プロローグ2
プロローグはこれで最後です。
※魔獣からモンスターに変えました。
修正したやつを投稿していきます。
目が覚めると白い空間に立っていた。
周りを見渡しても白一色で、 先を見ても果てが見えないほどの広さだ。
ここは長く居ると発狂してしまいそうな場所だなと思っていると、ようやく自分の状況に気づく。
体にケガはなく異常も特に無い。
「……どういう事だ誰かが助けてくれたのか?」
あの状況で助けが来るとは思えないが、それにあの時のケガは確実に死ぬような物だった。
まさか神様が俺の願いを聞いて天国に連れて来てくれたとか、……なんてことないよな。
「う~ん、違うかなここは天国じゃないし君のお願いを聞いて連れて来たわけでもないよ」
「……っ!」
突然少し高い少年のような声が聞こえた。
瞬間目の前に十二、三歳の少年が現れる。
気配を消したとかではなく、急に目の前に存在が生まれたような、そんな感じがした。
「あぁ、すまない驚かせてしまったかい、人なんて久しぶりに会ったからつい」
そうやって笑顔で謝ってくる少年はただ者では無いと一目で分かる。
少年は黒と白が混じった髪の毛をしていて、金と銀のオッドアイに、見たこともない七色に輝く数珠をつけている。それらよりなお目を引く、人とは思えないほどの整った美貌を持っていて。
それらは神々しさに溢れていて、まるで本当に神様のように思える。
「…………いや~照れるな~でもそうだね僕は君達が言う、いわゆる神だよ」
どうやら本当に神らしい。先程の事といい俺の思考を読んだ物言いから少なくともただの人間では無いだろう。
「思考を読まれた事を気にするなら読まれないように思えば平気だよ。警戒されると読めなくなるんだ」
本当か定かではないが、確かめる術を持たないので一応言うとおりにしてみる。
「天国じゃないって事は地獄というこのか……悪いことをした心当たりが無いんだけどな」
そういうと神は「そういう事じゃ無いんだけどな」とつぶやく。
「それじゃあ、神様がどんな用で俺を連れてきたんだ」
「君は運命を信じるかい」
「運命なんてあんたの存在よりは信じていたよ」
「ははっ、それもそうだね」
「それで運命がどうした」
「運命……それは誰もが持つその人が必ずたどる道のようなものだ。勿論そんなもの人は認識できないし変える事もできない、……僕達神等を除いてね」
「神は出来るのか?」
「僕達は、認識が出来るし、勿論変える事もできる。……では本題だ。僕はこの運命が理由で君をここに連れてきたんだ」
「運命が理由? どういう事だ?」
「君は本来は死ぬはずじゃなかった―― いや、それどころか君はクラスメイト達と共に異世界を救うために異世界に召喚されて転移するはずだったんだ!」
「異世界転移?」
思っても見なかった事を言われた。
神だけでも信じられない出来事なのに、異世界転移なんてものまでも追加されるなんて。
「でも、待てよ召喚も何も俺は死んでいるし……まさかあんたらが何かしたのか」
先程言っていた事が本当なら運命を変えられるのは神達のような存在だけだ。
「いやいやちょっと待ってまって、違うんだ、僕はそんな事じゃわざわざ君を連れて来ないよ!」
「そんな事って……」
「……?」
どうやらこいつにとっては、運命を変えて殺す事は、そんな事であるらしい。
俺は自分の考えが人より異常だという自覚があるが、常識というものは知っているつもりだ。
この神が特別なのか神というのはそういうものなのかは、俺にはわからないが、おそらく後者なのだろう。
「いや、何でも無い続けてくれ」
「そうかい?先程も言ったが僕達は運命を変えられる、でもそれは認識して初めてできるんだ」
「まさか、という事は……」
「そう、君には運命がない! それか僕達が認識できないようになっているんだ」
