二人で
幸せって一体何だろう?
生きている事?普通の生活ができる事?
少なくとも、俺にとっての幸せは違った。
俺の幸せは、桃華と一緒に過ごせること。
彼女が居てくれればそれで良い。
兄妹で結婚出来ないことは知っている。
許されない恋だし、世間から批判される事も分かっている。
「それでも、俺は一緒に居たいんだよな」
俺はそう呟くと、一緒に寝ていた桃華を優しく抱きしめた。
彼女はすこし苦しそうにするが、幸せそうな笑顔を見せてくれた。
これは、そんな彼女と、その後の物語。
二人でテーマパークに行った後、二人の愛は更に強くなっていた。
「お兄ちゃん、大好きだよチュッ♡」
最近の二人は大胆になって、人の目や噂などを気にすることは無くなった。
今までは、周囲の価値観に合わせて遠慮していた桃華も、本当の気持ちに素直に従うようにした。
「俺も愛してるよ」
見ている側が満腹になってしまうほどの愛。
そんな二人の毎日はいつまで続く。
「ねえ、お兄ちゃん。幸せって案外近くに落ちているものなんだね」
桃華の言葉に、俺はとても納得した。
「幸せはいつも近くに落ちてて、だからこそ気が付かなくて、失ってから気が付いたりするからな」
もう戻って来ない幼少期。
そんな昔の事を思い出しながら頷いた。
「失ってから気が付くって、何だか悲しくない?」
「悲しいけど、それが人間なんじゃないかな?何が大切かだなんて、本人も分かっていないことが多いんだから」
「それもそうだね」
「俺は桃華を失う前に気が付けて、ラッキーとはちょっと違うかもしれないけど、最高に幸せだ」
「お兄ちゃん///」
失ってから気が付くのも悪くは無いが、せっかくなら失う前に気付いてあげないと。
死んでしまった人間に、お前は素晴らしいと言い続けても聞こえない。
でも、死んでいない人間にお前は素晴らしいと言ったら、聞こえるし、当然想いは伝わる。
俺はそれに気が付いた。
「お兄ちゃんは幸せ?」
そんな事言うまでもない。
俺は今...
それから数年後、俺は無事に就職できて家庭を持っている。
「今日も疲れたな。あの上司はいつも無理難題を押し付けてくるからな」
辛い仕事を終えての帰り道、今日の愚痴を言いながら家に帰る。
やっとの帰宅。
「おかえりなさい、あなた♡」
一緒に住んでいる嫁は、いつも俺を労ってくれる。
「ただいま、桃華♡」
数年前のあの日、俺は結婚しようと言った。
兄妹で結婚は出来ないが、それでも一緒に暮らすことはできる。
法律のおかげで苦労は多いが、それでも二人で幸せになりたいと思った。
「ご飯にする?お風呂にする?それとも...」
「全部欲しいけど、まずはご飯が欲しいかな」
「もう、あなたは欲張りなんだから」
そう言いながらも、桃華は嬉しそうだ。
食卓に並べられるご飯。
愛する人が家で待ってくれていて、食事が用意されている。
気付かない人が多いけど、これって贅沢な事なんだ。
だって、家に帰るのが楽しみになるじゃないか。
「はい、いっぱい食べてね」
俺の前にご飯がおかれる。とても美味しそうで、バランスも考えられている。
「それじゃあ、いただきます」
皆さんは今、幸せですか?
俺は今幸せですよ。
それは、辛い事が無いからじゃない。
仕事ではよく怒られるし、学生時代はどうしても仲良くできない人が居たし。
辛いから不幸って少し違う気がする。
辛い事があっても、毎日帰りを待ってくれている人がいる、毎日食事を作ってくれる人がいる、喧嘩できる友達がいる。
知らない間に贅沢をして、慣れて当然だと思ってしまっている。
それは、人間だから仕方がない。
もう一度聞こう。
皆さんは今、幸せですか?
皆様、お待たせ致しました。
遂に桃華ルート最終回です。
いや〜、長かった気がするけど意外と短くてびっくりです。
割と長く書いていた気がするのに、何でだろ?
さて、今回は最終回って事でけっこう詰め込んでしまった。
愛の形は人それぞれですね。
妹がお兄ちゃん大好きでも、お兄ちゃんが妹大好きでも良いじゃないか!
シスコンで何が悪い!(妹いません)
まあ、憧れですよね。
妹が居たらこんな感じになるのかな〜とか、完全なる妄想ですが。
でも、桃華ルートちゃんと終える事ができて安心。
そして、この後なのですが、モブ俺はもう少し続きます。
ラストにもう一人ヒロインが居るじゃないですか。
その人なしにこの物語は終われない。
勝手に思ってるだけですけどね。
それでは、ここで失礼させていただきます。
この回も楽しんでいただけましたか?
それでは、次回またお会いしましょう。




