第八話
さて、どうしようか。
そう言ってから、数時間が経った。辺りは橙色へと変化し、大通りはさらに繁盛し始めた。そんな中、僕は仲間探しをしている。
というのは嘘で、家のベットに突っ伏している。その傍らにルナが座っている。
「仲間探しは今日からじゃなくていいのかい?」
突っ伏していると、鈴の音のような美しい音色が僕の傍らから聞こえてくる。
「うん。明日からにする。そう焦る必要もないし」
僕はベットに埋めていた顔を横にして、声を発する。
この家にある唯一の机の上には、帰りに買ったチョコレートという食べ物が置いてある。1000ヴァルという価格で買ってきた。
武器を買って、残高額がおおおだったというのに、1000ヴァルの物を変える理由は、僕がずっと左手にぶら下げていた袋の中に答えはある。
答えは、その袋の中にはあの時倒した魔物の遺品が入っていたからだ。僕はそれを家に着いてから気づき、速攻で売りに行ったというわけだ。
現在の所持金は、5800ヴァル。
魔石やら魔物の角やらを売ったら、それだけの金額になった。今夜の食事は、どこかに食べに行こう。
「ねえ、ルナ……」
僕は吐息を漏らしながら、ルナを押し倒していた。ルナに跨ぎ、両手を押さえつけ、身動きを封じ込めていた。ルナは僕から眼をそらし、顔を赤らめていた。
僕はルナの首筋を舐める。
「あ、あん……」
ルナは少し声を漏らす。
僕は遂にはルナの服を脱がせ始めた。脱がそうとした。が、ルナが動き出し、僕を気絶させた。
「はあ、危なかったあ」
私はシャルにされるがままにされていたが、流石に服を脱がされるのは恥ずかしかった。胸が見えそうになるところで、つい手が出てしまった。
「完全に酔ってるよお……」
あの1000ヴァルで買ったチョコレートはワインが入っている。買うときにそう説明されたが、そんなことはいい、と買ってしまった。シャルは酒に弱いことが分かった。
「わ、私はなんてことを……」
このチョコレートを買ったのは私だ。どうにか責任を取らないと。
「責任……き、キスとか……」
いやいや駄目だ!ああもう、寝よ!
私は頭の中で決意を決め、シャルを横に寝かせた。
「おやすみ、シャル」
私は目を瞑った。
て、自分のこと私って言ってた。昔からそうだった。緊張したりすると、いつも僕から、私になってしまう。
ぼ、く。
僕は、ルナ。
そう頭の中でなん回も唱えて、唱えている内に僕は眠りについていた。
「いてて……」
僕は頭を押さえる。
昨日は……あれ何してたんだっけ。家に帰ってからの記憶がない。思い出せない。まあいいか。
「それで、ルナは……」
いなかった。机には、行ってきますと書かれた紙があった。見送りすることができなかった。
窓からは微かに日の光が差し込んでいた。
頭がくらくらする。
僕はそのままベットに倒れこみ、眠りについた。