会った中年の女性に会いに行きました。彼女もやはり独り者のままでした。けれども、彼女にも彼女を慕っている男性が傍にいることに気付きました。彼は、彼女が言っていたような「公明正大で力強く聡明な男性」ではありません。公明正大ではありましたが、弱々しく、頭が良いようにも見えませんでした。それでも、一生懸命仕事をする姿には心を打たれました。彼と話をするときの彼女はとても幸せそうに見えました。そして三番目に、やはり、高価なものを身に纏うために働いている男性に再び会いに行きました。彼の傍にも可愛らしい女性がいることに気付きました。彼女はみすぼらしい格好をした貧しい女性でした。けれども、いつも笑顔で優しく、彼女と一緒にいるときの彼の笑顔は輝いて見えました。セシル王子はこの国でも大切なものを得ることが出来ました。それは「支え合う」ということでした。人が幸せだと感じるのは、お金でもなんでもなく、苦境にあっても、支え合える人がいることだと知ったのです。


 そして再び、セシル王子は働かない人の国に入りました。その中で、セシル王子は「私は自分の国に帰りたいのです」と言った人を探し出し、もう一度話を訊くことにしました。すると、彼は驚いたことに身なりも綺麗になっていて、セシル王子に「私はあれから、自分の国に帰ったのです」と言いました。彼は、「いなくなっても自分のことなど誰も心配していないだろうと思っていたのに、国に帰ると家族だけでなく、多くの人が笑顔で喜んでくれたのが、大きな驚きだったし、嬉しかった」とも言いました。セシル王子はこの国でも大切なものを得ることがことが出来ました。それは「笑顔」が人の力になるということです。

 セシル王子は、西の国のセリーヌ姫と変装して、二人で作った紙芝居を城下の子供たちに読み聞かせていたときのことを思い出していました。自分もセリーヌ姫も何故そんなことをしていたのかというと、子供たちの笑顔を見るのが好きだったからです。子供たちが喜んでくれると、それだけで嬉しくなり、もっと喜ばせてあげたいと思いました。そんなことを考えていると、セシル王子はセリーヌ姫に会いたくてたまらなくなりました。しかも、約束の満月の日は、あと三日後に迫っていました。セシル王子は、走りに走って三日で南の国に帰り、城の裏口から中に入り、驚く家臣たちをよそに、身体を洗い、髪を切り、身なりを整えて、約束の地、楡の木の丘に向かいました。けれども、セシル王子の胸には不安が過ぎります。セリーヌ姫は北の国のニコラス王子と婚約させられていたからです。セリーヌ姫は果たして、約束の地、楡の木の丘に来てくれるのでしょうか?



 と、ここまでは、まぁまぁ納得のいく出来だったが、次からが酷かった。

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