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異世界転生(運命から逸脱した者)  作者: わたあめ
~異世界転生編~
3/52

1話:転生とスキル

主人公はチートになりますが、最初戦闘の初心者です。


7/5に修正しました。

薄暗く、じめじめとした空気が漂う中、枝を踏み鳴らしながら、一匹の狼のような獣が姿を現す。


その獣は漆黒の毛を持ち、醜悪な息を吐き、口からは鋭い牙を覗かせる。


瞳をギラギラと輝かせ、草むらに潜んだ、獣は息を殺し伏せの体勢をとる。そのまま動かない事から獲物を待っているものと思われる。

その時、すぐ近くを通る一匹の小さな獣、ふわふわの白い毛を持ち赤い目をしていて、一見ウサギに見えるが、その額には一本の角が生えている事から普通のウサギじゃないと分かる。


そう、二匹の獣はモンスターだ。

待ってましたとばかりに兎モンスターに漆黒の獣が飛びかかる。


ウサギのモンスターは気付いてないのか振り向く素振りを見せない。


早くも勝利を確信した漆黒の獣は口からわずかにヨダレをこぼす。


漆黒の獣は牙を兎の柔肉に食い込ませ、噛みつこうとする。

しかし、その瞬間、兎のモンスターが漆黒のモンスターの視界から消え去る。


「ガッ!!」と声をあげ、獲物を見失った事に驚くモンスター。だが、直ぐにその鋭敏な嗅覚が相手の居場所が自身の頭上に居ると捉える。が、それはわずかに遅かった。


モンスターが上を仰ぐと同時に何か鋭利な物によって瞳を貫かれる。それは、兎のモンスターから生える一本の角だった。


鋭く尖った角は眼球を貫通し用意に脳に達する。

漆黒の獣は体を大きく痙攣させ、そのまま事切れる。


兎のモンスターは角に脳髄の液と血液をつけたまま去っていく。

そんな森林で起きた出来事を龍聖は岩山の中程にある崖際から見下ろしていた。


「すごいな……」


龍聖は地球ならあり得ない、小型の兎が狼を刺し殺すという光景を見て呆然と呟いた。


龍聖は『視る』事でもしかしてとある程度、予想はできていたがそれでも僅かに驚いていた。


「スキルの有無…か」

龍聖はモンスターの勝敗を分けた理由に気づいていた。



神の話では、この世界は地球よりも神等の人知を越える存在が近く、地球に比べると干渉しやすい。そのため神の力で、生き物には全てその者のステータスが数字として現れる。また、レベルという概念も存在しており、レベル上げる事により、生き物はステータスを上げ、更なる力を得るようだ。


ステータスはレアスキルと言われる鑑定があれば見えるらしく、また、なくてもステータスを見るための道具を使えば見ることができる。

龍聖は鑑定は持ってないが同じような事ができるスキルを持っていた。龍聖には二匹のモンスターのステータスがこう見えていた。


一角兎

Lv:18 HP128 MP75

力150、耐久100、敏捷255、器用30

スキル:一本突き


ダークウルフ

Lv:12 HP250 MP30

力250、 耐久200、 敏捷130、器用50




種族としての差なのか、狼のモンスター方が力などのステータスでは高い。しかし、敏捷と一本突きスキルによりあの狼は負けてしまった。


ちなみに龍聖は自分のステータスは目に見えずとも感じる事ができていた。


名前なし

Lv:1 HP80、MP275

力20、 耐久60、 敏捷30、器用80

スキル:神眼、適応進化、学習、孤独、主従契約


龍聖のステータスはものすごく低かった。


また、転生したためか、名前がまだ無いらしい。

しかし、そんな、弱い龍聖のステータスにも特筆すべき点があった。なんと、龍聖にはいきなり五つも固有スキルがあったのだ。

龍聖は知らないが、本来その者だけが持つ固有スキルは発現が極めて難しいもので、また、発現させた者でもスキルは一つしかない、二つあるだけでも鬼才と云われる固有スキルを五つ持つ龍聖は、ハッキリ言って異質であった。


