表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

お宝発見!

イム君に手を引かれ、私は農村の更に奥の方にある里山に向かった。


村と外の境界、人の手が入った山の事だそうです。


イム君が教えてくれたところによると、昔は山で暮らしてる狩人とかも居たらしいんだけど、だんだん商店街の方や大きな別の街に人が行ってしまって、今は殆ど居ないらしい。


文明が発達するってそういうことだよねー。


てくてくとイム君にひっぱられながら、私はちょいちょい地面に落ちてる赤い実を拾っておく。


獣苺(ニフレイム)といって、甘味が殆どない酸っぱいだけの果実だけど口寂しさは紛れるので見つけては拾っておく。


「…この辺でいいかなぁ?」


イム君が言いながら私の手を離して、地面に落ちている薪を拾いはじめた。


彼の背中には、あらかじめヨグ婆の所で借りた籠が用意されているので、ぽいぽいとそこに薪をいれていく。


私も、細かい木の棒とか、食べられそうな木の実なんかを一生懸命に探す。


拾ったものは、いつも、私が被って寝ている布切れを風呂敷がわりに使っている。


先日まで、汚れでがびがびの板切れだったけれど、昨日のうちに煮沸消毒して干したので、綺麗になっている。


昨日皆に誉められたので、今日は皆の分も煮沸する予定だ。



「よーし、こんなもんかな?」


コルはどうだ?と聞かれて、私が集めた木を見せると、イム君は

ははっと笑う。


「それじゃあ、お湯を沸かすのは無理だよ」


仕方ないなあと、言いながらイム君は更に余分に木を集める。


はい、実はお湯を沸かすのも、煮沸してくれるのも、干すのも、イム君のお陰でございます。


三日前に比べたら、比較にならないほど回復していますが、多分普通の子供より格段に体力はないと思います。


…そのためにも是非、もう少し食べられる物が欲しいところです。


私は作業するイム君の上着の裾にしっかりつかまりつつ、周囲の木々をきょろきょろ見回す。


お腹にたまるあれをどうしても見つけたい…。


そんな気持ちで必死に目を凝らしていた私は、ついに見つけたそれに興奮して、思わずイム君の上着をぎゅっと強くひっばった。


「…ってて、どしたコル?」


私が必死に指差したそれに、イム君もはっと息を飲んだ。


「…嘘だろ…コル、あれなのか?」


きらきらと瞳を輝かせるイム君に私は、こくりと頷く。


イム君は、ちょっとまってろと言いながら背負っていた籠を下ろすと、手頃な棒を持って、そちらへと走っていった。



…うむ、許す!イム君!やっておしまい。


そんな事を思いながら私も一生懸命に後についていく。




イム君!山分けだよ!仲良く山分けなんだからね!!



大きな木の根本で、イム君は一心不乱に地面を掘っていた。


大きな木には蔦が絡まっていて、その根子が地面へと続いているのだ。


昨日、必死で食べ物を探していた私は、とあるテレビで見た、何となくな知識を思い出した。


でんぷん質を含んだ植物が、こうやって大きな木に寄生して光合成をしながら育つらしい。


なので、その根元を掘り起こすと必然的に見つかるのは…。


「あった!」


イム君は、叫んで私にそれを掲げてくれた。


中々の長さの山芋が、立派に美しく、その手に収まっていた。



いぇす、いも類!何はなくともいも類だね!

読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