過去の一部と彼女の心
彼女は教室にたたずんでいた。
彼女はそこで何をするわけでもなく、ただただ、そこに立って教室から外を眺めていた。
「はあ~」
ものすごい勢いでため息が出てしまう。しかし、それを聞く人は誰一人としていなかった。それほどまでに時間が過ぎていて、外には沈みかけた太陽がうっすらとその姿を残しているだけだった。
「なんで、私ってこんなのなんだろう」
それは、ほかの誰でもない自分に対する疑問だった。
「私がもっと優しかったら、私がもっと素直だったら、私がもっとかわいかったら。」
彼は振り向いてくれたのではないか?
しかし、この言葉は自然と溢れてきた涙によって言えなかった。
大きな不安は涙となって世界にこぼれてしまった。
「でも、仕方ないよね。自分勝手に引っ越しして、久しぶりに会ったら、過去の話で結婚なんて、自分勝 手すぎるよね。わかってるよ。だけど!」
それは諦めきれないが故の、悲痛の叫びだった。
そしてそれは、過去の事件に責任を感じているからでもあった。
「だけど、わかってるけど!!」
一度こぼれてしまったら、もう抑えることはできない。
いつもは白い頬が、黄金色の瞳が、普段よりも紅く、何より悲しげに想いを伝えてくる。
社交性があり、誰からも好かれる彼女の心は、他の人には想像もつかないほどに、重圧に押し潰されていた。
「私が!子供なのに、まだ世の中の事なんて、何も分かってなかったのに、結婚なんて無責任に言い続けるから」
「純平くんは優しいから、私が本気だと思ったから。あんな事言い出したんだよね。私に勝たせるために。」
自転車にまたがり、公園を飛び出した少年はその事に気が付くはずもない。同じように、彼が公園に行き、そこから全力で迎えに来ている事を、彼女は知らない。
その光景はなんとも鮮やかに、そして、はっきりと過去の事件を思い出させてくれた。
「俺は、なんてことを!くそっ!!なんでお前は全て自分で解決しようとするんだよ!!」
自分の不甲斐なさに苛立ちながら、少しでも早く顔を見たいと思い、全力で自転車をこいでいる。
「お前は悪くなんてないのに、なんで自分の責任と思い込むんだよ。」
「・・・くん」
「ねぇ、・・・くん」
誰かの声が聞こえてくる。ずいぶんと、涙声となっているようだった。
安心させようと、声のする方に起き上がろうとした。しかし、それができない。
少ししてサイレンの音が聞こえてきた。どうやら救急車が来たようだ。
そこでやっと目が開いた。目を開けた事を後悔した。
紅に染まった空、泣きじゃくる幼なじみ、そして、全身紅く染まった自分の姿。
全身の血が引く様な感覚、体が動かない恐怖に襲われ、深い闇に引きずり込まれてしまった。
目を覚ますと、両親、祖父母、それに従兄弟がこちらを心配そうに見ていた。
母に強く抱きしめられた。
そこには、葵ちゃんの姿もあった。彼女は大粒の涙を流しながら抱きついていた。
しかし、気になることがある。なぜ、自分はここにいるのか、何があったのか、思い出せない。
一体何があったのかと聞いたら、あんたが公園で倒れたと聞かされた。
やっと、学校まで半分といった所まで来た。
「よく考えたらわかるじゃないか!公園で倒れたぐらいで、親族が勢揃いするわけないって!」
おじいちゃん、おばあちゃんは車で1時間程の場所に住んでいるが、従兄弟は車で片道だけで5時間も
かかる。
そこまで、重大なことになっていたのに、当時は気が付かなかった。
みなさんお元気ですか?まっさんです。
お盆休みも終わり夏休みも終わり、楽しかった休みもほとんど無い。
人生は過酷です。私も主人公になって補正かけて欲しい。
さてさて、内容ですが、今回は過去について一部語らせていただきました。詳しい内容は追々語ろうかと思います。
相変わらずお粗末な小説ですが、作者は頑張っているらしいので応援してください。ほんとに救われます。
ここまでお読みになっていただきありがとうございました。
タイトルとかけ離れてきて少しあせっています。