さき程からステータスを見たりしているのは、スキル『神眼』を用いての事だ。


どうやらいろいろな使い方がありそうだが、今の龍聖にはステータスを確認する事にしか使えない。


「……やばいな」


だが、一見五つもスキルがあって良さそうだが、名を見た感じ、どれも戦闘系のスキルでは無いように感る。何よりステータスが弱すぎる。 龍聖は現段階で動き回るのは困難だと感じていた。


「このままじゃモンスターにあったらすぐに殺されちゃうな」


龍聖には心配事がもう一つあった。それは、新しい肉体についてだ。


龍聖の視界は、高さが三十センチは低くなっており、髪も真っ白になっている。龍聖は子供の姿になっていた。


龍聖は同じ姿のまま転生するのかと思っていたが、どうやら神は全く新しい体をくれたようだった。


しかし、そこは神の作った体、子供サイズといえども高いスペックを持っていた。

それは先程のモンスター達の戦いを正確に捉えているほどだ。


だけどそれでも新しい体はいつ危険なめにあうか分からない今、慣れていない肉体に龍聖は不安を抱いていた。


だけどそれでもまだ龍聖の危機意識は低かったらしい。


気が付けば、ものすごい速さでこちらに向かってくるモンスターの足音が聞こえてくる。


聞こえてくる足音はかなりの大きさだった。恐らく迫ってきているのは大型のモンスターだと龍聖は気づく。


安易に崖際にいた龍聖が山道に戻るよりも、モンスターが上の道から姿を現した。


それは二足歩行で二・五メートルはありそうな筋骨隆々のモンスターだった。


頭部がわずかに2本の角で盛り上がっているが、先程の一角兎と違い、先が丸くそれ自体に殺傷能力があるとは思えない。


だが、このモンスター相手では、そのような事は些事な事でしかない。そこで龍聖は前もって準備をしていた『神眼』を使う。


スキルは任意で発動させるため、慣れていない龍聖では、スキル発動に時間がかかってしまう。


オーガ

Lv:25 HP700 MP80

力420、 耐久318、 敏捷200、 器用20

スキル:頑強、剛腕


これがオーガのステータスだ。


圧倒的ステータスの差に、攻撃向きのスキル、龍聖には勝てる要素が一つもなかった。


不幸にもここは崖際、逃げるにしてもオーガの方に近づかなけらばならない。しかも、道はオーガの巨体で埋められているため、狭い幅を抜けて逃げるなんてほぼの確率で不可能だ。


