相談しよう
イム君が持ってきてくれた林檎を皆でしゃくしゃくと食べる。
お腹一杯だけど、これは食べられるな。
林檎は少し酸っぱくて固い。
もしかしたら、焼いたりした方が美味しくなるやつかも知れないね。
そんな事を思いながらもむぐむぐと林檎を咀嚼していたら、イム君が、私をじっと見ていた。
…え?何?なんなのだい?
こてりと首をかしげると、イム君が微妙な笑顔を返してくれる。
なんか、心配事でも…あるのかな?
「…えっと、あのレン、ちょっと話があるんだけど」
いつものにこにこした雰囲気ではなく、真面目な顔でイム君は皆もいいかなと言った。
「…どうした?」
私の横に座っていたレン君も、イム君の真面目な様子に少し固い声で返事をした。
「…あのさ…えっと…、お、俺達、里山の方で暮らせないかな」
イム君の言葉に、一気に皆が張つめるのがわかった。
……え?こっちって…そんなに大問題?
私の第一候補だったのですが…。
「…そりゃさ、俺だって、こっちに戻ってくるの不安もあるよ」
でもさとイム君は一生懸命にいい募る。
「こっちにいれば食べるものも困らないし、ヨグ婆がコルを世話してくれるし…」
「ヨグ婆の所はダメだ。…あいつが帰ってきたら今度こそ泥棒扱いで皆捕まる」
レン君の言葉に、イム君はそうだけどっと食い下がる。
「あいつだって、しょっちゅう戻ってくる訳じゃないよ!ヨグ婆だって一人でほっとかれてるんだ」
それに…と言いながら、イム君はちらりと私を見て、視線を反らす。
「…俺だって、皆みたいに仕事したいよ。…コルの世話が嫌とかじゃないけど…ごめん、コル」
…あぁ…そうかぁ…。
そういえば、私の面倒をみる係りってイム君が殆どだもんね…。
そりゃそうだよねー。こんな、ちびっ子の面倒を見るより、働いたりする方がやりがいあるよね。
…早く、自立しなくちゃだなぁ。
もう少し頑張らなくちゃ、と私は気持ちを新たにする。
「…イム、コルの面倒をちゃんと見ることは、俺達に必要なことだ。それは立派な仕事だ」
皆で決めただろうと言われ、イム君は俯く。
「…でも、それでも…どう考えたって、こっちにいる方がコルの身体の為にもいいはずだ…」
「…イム…」
「…だって、おかしいだろ?毎日毎日、レンもイサクもウラヌも朝から晩まで働いて、それなりに稼いでる。なのに、あんな場所にいるだけで、稼ぎのほとんどもってかれちまうなんて…悔しいじゃないか!」
イム君は興奮して涙ぐんでるようだった。
…ふぅん。
あんな隙間でも、いわゆるショバ代という奴が発生してたのか。
流石というか底辺だなぁ…。
「イム…」
突然大声をあげて、涙したイム君に、レンも少しびっくりしてるみたいだった。
「…あーごめんレン」
ここまで、一言も発しなかったイサクが、片手をあげて、そつ発言した。
ウラヌはといえば、、イム君の側にいくと顔を覗きこんで自分の袖で乱暴に顔を拭ってやっていた。
「イムのこれ、俺達のせいだわ」
にゃははっとウラヌは笑いながら笑いながら、イム君の頭を少し乱暴にぐりぐりと撫でた。
「…俺たちさぁ…仕事、クビになったんだよね」
イサクは軽くいって肩を竦めた。
…いや。軽くない話題だねっ
読んでいただきありがとうございます。