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序章〜ENCOUNTER〜

初心者です。温かい目でみて下さい。

平和な日常は唐突に奪われた。

「◇◇◇早く逃げなさい! 」

広い空間に女性の声が響き渡る。

「嫌だよ……皆んなも一緒に…… 」

そこは王座の間ーー白を基調とし、巨大な木製の扉から王座に向かって、大理石が床に敷き詰められている。両端には淡い青色の光を放つ魔石が取り付けられた白の柱が並んでいる。

この場には、魔王の側近の兵が数人、そして母と僕、父ーー魔王は王座に座ったまま動いていない。

お母さんは僕を逃がそうと必死だった。


ドカァァァァァァン!


その轟音とともに扉が破壊され、そこから神獣を従える者ーー神獣使いがいた。途轍も無い気迫を放つものは敵国の王と思われる。

すると母が血相を変え、怒鳴る。

「いいから早く逃げなさい! 」

僕は、母の怒鳴った姿に驚いた。今までこんな風に怒鳴った母はいたことがない。このまま逃げるだなんて辛い。

「でも…… ぐえっ! 」

僕は王座の裏に隠されている隠し通路に突き飛ばされ、隠し通路の扉を閉められた。扉の向こう側は、魔石の光に照らされた石畳の道が続いている。僕は、泣きながらその道を進む。すると背後から轟音が聞こえてきた。この通路も大きく揺れた。

そんな中、僕は歩き続け出口に近づく。もうすぐ出口だ……というところで、焦げた匂いが鼻につく。

「なんだこの匂い……外は火事なのか? 」

そして出口の小さな扉を開き、外に出る。そこは王宮の外……王宮の外は、悲惨な光景が広がっていた。街は豪雨、そして真っ赤な炎に包まれ、血の匂いが絶えない。

僕は殺し合いの戦場と化した街を走る。

すると、城が爆発した。その爆発は周りのあらゆるものを吹き飛ばし、僕は凄まじい爆風により近くの森まで吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。完全に背骨が折れた。辺りを見渡すと、尖った枝にからだを貫かれ死んでいる者、腕や脚を失っている者、半身がない者、まさに地獄だった。僕は、怖くなってその場を離れた。

あの場にいた父や母、兵士達はどうなったのだろう。

僕は激痛に耐えながら視界が絡むほどの霧の中を走った。感情を抑えきれず吐き出しながら……走って、走って、走った。

僕は力尽きその場にうつ伏せに倒れた。僕は、何もできなかった……

「うぅ……お父さん……お母さん……皆んな…… 」


僕は、誰もいない森の中で眠りについた。誰にも見つからない木や草が生い茂る森のなかで……








「ん、なんだあれ? 」

僕がだだっ広い草原で仰向けに横たわっていると雲一つなく透き通った青空から、神々しく紅色に光る何かが迫って来る。

『ゴァァァァァァァァァァァァッ! 』

動けずにいると、もうそれは目の前にあった。

「あっ 」

次の瞬間、

『ズゴォォォォォォォォォォォンッ! 』

物凄い衝撃とともに草花の生えた地面を砕き、僕は吹き飛ばされた。

「ぐはっ! 」

地面に叩きつけられて吐血した。動けないまま顔を上げてそれを見る。

そこには、自分より何回りも大きく、白の毛を身に纏った獣がいた。右腕には、黒色の紋様がある。

僕は、重い口を開く。

「神獣? 」

そう呟いていると声が聞こえてくる。

『俺としないか? 』

その声は真っ直ぐ僕に伝わってくる。濁りがなく透き通った少女の声。

僕は気を取り直し、骨が何本か折れたであろう身体で立ち上がり聞いた。

「えっと、何をするんですか? 」

『それは……《神獣契約》だよ 』

《神獣契約》とは、神獣が人の人間を認め、それを人間が受け入れる事で結ばれ、人の命が途絶えるまで生き続ける契約。契約を結ぶと、力を与えられる。そして二千年前、世界最強の種族、魔人族を滅ぼしたとか、そんな歴史がある。

僕は唖然とした。僕は強くもないのに何故契約をするんだ?

「なんで僕なんかと…… 」

『いやぁ、なんか面白そうだからかな? 』

は?かるっ!《神獣契約》って、もっとおもいものかと……

『で、どうする 』

神獣は一切諦める気がなかった。僕を見つめる瞳は揺るぎが全くない。僕は神獣の強さみたくなり叫ぶ。

「僕に認めてもらえるようなことをしてください! 」

神獣は、急に大きな声を出したことに少し驚いたようだ。体が少しピクッとした。

『えっと認めてもらえることをすればいいのかな? 』

「はい! 僕と契約したいなら、神獣さんの力を見せてください! 」

『分かった、俺の力を見せてやる 』

神獣の凄い力を見せて貰おうじゃないか。

すると、街とは逆の方向を向き、大きな口を開け…… バンッ! という音とともに、轟音が鳴り響く。口から暗い紫色の太い線が周りの地面を破壊し、草花が吸い込まれていっている。え?ちょっとこれはやり過ぎじゃない?

