いわゆるひとつの逆はーですね
タイトルをいれるのをやめようかなぁ…
全然思いつかない(笑)
私とイム君は、二日にわたってこの山芋を食してきました。
この芋は、いわゆる自然薯というやつみたいな感じだと思う。
焼いて食べているので、余り粘りみたいなものは感じないけれど、気のせいか昨日よりも元気になっている気がする。
といっても、元々そんなに胃が受け付けないようで、私はこぶし大の欠片を食べればお腹いっぱいだった。
イム君は、焼いた全ての芋を食べ終えて!ようやく、満足した様子だった。
…芋を掘ったのも、洗うお水を汲んだのもイム君なのだから満足するまで食べんさい。
とはいえ、お芋はあと3本掘ってきていた。
「…コル、あのさ、俺、皆を呼んでくるからさ…お前、芋を見ながらヨグ婆と留守番できるか?」
もちのろんだよ。
と大きく頷いて見せるが、イム君は私の返事に不安を覚えたようだった。
「…ほんとに大丈夫か?…もし、ヨグ婆の息子が帰ってきたら、婆に頼んで隠してもらわなきゃなんだぞ?それから、知らない奴から食べ物を貰ってもついてっちゃだめなんだぞ?」
お前、出来るか?と問われて私はじっとイム君を見上げる。
「…るすばん……ぁあいじょぶ」
頑張って発声しましたが、コルちゃんの声帯はやっぱり、しゃがれてるというか、明らかに腫れてるような感じもあって…。
ついつい無口になってしまうのよね。
でも、頑張って声を出したお陰か、イム君はぱあっと笑顔になった。
「…っ!スゲーなコル!お前、ちゃんと喋れるじゃないか!」
偉いぞといいながら、イム君は嬉しさ爆発でぎゅうっと私を抱き締めてくれる。
…うん、いや、お兄さんやそんなにぎゅうぎゅう抱き締めると、この身体だと落ちてしまうんだがっ!!
お伝えしたい思いはあったのだが、お伝えできないままに私の世界は暗転した。
「…うっま!これほんとにうまいよ」
そんな声が私の頭上から聞こえる。
「いやー、参ったね。コルにこんな旨いもん食わせて貰える日が来るなんてなぁ」
ははっと楽しそうな笑い声は、足元からしている。
はて?私は一体どんな状況なのでしょうか?
ゆっくりと瞼を開くと、見慣れない少年の顔が見える。
…この角度ということは、どうやら、膝枕をしてもらっている。
薄目を開けながら、足元を見ればそちらにも見慣れない少年がいる。
どうやら、場所はヨグ婆の窯場みたいで、雨避けの空は少し夕暮れがかっている。
足も何故かその少年の膝の上に乗せられている。
「お、コル起きたか?」
頭上からそんな声がして、私は一気に抱き抱えあげられて膝に座らされる。
…ちょっ…あの、この身体はそーんなに強くないんでね、も少し丁寧に!
むぅっと睨み付けると、反対からははっと声がする。
「あははっ!凄い!コルが、ムッとしてる」
可愛いと言って私の頬をつついてくるのは、私の足を膝にのせていた少年だ。
…止めれ、地味に恥ずかしいから!中身はピー才のおばちゃんにはほっぺツンツンとかこっぱずかしいからっ!!
頭の中でぎゃぁぎゃあ喚きつつも、ムッとした顔のまま固まっていると、いい加減にしろよと声がかかる。
「ウラヌ、あんまり構うと、また熱が出るぞ。」
私の近くに来たのはレンだった。
思わずほっとして、私は恥ずかしげもなく彼に両手を伸ばして助けを求める。
レンはちょっと困ったような笑い顔で、私を助け出してくれる。
「…ちぇ、俺だってコルを可愛がりたいのになぁ」
結局レンになついてんだよなと、私を抱き締めていた少年がため息をつく。
「…そう思うなら、嫌がられる抱きかたするなよイサク」
レンが言うと、甘いよ!と私の頬をつついていた少年が叫ぶ。
「この厳しい世の中を生きていくんだから、多少の乱暴にもなれなくちゃだぜ?」
「…ウラヌ、そういうのは、コルが元気になってからにしろ」
ちぇーと言いながらクスクス笑い合う二人は、余り面識のなかったその他二人の仲間みたい。
…えーと、イサクとウラヌか。
正直、今日初めて顔と名前を知りました。
改めてじっと二人をみる。
薄汚れた感じはあるけれど、結構身体は大きそうだ。
そして、顔はというと、レンに比べると整っているというより愛嬌があって、何よりも二人とも凄いそっくりだった。
髪の長さが若干違うので、見分けはつくけど…、この二人は双子なんだろうか?
「…ふ、た…ご?」
ゆっくりと、発音してみると、何故かイサクとウラヌは凄いショックを受けたような顔をする。
「えええっ!!コルが…」
「コルが、少し賢くなってる!」
嫌だ!可愛くない!!と二人は叫ぶ。
…ちょっとちょっと、どういうリアクションだよ!
「皆ぁ、ヨグ婆が林檎お裾分けしてくれたよぉ」
どうしたの?といいながら、戻って来たのは、どうやら、ヨグ婆の所で手伝いをしていたイム君だった。
レンにイム君にイサクにウラヌ。
…いわゆる逆ハーレム状態ですね…。
……おばちゃん脳だと、「息子だったら可愛いなぁ」としか、思えないんだけどねっっ。
本日も読んでいただき、ありがとうございます。