表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

序章〜BEGINING〜

窓から太陽の光が微かに入って来る。

僕は、目をゆっくり開ける。右腕にふわふわとした感覚がある。右腕の方を見てみると、ライラがいた。起こしてやるか。

「おーい……起きろ 」

僕は眠そうな声でそう言うと……ライラは目を開け、僕を漆黒の瞳で見つめてくる。

『あ、おはよう 』

ライラは、眠そうな声で挨拶してきた。僕も冴えないまま挨拶を返す。

「おはようございます…… 」

僕は体を起こし家の外に出る。太陽の光が微かに当たり、微かな風が吹く。

僕は顔を洗おうと家の裏にある井戸に向かう。家の裏には少し開けた場所があり、周辺の住民が共同で使える井戸がある。

僕は水を汲みあげ、手ですくい、顔を洗う。

「あぁ気持ちいぃ……ライラも洗う? 」

『それ頭からかけて! 』

あ、全身洗うんだ。気持ちよさそう……でも僕はやめとこ。

「わかりました! かけますね! 」

僕は水の入った桶を持ち上げ頭から水を掛ける。 ライラは、ブルブル!っと体を振るい、水を飛ばす。

するとライラは、昨日の提案のことを話してかけてきた。

『今日、討伐系の依頼受けるよね? 』

「もちろん! 早く行こ! 」

僕は、やっと強くなれる!と思い、すぐに準備を始めた。服をいつもの服に着替え、家を出た。

「よしっ!主発だ! 」




ーー冒険者ギルドーー




僕は、入ってすぐに依頼書が貼ってあるところに向かった。色々な依頼書があるなぁ。えっと討伐系の依頼書は……これかな?


討伐系 依頼人 セラス


南に位置するヴァルト森林に生息している “ 蛇 ” という魔物を討伐してほしい。


報酬


二万ヴァル




「ライラ、これでどうかな? 」

『いいと思うよ 』

僕はその依頼書を手に取り、受付のお姉さんに渡す。昨日のお姉さんだ……

「この依頼を受けたいんですけど 」

受付のお姉さんは心配そうな顔して、

「あの……この魔物まあまあ強いですけど大丈夫ですか…… 」

強くなる為だったらこのくらいの魔物はたおせないといけないからな!

「任せてください! 」

受付のお姉さんは、えぇ……っていう顔をしている。すると顔色を変える。

「分かりました、いいですよ。昨日も無事に迷宮からかえってきたようですし 」

やった! 絶対に倒してやる!

「ありがとうございます! 」

僕はそう言ってギルドを出て行った。その後のギルド内では(馬鹿だろ……)と冒険者達が、呆れた表情をしていた。







ここは、南の門を出たところ。迷宮都市ヴィーゼは壁で囲まれていて、街から出られるところは北の門、東の門、西の門、南の門の四つだけ。その門には関門ではなく、誰でも自由に出入りすることができ、警備が浅い都市である。

僕とライラは馬車を借りれず、徒歩で行くことにした。ヴァルト森林は、馬車で半日、徒歩で1日。だから今日は野宿しなければならない。

「じゃあ行こ! 」

『うん! 』

その声とともに僕達は道なりに進んで行く。徒歩とかきついなぁ……そんな弱音を吐きながらも歩き続けた。







「『ハァ……ハァ…… 』」

もう辺りは暗くなり、僕とライラは息が荒くなっていた。

「この辺で休むか…… 」

『うん……そうしよ…… 』

僕達は、道を外れ芝生の上に寝転がる。疲れたぁ……あと半日か……

『もう、このまま寝よ…… 』

「うん…… 」

僕が目を閉じようとした瞬間、


「雷鎚よ! 」


するとその声と同時にバァァァァァァン! 凄まじい音と鉄鎚の様な攻撃はライラを直撃し、僕は吹き飛ばされた。

「グアァッ! 」

僕は背中から地に叩きつけられた。

「ライラ……は…… 」

ライラの方をみると、ライラは血塗れになり倒れていた。

「え……ライラぁ……! 」

僕は、黒い服を纏った何者かに抱えられ、眠らされた。







……うぇぁぁぁぁん!

……さっきから子どもの泣き声が聞こえてくる。

煩いなぁ……

僕が目をあけるとそこには、小さな子供達がいた。僕は牢に閉じ込められていた。

「うるせぇな餓鬼が! 」

泣き叫ぶ子ども達に牢の柵を蹴り怒鳴る黒い服を纏った魔族がいた。

魔族は、人と形は一緒だがツノが生えていたり、肌の色が異なっている。そして魔族は誰もが魔力を持って生まれる。

するとその魔族が牢の扉を開け、二人の人間の女の子に目隠しをして抱え、何処かへ連れて行ってしまった。

牢の中には僕より年下であろう子ども達が入れられていた。人間、獣人族、森人族の子ども達がさっき連れていかれた子を合わせると七人。おそらく順番に何処かへ連れていかれるのだろう。

僕は膝を抱え蹲った。

ライラは本当に死んでしまったのだろうか。絶対に生きてるはずだ! 神獣だから死ぬわけない!