「あの……ちょっとーー 」

『どうだ! これが僕の力だ! これで認めるだろ! 』

言いきる前に神獣さんの言葉に遮られた。

あぁ、これは認めるしかないなぁ。

「認めます……契約をしましょう。 で……どうやって契約するんですか? 」

口づけとかいわないだろうなぁ?

『君の片腕俺が食べれば契約できるよ……ズルッ 』

ん?涎が垂れてるぞ?腹減ってるだけだろ絶対!

「嘘ですよね! 腹減ってるんですよね!? 本当のこといってください! 」

え? 見破られただと? っていう顔してる。

『まぁ、そうだ! 腹が減ってる、だから契約したら迷宮いくぞ! 』

「分かりましたから! そのまえに契約の仕方を教えてください! 」

神獣は気を取り直し、契約の仕方を話す。

『えっと、契約の仕方は指から血を出して、その血で俺の腕にある紋様をなぞる、それが契約の仕方 』

痛いの嫌だなぁ、でもやるしかないか。

僕は、腰に下げてる短剣で人差し指に浅く切り込みを入れる。人差し指から血が滲み出てくる。

そして、言われた通りに契約を進める。

えっと、こうして……こうして……完成!

するとその紋様が黄色に光った……


十秒程でその光が消え、紋様は黒色に戻った。指を見ると切り込みが消え、身体の痛みもきえた。

『これで、契約完了! じゃあ、早速迷宮に行こう! 』

「はい! 」

ピカッ!

横から眩しい光が!なんだ、なんだ?

「へっ? 」

つい間抜けな声を出してしまった。そこには、僕の膝下の大きさの獣がいた。

『この姿にならないと皆んなを怖がらせちゃうからね! 』

幼い女の子の声、目はまん丸、そして小さい。

可愛いいいいいいいいいい!

「もしかして神獣さん? 」

『もちろん! あと神獣さんじゃなくて、ライラって呼んで! 』

「僕のことは、ソラって呼んでください 」

『分かった! ソラ君! 』

そして僕はライラを抱え、街へ戻り大通りを歩いている。皆んなからの視線がすごい。僕は、いつも街を歩いていると、いやらしい視線を感じる。僕は小柄でセミロングの光沢のある銀髪、紫紺の瞳、小ぶりな鼻、薄紅色の唇というように女の子にしか思われない容姿をしているから。

でも今は、僕の抱えているライラに目がいっている。あの子可愛い!っていう視線を向けられている。

『恥ずかしい…… 』

そうライラが呟く……

ライラって可愛いなぁ

そんなことを考えながら、その視線の中を歩く。




( (早く解放されたい))








「ライラ! 迷宮にいく前に冒険者に登録しないと! 」

『おぉ、楽しみだね! どれだけ強いのかな? 』

これで僕は最強だ!

やっと人混みを掻き分け冒険者ギルドに到着した。




ー冒険者ギルドー




入った瞬間、凄く視線を感じる。僕は、それを無視し、

「あの……冒険者に登録したいんですけど…… 」

目の前には、十八歳くらいだろうか、長い黒髪を後ろで結び、黒色の瞳、その人からは、花のいい匂いがする。

「えっと……登録ですね、まずこちらに名前を記入して下さい 」

「あっ、分かりました 」

僕は、筆を手に取り指示された透明の板に名前と年齢をスラスラと書いた。

すると、文字が浮かび上がってきた。そこには、

ソラ・ミディア Lv.1 人間 職 : ???

力 : 56

耐久 : 38

器用 : 62

敏捷 : 28

魔力 : 0


スキル : ???


「全て平均以下ですね……冒険者には向いていないですね…… 」

そのカードには平均以下の数値がかいてあった。僕はこんなにも弱いのか……

「ライラって強いよね? 」

『さっきの力を見ただろ? レベル上げれば強くなるって! 大丈夫だよ! 』

どうなんだろうか、僕が平均以下だと神獣さんも弱くなってしまうんだろうか……まぁ、考えても仕方ないし、迷宮に行くか。

「よしっ! 迷宮にいくぞ! 」

『うん! 』

「迷宮に行かれるんですか!? 」

お姉さんは驚いた様子で聞いてくる。

僕は胸を張り即答で答えた。

「はい! 」

お姉さんは慌てて僕を止めようとする。それを見ている冒険者達は大声で笑っている。

「やめといたほうがいいです! そのレベルじゃあ死んじゃいますよ! 」

ライラがあれば大丈夫だし! 死なずにもどってきてやる!

