日常
「恥ずかしいけど、お兄ちゃんなら良いよ///」
そう言って桃華は産まれたままの姿で、俺のベッドに寝転がる。
「本当に良いのか?」
兄妹での禁断の愛。
その事に最終確認をした。
「もちろん、良いよ///私の全てを奪って♡」
俺は桃華を抱いた。
ピピピピピピ!!
「うわっ!何だ?」
携帯のアラームが大音量で流れる。
「なんだ、夢か」
心臓に悪い夢だと思った。
原因はハッキリしている。葵に言われたキスの事だ。
「まったく、俺はどれだけ性欲が溜まってるんだよ」
自分が嫌になるような夢だった。
「いずれは、桃華とあんな関係になるのかな?」
俺だって子供じゃない、兄妹で結ばれる事は許されない。
それぐらい分かっているのだが、どうしても諦められないってか、諦めたくない。
どちらかと言えば、諦めたくないが強かった。
働かない頭を最大限働かせて、朝食を作りにキッチンに向かう。
「おはよーお兄ちゃん」
あれ?今日の担当は俺のはずなんだが?
既に朝食が用意され、桃華はコーヒーを飲んでいる。
「今日は俺が担当じゃなかった?」
「お兄ちゃんが担当だけど、なかなか起きてこないから」
そう言われて時計を見る。
いつもより時間が遅かった。
「やってしまった 」
遅刻しないように数回アラームを設定しているが、今日は最終のアラームで起きたようだ。
「私は今日は少し早めに学校に行くから、もう出るね。お兄ちゃんも遅刻しないように」
コーヒーを飲み終えた桃華が準備を終えて家を出ようとする。
「そうだ、忘れ物」
チュッ!
唇に柔らかい、湿った感触がした。
「それじゃあ、行ってきます」
顔を真っ赤にした桃華が家を出る。
「あぁ、気をつけてな」
何が起こったのか理解出来たのは、桃華が家を出てから数分後の事だった。
「純平くん今日は幸せそうだね」
学校で葵に言われた。
「えっ、そう見える?」
「見えるも何も、幸せオーラ全開だよ」
朝にあんな事があれば幸せにもなるよな。
「キスでもしたの?」
葵が耳元で囁いてきた。
ブフッ!!
「えっ!?ほんとにしたの?ねえ、どんな感触だった?教えてよ」
俺の反応からバレてしまった。
「どんなって、柔らかくていい匂いで...」
やばい、思い出すともう一度したくなってしまう。
「え〜、羨ましいな〜。私も桃華ちゃんとキスしたい」
そっちかよ!!
「純平くんが大人の階段登っちゃったか」
ちょっと、その言い方は誤解されるだろ。
「なんだなんだ?純平は大人の階段登ったのか?」
ほら、めんどくさいの(勇気)が寄ってきたじゃないか。
てかこいつ久しぶりの気がする。
「純平、今すっごく失礼なこと考えてただろ」
「なんで分かるんだよ、エスパー伊藤かよ!」
「伊藤じゃねーよ!スーツケースには入れねーよ!」
やっぱりこのやり取りは楽しいな。
「それで、登ったのかよ?」
上手いこと話を変えられたと思ったのに、無理だったか。
その後、事情聴取のように色々と聞かれる。
「くっそ〜、純平のくせに生意気だぞ」
とあるアニメのいじめっ子のようなリアクションだな。
それに、何もしてないって。
「言っておくが、何もしてないぞ?」
「教えておいてやるよ純平、リア充は嘘つきだ」
俺はリア充になるのかな?
実の妹だぞ?
「くっそー!覚えてろよー!」
と言って勇気は走り出す。
「あっ、扉にぶつかった」
「盛大にぶつかったね」
ぶつかってよろけながら、勇気が戻ってくる。
「戻ってきた」
「勇気くん戻ってきたね」
ヨロヨロと歩き戻ってくる。
「今日のところはこのぐらいにしておいてやる」
完全に負けた人間のセリフである。
「お、おう...」
騒がしいが、こんな友達たちと普通に過ごすのも嫌いじゃない。
口に出すのは恥ずかしいので、心の中で感謝しておく。
何でもない一日が今日も過ぎてゆく。
「お兄ちゃん何かいい事でもあったの?」
家に帰ると桃華が聞いてきた。
「何でだ?」
「今日のお兄ちゃんはいつもより楽しそうな顔してたから」
そんなに顔に出てたかな?
まあ、楽しかったのは事実だな。
いつもの友達と会話して、笑いあって、一緒に授業を受けて、特別な事なんてないのに楽しい。
人間、何でもない一日が楽しいんだ。
桃華とだってそうなんだ。
一緒に笑いあって、話をして、たまには喧嘩もして、そんな毎日が好きなんだな。
当たり前のことには気が付きにくいものである。
「桃華、好きだよ」
「えっ?いきなりどうしたの?」
「いや、何となく伝えたくなってさ」
「嬉しいけど、変なお兄ちゃん」
何でこんな当たり前の事を忘れていたんだろう。
俺は、一緒にいるだけで幸せだったんだ。
「これからもよろしくな」
「こちらこそ、ふつつか者ですがよろしくねお兄ちゃん♡」
お待たせ致しました。まっさんです。
やっとの更新です。
土日って何だかのんびりしちゃいますよね。
本当なら土曜日ぐらいには投稿できそうだったのに、結局今日までかかってしまいました。
今回の内容ですが、何気ない毎日って気が付きにくいですけど大切ですよね。
そんな毎日を大切にしたい純平のお話ですよ。
それでは、今回はこれぐらいにしておきますね。
そして、いつも読んで下さっている皆様、この回だけでも読んで下さった皆様ありがとうございます。
よろしければ、ご意見、ご感想、評価等もお願い致します。