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たき火は命綱である

ぱちり、と目を覚ましたのは何かの声が聴こえたからだ、絶対に多分ウォーとかオオーンという声がした。


がばっと起き上がってしまったけれど、数日前まであっただるさは、大部ましになってる。


一食とはいえ、栄養価の高い物を食べているので体調がましになってきたのだと思われる。


周囲は深い霧に覆われていて、いかにも何かが出るぞという雰囲気をかもし出している。


ふと、目の前を見るとたき火が細い煙を上げていて、消えそうになっていた。


私は、慌ててその辺にある落ち葉や枯れ葉を足しながら、ふうふうと息を吹きかけた。


霧のせいで、枯れ葉や木が湿ってしまったんだと思われる。


煙は多くなったけど、なかなか激しく燃えるまでには至ってくれない。


息を吐きすぎて頭が少しくらくらしてきた。


「…コル、どうした…?」


眠そうなイサクが声をかけてきたので私はとりあえず、消えかけのたき火を指差した。


「…うわ!ヤバイ!!おい、皆起きろ!」


イサクが大声を上げながら、自分がかけていた布の端を持って、バサバサと風を送る。


炎が少し立ち上がってきたので、今度は手近な木の枝をかき集めるために右往左往する。


「…コル、いいよ、大丈夫だ」


イム君が私に声をかけてくれながら、自分が持ってきた沢山の枯れ枝をバラバラと火にくべた。


レンとオヌマとイサクの三人が布で風を送って、ようやく火が安定したを



「…ごめん、俺、いつの間にか寝てた…」


パチパチと炎が音をたて始めた頃に、オヌマがしゅんと項垂れた様子で皆に言った。


「…まあ、お前一人のせいじゃないよ」


順番に火の番をするべきだったよな、とオヌマがレンに同意を求めている。


…うん…まあ、そうだよね。


外で寝るってそういう事だもんね。


…しかも、何やら人を食べるのとかもいるらしいし……。


どうにか、手っ取り早く外敵から身を守れる方法はないか…。


と、私は辺りを見回す。


立ち込めていた霧が少し薄くなってきたお陰で、自分の居場所が少し分かってきた。


昨日、イム君と山芋掘りをした近くで、中々立派な木が生えていた場所だった。


昨日は行かなかったけれど、この近くに川があるとイム君が言っていたので、水も豊富なんだと思う。


「…おれ、とりあえず、水でも汲んでくるよ」


イム君は、ヨグ婆の所から借りてきた

古びた大きなバケツを持って、水辺に向かって走っていってしまった。


「―イム!一人で行くなよ」


俺も行ってくると言いながら、オヌマがその後を追っていった。


…皆、本当によく働くよなぁ。

…偉いよね。


同じ年頃の私なんて、家でテレビ見たり、マンガとか本とか読んで、だらだらしてたなぁ…。


と、つくづく皆に感心しながら、私は自分の唯一の財産"前世の記憶"を探る。


何か…手っ取り早く身を守れる何か…私達のお家になるもの…基地でもいいと思う。


「…コル、何か食べられる物がないか一緒に探そうか」


「あ、そうだな。皆で探そうぜ」


レンの提案に、イサクも楽しそうに頷いた。


前向きさんだなぁ皆…。


そんな、訳で私達は、決してたき火から離れすぎない程度の地面をがさがさと棒でつつきながら、食べられる森の恵みを探し始めた。


地面にはどんぐりみたいな感じのなんか、丸っこい木の実が所々落ちていた。


山団栗(イフォ)の実だな。食べられなくはないけど、結構手がかかるんだよなぁ…」


オヌマはぶつぶつ言いながらも、山団栗を拾っていた。


私も、真似をして一生懸命に山団栗を拾った。



うん…どれくらい拾ったらお腹は膨れるんだろう…。


読んでいただきありがとうございます。

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