後ろに逃げるにしても、飛び降りるしかない。転生してそうそうに龍聖は詰んでしまった。


幸いにもオーガは追い詰めたと確信してるのかその歩みはおそいが、このままじゃ、じり貧だ。

このままでは、ただ殺されるだけだ。


どうする、龍聖は自分にそう問いかける。

決まっているやるしかない。龍聖は息を全力で吸い込み、


「わっ――!!」

そして叫ぶ。

「ぐぁ!」

急に大声をだされて驚いたオーガの足が止まる。


その瞬間、龍聖は顔面めがけて地面に落ちてた小石をいくつも投げる。


「うごっ!」

運よく投げた石の一つが目に当たったらしく、オーガはうめき声をあげながら顔を押さえる。


龍聖はラッキーだと思いつつ後ろの崖の先端に向かって走り出す。


何をしおうとしてるのか気づいたオーガは、慌てて龍聖を追おうとする。


一瞬で彼我の差を消しに来るオーガだが、龍聖の足が空中に出る方が僅かに早かった。


それでも諦めないオーガ同じように足を踏み出す。


「!?」

しかし、そこでオーガは声も出せずに驚愕の表情を浮かべる。


掌を地面につけて垂れ下がる自分の獲物で。慌ててたオーガはまんまと罠にはめられた事に気付く。


「グォォォォォッ――」


落ちていくオーガ、下は森林だし高さもそれほどないしオーガは死なないだろう。

だがそれでも龍聖が生き延びたのは確かであった。


「単純な作戦だけどうまくいったか……しかし、この体はやっぱすごいな」


自重が全て掌にかかっても腕や体に疲労が全然なかった。


「早く山を降りないとな、いつ戻ってくるか分からない」

龍聖は岩山を降りようと道を下っていく。




それから岩山を降りた龍聖は、森林に出ていた。

先程上から見下ろした時に、ここを抜けた先に小さな村が見えたためだ。


神は龍聖を人里の近くに送ると言ってたが、モンスターだらけの森を抜けるのは容易ではない。


わざわざ岩山なんて所に転生させたという事は、これは神が楽しむために用意した一つの試練なのだろう。


「これは使えるか」

地面に落ちていたけっこうな太さの木の棒を龍聖は拾う。武器がわりにするためだ。


龍聖は慎重に先程見た景色の記憶を頼りに進んでいく。オーガの時といい、運がいいのか、ここまで十分程モンスターとは遭遇していなかった。


龍聖のそんな考えがフラグになったのか、十メートルほど先の草むらを、かき分けたモンスターが姿を現す。


現れたのは背は子供位の龍聖の身長よりも、更に十センチほど小さく、また、全身緑色の人形のモンスターだ。耳は尖り小さな牙がみえ、手には龍聖と同じように木の棒を持っている。所謂ゴブリンだ。


そこで龍聖はいくぶん使う速度がスムーズになった『神眼』を発動させる。


ゴブリン

Lv:3 HP90 MP12

力36、 耐久20、敏捷25、器用30


どうやらこの世界、ガイアには龍聖でも戦えそうなモンスターもいるようだ。


本当は戦わなくてもいいが、自分の力を把握するいいチャンスだと龍聖は戦闘を行うことに決める。


龍聖の姿を認識した瞬間ゴブリンが襲いかかってくる。その動きは龍聖の速さとたいして変わらない。


「いや全力ならわずかに俺のが速い!」


龍聖も自らゴブリンに突っ込んでいく。龍聖とゴブリン、お互いの距離はあっという間にお互いの攻撃の間合いに入っていく。


ゴブリンは木の棒を振り下ろす。その棒さばきは、大振りで力任せの雑なものだ。避けるのは容易と考えた龍聖は、しかし、自身の力を量ろうと真っ正面から棒を受ける。


棒どうしがぶつかりあい、森林に甲高い音が鳴り響く。

「くっ」

力は僅かにゴブリンの方が強い。龍聖が少しずつ押されていく。


「はっ!」

龍聖は埒があかないと無理矢理押し返す。


しかし、無理やりに押し返す龍聖の攻撃は簡単に避けられてしまう。ゴブリンが下がり、ふたたび攻撃の間合いから外れるお互いの距離。


ここまでやってみた感じ、ゴブリンの力さえ気にすれば勝てると龍聖は感じていた。


今度は俺が攻める! 意気込む龍聖は駆け出していく。そんな龍聖にゴブリンは警戒し、武器を構える。


龍聖は勢いを落とす事なく真っ向から攻めかかる。


ゴブリンは棒で受け止める。だが、龍聖の小ぶりで素早く叩く攻撃に、次第についていけなくなったゴブリンは次第に傷痕を増やしていく。


それから何度も同じ事を繰り返していくとゴブリンが満身創痍になる。

傷つき、フラフラになったゴブリンに龍聖は止めの一撃だと全力で殴打する。

それが決め手でゴブリンは倒れる。


疲労を感じた龍聖が息をととのえていると頭に声が聞こえてくる。その声は女性とも男性ともつかない中性的な声だった。


『スキル【孤独】が発動、Lv上げをブロックしました』


「レベル上げのブロック!」

龍聖は急いで自身のステータスを確認する。


名前なし

Lv:1 HP120、MP275

力30、 耐久80、 敏捷45、器用83

スキル:神眼、適応進化、学習、孤独、主従契約


レベルは同じだがMP以外全て上がっている。


もしかしたらMPはレベルが上がらないと増えないのかも知れない。そう考えるとこの『孤独』というスキルはレベルは上がらないがステータスを大きく上げることができるスキルという事だ。

