1話:仲間と道
間章の1話目です。
リュートが光を発しながら消失したのを目撃していたライム達三人はしばらくの間呆然と立ち尽くしていた。
「……って、リュートさん!」
真っ先に正気に戻ったのは、リュートと一つの約束をしていたライムだった。
「に、ニーナさん、フェリスさん、お気を確かに」
ライムは未だリュートが消えた方向を見ているニーナとフェリスを正気に戻そうと呼び掛ける。
「……はっ、す、すまない。突然の出来事で……」
「……ん、おどろいた 」
ニーナに呼び戻されたフェリスとニーナは、まだ少しボーッとしながらもライムの呼び掛けに答えた。
「そんなのは私もです。しかし、今はそれよりも考えなければならないことがあります」
もちろんライムだって動揺はしている。しかし、ライムはリュートから仲間の事をよろしくという約束を守ろうと、必死に冷静になろうとする。
「考えなければならないこと? なんのことです?」
「……?」
リュートとライムのやり取りを知らない二人は首を傾げている。
「実は、私リュートさんともしもの時はどうするかを話していたんです」
ライムは自分がフェリスとニーナを引っ張っていくように指示されていると話す。
「そうですか。それで、ライム殿はどうするつもりなのですか」
「……リュート、さがす?」
ライムが自分達の仮のリーダーになると教えられても、フェリスとニーナには戸惑いも驚きもしなかった。それよりも、二人はこれからライムがどうするのかについて、真っ先に反応していた。
「えっと、私がこんなこと言うのもあれですけど……私がリーダーでいいんですか?」
むしろ、あまりのスルーぶりにライムの方が思わず聞いてしまった。
「いいに決まっているでしょう? むしろ、ライム殿でなければまとめられないと思いますよ?」
「……ライム、わたし、うけいれてくれた、わたしも同じ」
「……ニーナさん」
ライム達がニーナを仲間と言ったように、ニーナもまた、リュート、ライム、フェリスを大切に思っている。
(これもリュートさんのおかげですね)
同族からは迫害されていたライムは、ニーナやフェリスという仲間ができた事に感動すると同時に、自分達の中心であるリュートに感謝の念を抱く。
(リュートさん、わたしもっとがんばれそうです)
何処に消えたリュートにそう伝えたライムは表情を真面目なものに変える。
「――これからについてですが、リュートさんを探しには行きません」
「な! 本気ですか!」
てっきり、リュートを探しに行くと思っていたフェリスは驚愕する。
「はい、リュートさんを探しに行くのではなく、私達は王都に向かいます」
「何故王都に……」
フェリスはライムの目的がわからないと疑問の声をあげる。
「強くなるためです」
それに対しての、ライムの返答はたったの一言。しかし、その一言で充分であった。
「……つよく。なる」
「主殿のためにも私達は強くならなければいけない」
ニーナとフェリスはライムが言おうとしていたことを察することができた。
「ハイ、そうです。私達は強くならないといけません。だから、王都に行くんです」
「し、しかし、ライム殿。何故王都なんです」
現在いるレイドタウンから王都まではフェリス達の移動速度でも二週間はかかる。特訓するならもっと近場でもいいとフェリスは感じていた。
「それは王都の近くには難易度の高いダンジョンがあるからです」
ライム、フェリス、ニーナは旅の間リュートからこの世界についての勉強を受けていた。リュートもまだ、異世界の全てを知っているわけではないがダンジョンの事は教えてあった。そのためフェリスとニーナはライムが言ったダンジョンを知っており、また、何故わざわざ王都まで行くのかを理解した。
「なるほど。それならば王都に行くことも納得です」
フェリスは得心がいったと頷く。
「ありがとうございます。……それで、ニーナさんはどうですか?」
頷いているフェリスはライムの考えに賛成した。しかし、ニーナはどうなのかとライムは顔を向ける。
「……ん、わたし、つよくなりたい」
ニーナは拳を握って既に行くことを決心していた。その熱量は無表情ながらもこの中で一番のものだった。理由は単純――ニーナが一番弱いからだ。呪いによってステータス、スキル共に制限されているとはいえ、今現在のニーナが弱いという事実は変わらない。そのせいで誘拐されるという事件まで起こしてしまった。
だから強くなりたい。自分のためにもなにより、自分がいてもいいと言ってくれた仲間のためにも、だから絶対に強くなる。ニーナはそんな決意を胸に抱いていた。
「決まりですね」
ニーナの様子から聞くまでもない。この瞬間、ライム達の目的地が決まった。
「では、直ぐに準備して出発しましょう」
(リュートさん、私がんばります。だからどうか、どうかご無事でいてください)
ライムはリュートの無事を願う。
だけど、心配の気持ちは顔にはださない。
「行き先は王都アスクリスです!」
そして、ライム達はその二時間後にレイドタウンを出立した。
そして、そこでライム達は異世界の住人と出会う事になる。その結果がどうなるかは誰も知る由がない。
次回は勇者側を書きます。
そして、前から言っていた修正を始めました。
現在一章が終わった所です。一章の間章から加筆していきます。
そしてそして、初の短編を書きました!
タイトルは魔王ゼロスタートです!
面白いとの意見があれば後に連載にする予定です。