「それでも行きますよ! では! 」

そう言って僕は、ギルドを出ていった。その後のギルド内は(本当に行っちゃった……)という感じで少しの間、静寂が訪れた……







そして迷宮の入り口に到着した。

「わぁ、近くでみると迫力あるなぁ 」

そこには石造りの大きな塔がある。雲を突き抜けるくらいの高さ。

「よしっ! 行こう! 」

『うん! 』

僕とライラが、ズカズカと迷宮に入ろうとしたら……

「あの……子どもは入ってはいけないですよ! 」

わぉ、これまた美しい方で。頭に獣の耳が生えた獣人族で、トーンの明るい茶髪に焦げ茶の瞳、胸は小さいようだ。えっと、取り締まりの方かな?

「冒険者に登録してるんで! 」

嘘でしょ!?っていう顔で近寄って来る。

「じゃあ、ステータスを見せてください!」

僕は、鞄にしまっておいたカードをとりだした。

「これです! 」

「冒険者ということはわりましたけど、平均以下ですし……大丈夫ですか? 」

「大丈夫です! 」

初の迷宮で興奮してるんだ!はやく行きたいんだけど!

取り締まりの方は、不安そうな顔でカードを渡してきた。

「貴方が大丈夫というなら止めませんけど、死なないようにしてくださいよ。 危険だとおもったらすぐに帰ってきてください 」

「分かりました! いってきます! 」

僕は、ライラを抱えて颯爽と迷宮に潜っていった……

取り締まりの方は心配そうな目で僕を見つめる。







「おっ!魔物がいる! 」

僕は、腰に下げていた短剣を取り出し魔物に切りかかった。

「おりゃぁぁぁ! 」

パキン! 魔物の皮膚に弾かれ短剣は一瞬で真っ二つに折れた。やばっ、退がらないと!

僕は、魔物の攻撃を交わしライラのいるところに戻る。

「折れちゃった…… 」

するとライラが黒い煙を纏い、三秒程待つと黒い煙は消えそこには、刃が黒く、斬れ味の良さそうな鋭い刀がある。

すると頭に声が聞こえてくる。

“ 僕を使って!”

「ライラ? その刀ってライラなの!? 」

“ そうだよ! 凄いでしょ? 僕は刀にもなれるんだよ! ”

「分かりました!ありがたく使わせていただきます! 」

僕は早速さっきの魔物に接近し、もう一度きりかかる。

「次こそは! うりゃぁぁぁぁ! 」

スパッ!と、一瞬で魔物は二つに割れ、崩れ落ちた。

「おぉ!すごい! 一瞬で真っ二つにできた! 」

“ 僕をもっと使ってくれ! ”

「うん! そうするよ! 」

この刀さえあればもっと下の階層いけるきがする!

僕は、魔物から採れる石を剥ぎ取り次の魔物へと突っ走って行った。







今の階層は七階層。

グサッ!

「これで二十一体目! 」

僕は次々と魔物を倒していく。そろそろ疲れてきたなぁ……

「そろそろ帰ろうと思うんだけど…… 」

“ うん、そうしよ、僕も疲れてきた ”

僕達は、今来た道を歩いて帰っていく。僕は、どれくらいステータスが上がったか確かめるために鞄からカードを取り出す。

「えっと、今のステータスは…… 」


ソラ・ミディア Lv.1 人間 職 : ???

力 : 156

耐久 : 120

器用 : 164

魔力 : 0


スキル : ???


「えっ? なんで? あんなに倒してこれだけ? 」

成長はしているけど、今倒した数ならもっとステータス上がったとおもったんだけど……

するとライラは、ある提案をしてきた。

『まぁ、気を落とさないで! まだ魔物が弱かっただけだし、それで僕に案があるんだけど……冒険者ギルドに依頼書の貼ってあるところがあったんだけど、討伐系の依頼を受けたらどうかな? 』

そういえば、外には五十階層以上の魔物がいるって言われていたっけ。強い魔物を倒せばもっと強くなれるよな。

「うん! そうしてみよ! 」

僕達は、何事もなく迷宮をでることができた。

「もう、夕方か…… 家に帰るか 」

辺りは橙色に染まって、大通りには魔石街灯の灯りが点き、屋台が出たりして賑わっていた。

『家は、何処? 』

「こっちだよ 」

僕の家は迷宮をでて北西の方角にあり、外壁の真下にある。僕は賑やかな大通りを進み、人気のない路地に入る。




ー家ー




「着いたよ、これが僕の家 」

そこには小さな木造りの家がある。周りは灯りが少なく大通りの音が聞こえて来るだけ。

中に入ると真ん中に机と椅子があり、奥にベットがある。それ以外は何もなく殺風景な内装。

『親は居ないの? 』

「うん、爺ちゃんがいたんだけど二年くらい前に死んじゃった 」

『そうなんだ…… 』

迷宮に行ってきた疲れがあり、もう眠くなってしまった。

「もう寝るね……ライラはどうするの? 」

『僕は風に当たってくるよ 』

「わかった…… 」

僕は服を着替えベッドに横たわる。するとライラは家の外にでていった。




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