第七話
「着いたね」
「うん」
人混みをかき分け、お目当ての塔に着くことができた。この塔の地下にダンジョンがあり、地上には武具やがある。上に上がるにつれ、武具は高級になり、勿論、金額も上がる。今回、僕が向かうのは10階の安い武具が売っている階に行く。掘り出し物だったりが溢れているところだ。掘り出し物とはいっても、魔物を狩るために造られた物で、包丁よりは使い物になる。
というわけで、螺旋状の階段を登り、10階に到達する。この塔は直径100メートルほどあり、単純に梯子を登るよりも時間がかかった。
「うう、どれにしようかな……」
古い木造りの棚に並べてある短剣を見て呟く。どれも同じようなものばかりで、決めることができない。もう何でもいいか、とも思ったけれども、すぐに折れてもらっても困るし。それで迷っている。僕は、棚から足元にあった木箱に目を向ける。
そこには、他とは違う雰囲気を纏った一際大きな短剣があった。刀身の長さは大体20センチ程で、通常の短剣よりも5センチほど長い。柄には、何か文字が書いてあった。ミディアと書かれていた。爺ちゃんの打った物かとも思ったけれども、よく見ると、ミディアスだった。
僕はそれを手に取った。
「ルナはどこだ?」
すると、ルナが棚の後ろから現れた。
「決まった?」
「うん。これにしたんだけど……」
そう言って、ルナに短剣を見せる。
「いいんじゃない?」
僕はこの短剣を店員に渡す。値段は1400ヴァル。それだけの金を取り出して店員に渡す。そして、短剣を受け取り、店を後にする。
「いつ出発するの?」
「明日の朝だよ」
明日の朝か。それまでにパーティーの仲間を探すの難しいだろうし、まず、パーティーを組んでくれる人がいるとも限らない。パーティーを組む前にルナが帰ってきそうだな。
「いつ帰ってくるの?」
あ、質問間違えた。この街は魔族領とかなりの距離離れており、あの街には一ヶ月はかかるほど。ふざけた大きさのこの大陸は、端から端まで行くには、下手したら1年かかるくらいだという。
訂正する間もなく、返答が返ってくる。
「魔物を倒し次第かな。あと、ここから遠いし、数か月は帰ってこないんじゃないかな」
「ふうん……じゃあ、それまでにいい仲間を見つけておくよ」
「帰って来たら紹介してくれよ?」
「勿論」
そう話をしていると、家の前についてしまった。
まだ空は明るい。今から仲間を探すか。明日から探すか。
さて、どうしようか。