「いや、だが俺の運命は異世界に召喚される事だと言ってただろ」
「それは君が生まれる前に視た運命なんだ。僕達神はこの広大な宇宙や次元を見てるんだ。常に一つの星の、更にその中の一人を視るなんて事はしないんだ……驚いたよ死ぬはずじゃなかった君が死んで、たまたま誰が運命を変えたのか視ようとしたら君の運命が認識できないんだから」
どうやら本当に驚いたらしく、ものすごく興奮している。
「それで、俺を連れてきて何をさせたいんだ」
「君はさすがだね、話しが進みやすくて助かるよ、君は勇者の中でも優秀になるなるはずだった。そんな君をこのままただ死なすのはおしい、……そこで提案だ――異世界に新しい肉体で転生しないか」
神の発言に対し俺は眼を細める。
「行くと思うか?自分を殺した者達と協力するために」
「君は世界を楽しみたいんだろ? なら行くさ。それに、僕がお願いするのは転生をしてくれと言うところまでだ。あとは君の自由さ」
「……わかった。転生するよ、詳しく頼む」
その通りだ。俺は自由にしていいと言われなくても受けただろう 。
世界を楽しむそれが俺の願いで、“彼女"の望みでもあるのだから。
「君が転生する世界、名をガイアは魔法やスキル、モンスターに人以外の種族もいる、所謂ファンタジーの世界さ。危険も多いがその分自由も多い。君にはこちらの世界こそふさわしいと思うよ」
「魔法やスキルは俺でも使えるのか?」
「もちろん!! じゃなきゃ行ってもすぐ死んじゃうしね。それに 、次元を越える時魂をその次元に適応させる為、器がでかくなり肉体が強化され魔力も高くなりやすくなり、固有スキルも発現しやすくなるんだよ!」
所謂チートというやつだろう。まさにファンタジーみたいだ。
「普通召喚時にそれが行われるんだけど、君は僕が直接やるんだから、確実に固有スキルが発現すると思うよ。ではその世界について軽く説明するよ」
神の説明によると魔族のトップの魔王が復活しそうになっているらしく、その討伐のために、勇者召喚が行われるらしい。
その世界は、人間の国、魔族の国、エルフやドワーフに海人など、他種族の国もあり、俺の転生先は人間の国の更に辺境の村の近くに送られるらしい。
そこの文明は地球よりも数百年は遅れているらしく、通貨は鉄屑、銅貨、銀貨、金貨がありそれぞれ、十円 、百円、千円、一万円となっており、その上に百万円の価値がある大金貨や数は少ないが、一千万の価値がある白金貨もあるらしい。
本当に軽くだが、まあ常識は自分で学んだ方が楽だし面白い。
「ところで何で俺を連れていきたいんだ?」
俺は神の世界を救えではなく転生だけを頼んだ事が疑問だった。
俺の疑問を受けた神はニタァと笑みを浮かべる。
その瞬間俺の体全体の肌が粟立つ。
「決まっているじゃないか先が見通せない、こんな楽しい事は無いだろう?」
その顔はどこまでも純粋で無邪気で一見悪魔の笑顔にすら見える 。
全てを見通せる神にとっては、いい娯楽なのだろう。
いいだろう。見たいのなら見ればいい、俺はただ世界を楽しむだけだ。
神が胸に触れる、その瞬間意識が遠のいていく、次に目覚める時には、違う世界にいるのだろう。
「いってらっしゃい、佐々木龍聖君どうか世界を楽しんでね」
その声を最後に俺は眠りについて――
龍聖が行ったあとの空間で神は一人たたずみ、先程龍聖の胸を触った手のひらを見つめて笑っている。
「ふふ、彼は本当に面白いまさか五つとは……それにしても何故彼は運命が視えないんだ?」
そのまま視線をどこか遠くにやり考えるが、
「まあ、いいか、そっちのが面白いしね。ふふっ、フハハハ――」
神は笑いながら薄れて消えていく。
白い空間には誰もおらず静寂だけがそこにはあった。
誤字脱字などがあったらどしどし感想ください。




