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ゴミ溜め屋敷の彼女  作者: 新尾田
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腐臭通り

初めての投稿になります!なんでもいいのでメッセージくれるとありがたいです!アドバイスとかも是非是非!!

高校2年生の放課後、それは青春を刻む貴重な時間。


ある者は部活に精を出し、ある者は友達と一緒に帰ったり、遊びに行ったり、楽しい事がたくさんあるだろう。

そうしてあわよくば、そう、運が良ければ恋人なんかも作ったりして…。

そんなドラマみたいな高校生活に憧れて俺は過疎化が進みに進みまくった田舎から都会に上京した。


「おーい、アキラもう行くぞー」

「おーっす」


男友達も女友達もたくさんできた。

ユOバも行ったし、ディOニーラOドも行った。

だから次の俺の目的は、やってみたいことは…


「今日誰かの家でだべる?」

「いいかも!こう、のんびりしたいよね〜。」

「あ、あたしもそれに賛成!!」

「じゃあ勉強会でもするか?」

「げ、真面目かよ引くわー。」


俺が心から求めているのに全く出来そうにないことは…


「じゃあ、俺の家に来ないかな、なんて?」

「「「……………。」」」

「い、家もきちんと整理してあるし、それなりに広いから皆来ても大丈夫だし、勉強会とかするのにもってこいだと思うんだけどな〜…」

「え、あぁ、うん。」

「まぁ、別に今日もどっかに遊びに行くのもいいかもね…。」

「そ、そーだよね〜、あたしもそれに賛成かな〜。」

「ゲーセンに行くか!無性に行きたくなってきた!」

「え、それ昨日も行ったじゃん?」


それは…


「な、なんでだよ!なんで皆俺の家に来たくないんだよ!?」

「だって、なぁ?」

「だって、ねぇ?」


「「「お前ん家、臭いらしいじゃん。」」」


お友達を、そして、恋人を(いないけど)お家に呼ぶことなのです…


「くく、残念やったなぁ、アキラ?また振られてやがんの。」


帰り道を歩きながら、俺の肩をバシバシ叩き笑いを隠そうともしないこいつは篠田 修二。

特に仲がいい、俺の友達だ。

神社の次男坊で家に行くと甘酒をいつもご馳走してくれる。


「くそ、なんでさ。俺 毎週掃除してるのに、っていうかお前の部屋よりもよっぽど綺麗にしてるのに…」

「そりゃあ、お前、答えは簡単や。お前の家が"腐臭通り"にあるからに決まってるやん。」

「く…!」


そう、みんなが俺の家に来ない理由は、俺が"腐臭通り"に住んでいるからだ。正しくは坡州通り。

しかしその肺を犯し、鼻をもぐような悪臭から、腐臭通りと呼ばれている。

実は俺が上京することを両親に伝えた際、猛反対にあった。

超が付くほどの過疎地域である俺の故郷では俺みたいな若者は貴重な労働力。

何がなんでも手放したくなかったのだろう。

そんな親の猛反対に逆らって上京してきた俺には当然のごとく仕送りはないわけで、俺には少しでも安い住居が必要だった。

それが腐臭通りの奥をいったところにある小さな一軒家、家賃月2万円ポッキリの破格の物件だった。


「ほな、俺はここで。」

「ん、じゃあな。」


ちなみに修二の家の神社は腐臭通りからあまり離れていないところにあったりする。


「うげぇ、こっからでも臭うわ。」


修二は鼻を指でつまんで顔をしかめた。


「よーまあこんなくさいところ住めるもんやなぁ。」

「うっせえ、仕方ないだろ?それにこれだけ距離が離れてたら臭わないだろ?」

「アキラ、それが本当やったらお前の鼻はもういかれとる。手遅れやで…。」

「まさかぁ、嘘だろ?」

「…。」

「その哀れみの眼差しをやめろ!!」


修二と別れてしばらくするとあの匂いが大気に満ちてきた。

匂うだけでなんとなく、空気の密度が高くなったような、独特の悪臭。

その臭いを振り切るかのように早足で自分の家に向かう。

しかし家へ近づくほどこの悪臭は強くなって行く。そして、腐臭通り最奥部、悪臭が極悪臭にクラスチェンジしちゃったところに我が家がある。

全く、臭くてため息すらつけない。

そして、家へ入る前に俺は向かい側の屋敷を睨みつけた。

この悪臭の根元にして、俺の青春の邪魔をする悪魔の屋敷、その屋敷は所謂、ゴミ屋敷というやつだった…。

敷地はかなり広い。

多分学校の体育館4つ分くらいは軽くあるんじゃないだろうか?

そして文字通り、ゴミで溢れかえっている。

門の両端にはゴミ袋がこれでもかというくらい積み上げられていて、塀の上からもゴミ袋がのぞいている。

少し、門の中を覗き込むと、雑誌や、お菓子の袋から実験室にしかないような器具、そして、どこで手に入れたのであろう巨大なこけしやら、自由の女神像、トーテムポールまである。

この屋敷の持ち主は相当の浪費ぐせがあるみたいだ。

本当にこの屋敷の持ち主はどんな人なんだろう?

きっと金が有り余っている歳をくった老人に違いない、なんて失礼な事を考えながら俺は自分の家に入った。

家の中に入っても漂い続ける、消えない悪臭に舌打ちをしながら。

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