底辺から最底辺へ
主人公の言葉遣いがどんどん乱暴になっております。
もう一度意識が浮上した時、自分が何かの建物の隙間に転がされているのに気がついた。
一応何かしらが地面にひかれていて、何かしら、布っぽいものが体にかかっている。
周囲は、太陽の光が差し込んでいるものの、多分ほんとにせまーい隙間に転がっていることがわかる。
…とはいえ、私の意識は非常にうすらぼんやりとしている。
多分、すこぶる体調が悪いのだと思うけれど、ほんとに眠ってるのか起きてるのかが自分でもわからないくらいだ。
にゃろぉ…。神様め!
結局、このまま亡くなるならば、何故私を転生させたし??
意味がわからん!!
頭の中でぶつぶつと文句をいうものの、身体は全くいうことを聞かない。
時間感覚が一切不明という状況が、しばらく続いた。
「…コル?起きてるのか?」
誰かが、頭上から声を掛けてくる。
多分、最後に声を聞いた『可哀想に』の人だと思う。
…人というか、少年のようだ。
「…起きられるか?飯だぞ」
声をかけられて動こうと思うのだが、全く一切体が動く気配がない。
…というか、からだの感覚が一切ないんですけども…。
この身体…大丈夫なのか?
そんなことを考えているうちに、どうやら、声をかけてくれていたどなたかが、私を抱き起こしてくれているらしい。
そして、口のなかにどろっとした臭いものが入ってきた。
クサー!!なにこれ!!クサイッ!!
やめろっやめてくれっ!!
どうにか顔を動かして、この臭いものを吐き出したい。
しかし、吐き出すことも出来ない。
口一杯の臭いものに、私は死ぬんじゃないかと思った。
「飲み込めないのか?」
そんな声と共に、水分が少しずつ口に含まされる。
ううあああ!!
臭いものが水分として、喉を通っていく!!
いやだぁぁぁあ!!
…とそんな事を思っているうちに、私の意識はまたもブラックアウトしたのだった。
しかし、そんな臭い食べ物地獄は、しばらくの間続いた。
といっても、3食とかではなく。
気がつくと、誰かが食べさせてくれるという代物だった。
目が覚める→誰かがいる→臭い食べ物を飲まされる。
この、連日のコンボで私の精神力はガリガリ削られていた。
もう、早いとここの生も終了していただきたいと、目が覚める度に切に願っていた。
何日たったのか、まったく分からないながら、私はある日から元気になりつつある事に気がついた。
目がだんだん見えてくるし、少しだけ寝返りを打ったり動いたりが可能になってくる。
食べさせてくれる誰かにしても決まった人ではなくて、何となく似たような薄汚れて痩せた少年たちだという事を認識出来るようになってきた。
「…ほら、コル。頑張って食べろよ」
結構な頻度で私に付き添ってくれた少年が、臭いお粥
みたいなものを匙にすくってあーんを繰り返してくる。
いい加減なれろ自分、と思うのだが、全然むりなので、鼻から息をしないようにしてこの、謎の食事を飲み下す。
息を止めているので、何度もむせる。
そんな事を繰り返していた。
「…あーあ、またこぼしちゃって…」
しょうがないなぁと言いながら、少年が私の溢したそれを拾って口にいれている。
いや、うん…あの、皆見るからに欠食さんだものね。
わかる、わかるよ!
でもさ、も少しどうにかできるだろ。
じっと見つめる私の視線に気がついて、少年がなんだよと口を尖らす。
「…そりゃさ、コルは女の子だから、元気になったらまた高い値段で売れるからさ、レンがソルホの飯屋から残飯もらってるのも、分かってるけどさ…」
俺だって、こんな具のあるめしが食いたいよ!
という、少年のぼやきは私の耳に殆ど入ってこなかった。
…おい、これって…ヒエラルキー底辺の転生になってねえか??
読んでくださりありがとうございました。