そんな事を考えていると、牢の扉が開いた。気づかないうちに僕と森人族の女の子との二人だけになっていた。すると目隠しをされ抱えられた。抵抗をする程力はなく簡単につれていかれてしまった。

すると騒がしくなってきた。ここは、何処だ?大勢の人がいる?

「次の商品はこちらです! 」

はぁ? 商品? もしかして人身売買!わかった瞬間に目隠しが外される。そこには大勢の人が集まっていた。

「五千万ヴァル! 」


「一億ヴァル! 」


「 一億五千万ヴァル! 」

次々と値段が格上げされていく。僕では到底及ばない金額。

「おい!なんか見せてくれよ! 」

と客の方から聞こえてくる。それにつられ他の客まで賛成の声を上げてくる。

「いいだろう! この餓鬼の鳴き声をきかせてやるよ! 」

するとその男は、森人族の女の子の髪を持ち上げ、街で背中を叩き始めた。

「いだぁぁ!……うぅぁ!……いたい!やめーー! あぁぁ!…… 」

それでもその男は叩き続ける。僕は我慢出来なくなり声を出す。

「や、やめろぉ! 」

だがその男は聞こえていなかったかのように叩き続ける。すると、 次の一発に力が入り、ムチはしなりを見せずつるぎのように女の子の体を真っ二つにした。

「あっ、ちょっと興奮しちゃって力がはいちゃたよ……みんなごめん! でも、まだ良いのがいるからね…… 」

「「「ハハハハハハハハハハッ 」」」

「そういうこともあるよ! 」

はぁ?なんだそれ?

「なんだよそれ! 死んだんだぞ! なんでそれをわらっていられるんだ! 」

「こんなことよくあることだしね、ハハハハッ 」

「「「ハハハハハハハハハハッ 」」」


てめぇらだけはゆるさねぇ……殺す!殺す!殺す! 殺す!血が騒ぎ出す……何かが頭の中を過ぎる。誰の記憶だ? 何だこれは……僕は誰だっけ……

「魔人族なんだ……ヘヘッ、アハッ!アハハハハハハハハハハハッ! 」

俺の笑い声が響き渡る。

「何笑ってんだよ? あぁ、そうか! やっぱりさっきのみて興奮しちゃってたんだ! だったらいってくれればよかっーーあぁぁ…… 」

ベチャッ

その男の首が床に落ちた。

「えへへっ! ブッサイクな顔が落ちてるぅ!蹴ってあそぶぞぉ 」

「おりゃぁぁぁ! 」

バッコッォォォォォォォォン!

一瞬で男の顔をが潰れ、突風が吹き一部の客が吹き飛ばされた。

「わぉ、吹っ飛んじゃった……よしっ、最後は燃やして終わろうかな 」

僕は右腕に魔力を集中させる。

ズドォォォォォォォォォォン!

地面に拳を叩き込み、暗黒の炎と凄まじい爆風と爆発によって、地面は壊され、辺りのものは吹き飛び、暗黒の炎に包まれた。

「はぁ……やり過ぎちまったかな? 」

頭上から物凄い魔力を感じる。俺が空を見ると……

『おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

俺をめがけて降って来た。よく見ると殴る姿勢だった。俺はひょいっと華麗にその場を離れ、神獣は地を殴る。さらにさっき空いた穴が深くなる。

神獣は黒い煙を纏い、その中から腰まで伸びた黒髪、漆黒の瞳、貧乳……の女が出て来た。

『やっぱり君は魔人族の生き残りだったんだね? 』

「うん、記憶も戻ったし……てか、なんで僕と《神獣契約》したんだ? 」

『君は親や仲間を人間に殺されて憎んでいるだろ? 』

「いや、憎んでないよ。 俺は記憶を失っていた時の夢を叶えなたいんだ 」

その俺の言葉にライラは目を大きく見開く。

『どんな夢なんだ?』

「ダンジョン攻略したり、冒険者になって世界中を旅するっていう夢 」

ライラは微笑んで見せた。

『それは良いね、僕も君とともにその夢を叶えてみたいな 』

「本当に!? ありがとう、ライラ!」

『いい忘れてたけど、僕の名はルナ、君の名前は? 』

なんでライラって名乗ってたんだ?女の名前に変わらないのに……可愛い名前だな……

「分かったルナ……俺の名前はシャルル・ブラッディ……五十七代目魔王バルト・ブラッディと召使いのアリア・ウェルトの間に生まれた隠し子……これからよろしくルナ 」

『こちらこそよろしくシャルル……ねぇ 」

ルナが近寄って来る。よく見ると顔が赤くなっている。

ルナはもう目の前にいた。少し間を置き、顔を寄せて来る。まさか……

口付けされた……

初めての接吻……変な感じ……熱っ

舌が火傷するように痛い。僕はルナを突き離す。

「離せ! 」

『本当の《神獣契約》はこうやってするの……舌に契約の証が刻まれたんだよ 」

ルナは顔を赤くしながら答える。 舌の痛みは数秒で治った。

「ごめん…… 突き放して 」

『当然の反応だよ…… こっちこそごめん 」

周りはすっかり静かになり、荒れた土地だけが残った……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