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ツリーハウスとは

イサクとオヌマが落ち着いた頃あいで、既にイム君とレンで話が進んでいたようだった。


「…木の上の家かぁ…イム、見たことあるか?」


「ないよ。…でも、確かに何回か木の上で寝た事はある」


でかい熊に追っかけられた時に、父さんと朝まで木の上で寝たなぁと嬉しそうにイム君が話している。


…あの、できればそっちに混ざりたいのですが…このひっついている、オヌマとイサクを何とかしてください…。


「…あ、俺、材料あればはしご作れるぜ」


コル欲しいんだよなぁとオヌマが言ってくる。


え?そうなの?凄くない?


「えー!?なんだよ、なんかズルいぞ!俺もなんか作る!」


イサクも何だか張り切ってそう騒いでいる。


…あれ?そういえば、この二人って何かの親方の所に居たんだっけ。


「…そうだったな、建具師の息子が二人も居れば、何とかなるかな」


レンが言うと、イム君もそうだったねと頷いていた…。


建具師が何なのかは余り分からないけれど、何やら大工のような物なのだろう。


「よーし、そんじゃ、ヨグ婆のとこいって、もっとなんか貰ってこようぜ!」


ええ?それって大丈夫なのか??


私がイサクの発言にぎょっとしている間に、よいしょっと米俵みたいにオヌマの肩に担がれる。


「ほんじゃ、さっさと行ってさっさと帰って、作らないとな」


オヌマの言葉にイム君がささっと火に砂をかけて消して背負子を背負い、レンを先頭に皆でヨグ婆の所へむかって山を下り始めた。


結構な速度で歩かれるので、私は途中でイサクの背中におんぶしてもらうことにした。


…米俵担ぎだと、お腹が圧迫されるし、気持ち悪くなってしまうのだ。


オヌマは不満そうだったけど、私はさっさとイサクの背中によじ登り、知らんぷりをしていた。


体感で30分位してくると、ようやく農家に近い開けた辺りにやって来た。


思ってたより、山の奥の方に私達のツリーハウスは作られる事になりそう。


でも、それくらい遠い方が、レンをねらってるとかいうなんちゃらかんちゃらからも見つかりにくいと思うし、安心だな。


私が歩いてきた道を振り返りながららうむうむと納得していると、イサクがほらと小さい木の枝をほらっと渡してくる。


「噛んでみな、コル。美味しいよ」


あ、これは昨日噛んでた木の枝ですな。


さてさて、どんな味かな…。


思いきって、かしゅっと枝を噛んでみると、じゅわりと甘い液が出てくる。


ふぉ、生臭いというか、青臭いけど、そういえばこの世界で初めての甘味かもしれない。


果物は別として、こういう砂糖になりそうな物は初めてかもしれない。


これって、絞ったりしたらお砂糖作れるんじゃないの!


ちょっと興奮しながら無心でかじっていたら、オヌマが横から枝を差し出してきた。


「…コル、これもかじってみな」


んん?何か味が違うのかな?


ちょっと楽しくなりながら、かしゅっと噛んでみた。



「…っっぶぁぁっ」


ぺっぺと口から枝も唾液も何もかもを吐き出す。


イサクも私の異変に気がついて、立ち止まってくれている。


「コル?大丈夫か?」


何したんだと、前を歩いていたレンとイム君も走りよってくる。


うひゃひゃひゃと嬉しそうなオヌマの笑い声が本当に悪魔の声に聞こえる。


…びっくりするほどの、ミントが口のなかを駆け抜けた感じだ、下がビリビリして、うっすら涙が浮かんでしまう。




…にゃーろー。オヌマめ!ぜっったい、仕返ししてやるからなっ


読んでいただきありがとうございます。

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