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まずは周りを観察しよう

GWも終わりですね…。仕事したくないなー(T-T)

『元気になったら、また売られる』という、何とも明るくない将来を認識してから、3日がたった。


なぜそれがわかるかと言えば、私の生活が朝起きて夜に寝るという至って初歩的なレベルになったからである。


そして、『元気に…』を回避するためにも、私は現状把握をすることにした。


と、いっても特にやることもないので、もっぱら私の面倒を見てくれてた緑の瞳のイム君につきまとって周辺掌握という、こちらも初歩レベルな状況ではあった。



「コルー、おはよ。今日も、ヨグ婆のとこに行くか?」


私は、イム君の言葉にこくりと頷いて彼が差し出してくれる手を掴んだ。


この三日間で分かった事は幾つかだ。


まず、私がねっころがっていた狭い「隙間」は、私たちグループの「縄張り」だ。


リーダーのレン、それからイム君とまだ名前を認識していない3人位がこの隙間で会った事のある子供達だ。


勿論、私以外は皆男の子で、女の子に会った事はない。



私達が住むこの辺は、ヒルホンヌ村と言うらしい。


それから、私達の縄張りは、村の中でも一番建物が建ち並んだいわゆる『商店街』の隙間だったりする。


商店や町中では、女の人も見かけるけれど、私と同じような小さな子供はまず、見当たらない。


多分、それだけ治安が悪いのだと思う。



ちなみに、私も他の皆と同じく真っ黒でガリガリに痩せているので、よほど興味をもって観察するか、真っ裸にでもならない限り、女である事を見分けるのは難しいと思う。


レンもイム君も、私と出歩く時にはしっかりと手を繋いで私を守るように歩いてくれる。


…まぁ、『元気に…』を知らなかったら、ほんとに惚れちゃうくらい嬉しくは思う。


しかし、…状況的には…複雑だなぁというのが、今の正直な気持ち。



イム君に連れられてやって来たのは、商店街から少し外れた、農家が点在する場所だ。


広い畑にはぽつりぽつりと小屋が建っている。


とある一軒の小屋の前で、イム君はコツコツと扉を叩く。


「ヨグ婆!ヨグ婆!薪を拾うかー?」


大きな声で叫んでから、しばし待つ…。


鳥がピチピチと鳴いているのを認識する。


しかし、まだ、暫く…待つ…。


そういえば、この三日は本当に過ごしやすい晴天だったなぁ…。


そんな事を考えながら、ちょっと…飽きるくらい…待つ…。


すると、がたりと音がした後に、ようやく、ぎいいと扉が開いた。


そこには、腰が折れ曲がって、殆ど下を向いたようなお婆ちゃんが、しわくちゃな顔で、ニコニコと立っているのだ。


「あぁ、あぁ…。真っ黒いのとちびっこさんかね」


おはようさんと言いながら、プルプル震える手で、ヨグ婆ちゃんはカチコチのパンの耳を差し出してくれる。


やた!朝御飯ゲット!


お婆ちゃんの食べ残しであろうこれを、一本だけもらって後はイム君に渡す。


ちなみに、臭い食べ物については、わざわざ何処かのご飯やさんの残飯を買い取ってくれてたらしいので、すぐにやめるようにレンにお願いをした。


…栄養価は高いのだろうけど…あの臭さは無理だ。


「じゃあ、薪拾ってくるな!」


自分の分のパンの耳を口に入れてしゃぶりながら、イム君がさっさと薪を拾いに行こうとするので、私は注意を引くために手を引っ張る。


「…ん?ああ、えっと、ヨグ婆、戻ったら、井戸と外の窯を借りてもいいかな?」


庭掃除もするからさとイム君が言うと、ヨグ婆はプルプルしながらも、ええよと応えてくれた。




よし、本日はとりあえず、食べ物の心配は無くなりそうだ!

読んでいただき、ありがとうございます。

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