龍聖はそう推理した。


「魔法を使えない今はこれでいいけど、後から大変な事になるかも知れないな」

先の困難を考えながら歩きだそうとした龍聖に、後ろから枝が折れるような音がした。


龍聖が振り向くとそこには牙を剥き出しにして、腕を突き出す先程のオーガがいた。


「うそだろ」


そう呟くと同時に体を襲う衝撃に龍聖の体は吹き飛ぶ。そのままふきとんでいった龍聖は大木にぶつかり地面に落下する。


「かはっ」口からは血が吹き出し、足がダメージによりふらつき立つことさえままならない。


一撃。たったの一撃で龍聖の体はボロボロにされた。


甚大のダメージを受けた龍聖がテータスを確認するとHPが半分の60まで減っていた。


とっさにガードをしていなければ死んでいただろう。


「何でこうも早く……そうか、さっきの戦闘音」

ゴブリンとの戦いで龍聖は音を出しすぎてしまったのだ。


ボロボロの龍聖を見たオーガが笑いながら近づいてくる。

このままでは、殺される。そう思った龍聖を上から見下ろすオーガは容赦なく腕を上げ、攻撃の構えをとる。


どうやらここまでのようだ、先程みたいに逃げるのはもう不可能だ。龍聖が冷静にそう考えていると、突如オーガを爆発が襲った。


「グァー」痛突然の爆発にオーガは唸り、叫ぶ。そんな中、龍聖はオーガを襲った爆発の余波で横に転ばされていた。


状況を理解していない龍聖が頭を必死に回していると、近くから怒声が聞こえた。


「ばか野郎っ!子供がいんのになんて魔法を使ってんだ」


「すいません、まさかオーガがいたからつい」


「……たくっ、おいボウズ、いや嬢ちゃんか? ええぃとにかく無事か」


どうやら助けが来たらしい。龍聖はボロボロになりながらも弱々しく頷く。


「……よかった、間に合ったか、待ってろ今助けてやる」


鎧を着けた帯刀しているあご髭の生えた四十代位の男が龍聖にそう言う。


「マジっすか!オーガっすよ俺達だけじゃ無理っすよ」

同じ装備のもう一人の三十代の男が無茶だとあごひげの男に泣きそうな声で叫ぶ。


「そんなのは分かっている、だがあのオーガは仲間に見捨てられたはぐれだ、そうでもないとお前の魔法なんてオーガに通じるわけないだろ」


「その通りっすけど、ひどいっすよバルトさん」


どうやらあのオーガは種族の中でも弱いらしい。それであの強さ、オーガという種族はどれだけ強いのだろう。

龍聖は体の痛みを感じながらもそんなことを思っていた。


その後の展開は早かった。遠距離から魔法をうち確実にダメージを与えていく男と、剣で斬りかかるバルトという男。だが、そこでバルトの剣の方がオーガの肌にぶつかった瞬間弾かれてしまう。

オーガがスキル『頑強』を使ったためだ。頑強は体を鉄に負けないほどの堅さにする効果をもつ。


そのまま攻撃に移るオーガは拳を振るう。


大振りの拳は簡単に避けられ、拳は地面に突き刺さる。


その瞬間舞い上がる粉塵、拳は地面に刺さったまま、半径1メートル程のクレーターを作る。


ものすごい威力だ。これはスキル『剛腕』をによってだった。


見た通り攻撃力を飛躍的に上げるのがそのスキルの効果だ。


動きを止めたオーガに向かい剣で斬りかかるバルト、オーガもスキルは同時に使えないのか、その体を斬られる。


オーガはそのまま出血多量によって息絶える。

「本当に恐ろしいぜこれで雑魚なんだからよ」


バルトが死んだオーガに畏怖の言葉を言うなか、龍聖は助かった事で安心したのか、急激に意のく意識に身を任せ瞳を閉じる。


最後に頭に響く『【学習】を発動しました』という音と共に龍聖は本日三度目の眠りについた。


誤字脱字などの、感想があったらどしどし送ってください。

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