三人で
その日から、俺は生きる事にした。
生きる理由?
そんなの、約束したからに決まってる。紅葉と約束したから、一生懸命に生きて、幸せになるって約束したから。
俺の妄想だったのかもしれない。
普通に考えて、三途の川を渡りかけて紅葉に止められたなんて、誰も信じてくれないものだ。
でも、俺の中には根強く残った。
それに、言われるまで気が付かなかった。
俺を愛してくれる二人の存在に。
「お兄ちゃん生きてた....良かった....」
「純平くんまで死んだら許さないんだから....」
こんなにも自分を大切に思ってくれている2人が居たのに、死ぬなんて。
俺はこの2人と幸せになるから。
紅葉、俺が幸せになるところを見ててくれよ。
そして、絶対に迎えに来てくれよ。
「お兄ちゃん、何笑ってるの!?すっごく心配したんだよ!!」
「ごめん、でも幸せでさ」
「純平くん、大丈夫?ここ病院だから、色々な検査受けられるよ」
「まてまて、頭は大丈夫だから。心配する場所間違えてるよ」
たしかに、こんなやり取り出来るのも生きてるからだな。
「私、純平くんの事が好き。ずっと一緒に居たいの」
「私もお兄ちゃんの事が好き。結婚出来ないけど、それでもお兄ちゃんと一生一緒に居たいの」
とある日、2人には告白された。
俺の答えは、当然2人ともOKだ。
その事に2人に怒られると思ったが、2人とも普通に受け入れてくれた。
桃華いわく。
「お兄ちゃんなら、そう言うと思ってたよ」
だそうだ。
ある意味、理解のある妹で助かるのだが。
紅葉には怒られるかもな。
この女たらしとか言われそう。
「純平くん、3人ででーとしない?」
デートか、楽しそうだな。
「良いじゃん、3人でどこか出かけるか」
「じゃあ、さっそく桃華ちゃんと準備してくるね」
週末となり、特にやることもない日曜日。
せっかくの休みならと葵は3人でのデートを提案してきた。
2人が準備している間に、俺も準備しないとな。
寝巻きから着替えて、髪をセットして。
そうこうしている間に準備を終えた2人が来た。
「お兄ちゃん、どうかな?似合ってる?」
桃華はミニスカートで俺の前に来た。
「すっごく似合ってるよ。他の男に見せたくないぐらいに」
「良かった。この前、新しく買ったスカートなんだよ。私の事を見ていいのはお兄ちゃんだけなんだから」
やばい、萌える。妹で萌え。バンザイ!!
「純平くん、私のことも見てよ」
葵は、逆にロングスカートで大人っぽい色気があった。
「葵も似合ってるよ。可愛くて、それでも大人っぽい感じが最高だ」
「ふふ、ありがとう」
「純平くん、行こうか」
そう促され、3人で家を出る。
「休日ともなると、さすがに人が多いな」
近くのショッピングモールに来たが、日曜日で家族連れや、カップルが多くいた。
「はぐれないように、お兄ちゃんと手を繋いじゃお」
桃華は俺の手を握ってきた。
桃華の手は小さくて温かい。
「桃華の手って小さいんだな」
「そうかな?お兄ちゃんの手は、大きくて温かくて安心するよ 」
「桃華ちゃんばかりずるいよ。私は逆の手を貰っちゃうから」
葵は逆の手を繋いできた。
「葵の手も小さいな。でも、スベスベで気持ちいいな」
本当にずっと触っていたくなるほど、葵の手はスベスベだった。
こんなに幸せな日々が送れるなんて、贅沢だな。
「あっ、お兄ちゃんあそこに行ってみたい」
「了解。葵もいいかな?」
「もちろんだよ」
「けっこう使っちゃったね」
桃華は冬物の上着と、新しいスカートを。葵は、ズボンを買っていた。
「2人の服装を見るのが楽しみだよ」
試着している姿を見ていたが、普通に可愛かった。
「この服はお兄ちゃんに見せる専用だからね」
「勝負服だもんね桃華ちゃん」
勝負服か、いつ見せて貰えるかは分からないが、その時まで気長に待つとするか。
「葵さんどうします?夜ご飯外で食べて帰ります?」
「どうしようか、まだお金に余裕あるからそれでもいいよ。純平くんはどうしたい?」
「俺は2人と少しでも長く居たいかな」
「もう純平くんってば////じゃあ外で食べて帰ろうか」
俺たちは近くのファミレスに入った。
入るなり、男達に嫉妬の目を向けられたがそんなの気にしたら負けだ。
でも、美女2人と食事なんだから、嫉妬する人もいるわな。
「私は決めたよ」
「私も決まったから、後はお兄ちゃんだけだね」
「どうしようかな〜」
美味しそうなものが多くてなかなか決められない。
「じゃあ、こっちにするか」
期間限定のメニューと悩んだが、普通のメニューに書いていたものにした。
「ごゆっくりどうぞ」
店員さんが丁寧に運んで来てくれた。
「美味しそうだね〜、純平くんもそう思うでしょ? 」
「まったく、一口欲しいぐらいだよ」
すると、食べていた葵の手が止まった。
「仕方ないな〜、純平くんあ〜ん」
葵の使っていたフォークに刺されて、差し出されたハンバーグ。
周りからの目が殺意に変わる。
「ほら、純平くん、あ〜ん」
俺も男だ。行くしかない!!
パクッ!
うわ、これ凄く美味しいな。
「幸せそうな顔だね。純平くんのも一口欲しいな〜」
俺もフォークに刺して、食べていたサイコロステーキを差し出す。
「うぅ〜ん、美味しいね〜♡」
「2人ばっかりずるいよ〜」
桃華が涙目で訴えてくる。
「ほら、桃華もあ〜ん」
桃華は嬉しそうに、サイコロステーキに飛びついた。
「すっごく美味しいよ。特にお兄ちゃんのフォークが」
それ、食材関係ないじゃん。
ファミレス内での殺意の視線がやばかった。
皆様お待たせ致しました。まっさんです。
モブ俺の更新ですよ。
前回が憂鬱な感じだったので、今回は明るく行こうとしてます。
完全に空回りしてる気もしますが、のんびりとした週末の一コマでございます。
楽しんでいただけましたか?(楽しかったって言って)
そうですか。ありがとうございます。
それでは、今回の内容ですが、前回から生きることに決めた主人公。
そんな主人公にヒロイン2人からの告白!
ハーレムとまでは言えませんが、2人との親密な関係です。
少しネタバレしますと、この現世での日常パートは長くありません。
あくまでも、その後なのでやっぱりメインは...
ここからはこれからの更新をお楽しみにお待ち下さい。
モブ俺も、終了が近付いております。
主人公が完全にモブじゃ無くなってしまいましたが、個人的には満足しております。
皆様もお楽しみいただけてますか?
モブ俺にもう少しだけお付き合い下さい。
そして、モブ俺が終了後の新企画も考えてますので、こちらもお楽しみに。
それでは、今回もお楽しみください。