変わるものと変わらないもの
激動の時代!と、言われてもおかしくないぐらいに俺の生活に異変が生じている。
その原因は、自称幼なじみの『八重桜』の影響であり、そのおかげで、俺のモブ生活が終わりを迎えつつあるのである。
壊れそうな理性でなんとか逃げ出した体育館、そしてそそくさと帰り支度をして帰ることにした。
帰り道の途中、少し頭を冷やそうと思い、いつもと違う道から帰っていた。
「あっ、この公園懐かしいな」
ふと、前を通りかかったのは、引っ越しをする前に住んでいた家の近くにある公園だった。
引っ越しをしたのはおよそ5年前。しかし、学校とかは転校しなくても良い、同じ校区内での引っ越しであった。
何かに引き寄せられるように俺は、公園に入って行った。
昔はここで、夕方まで遊んで親に呼ばれたっけな。
そこは、当時と何も変わらない。それなのに何か違和感がある。
「この公園、こんなに小さかったかな?」
その言葉で俺は気付く。変わったのは公園じゃない、俺の方なんだと。
「はぁ〜」
俺のため息を、この場所は優しく包むように風が通り抜けた。
公園には誰もいない、1人きりの夕暮れの公園。
その状況は俺を感傷に浸らせるには十分過ぎる状況だった。
「こんなにも、悲しいものなのか。」
俺は今まで、先ばかりを見ていた。しかし、こうやって振り返ってみると、失ったものが多すぎる。
「ごめん...八重桜...」
いつの間にかこぼれてしまった俺の気持ち。
一度あふれると、止めることは出来ない。
頬に湿った感覚があったが、それを抑え込んで。
「八重桜を迎えに行かないと...」
その言葉を胸に、俺は全力で自転車のペダルを漕ぎ始めた。
みなさん、夏でございます。
夏ばて真っ盛りのまっさんです。
今回は私の経験談からこの小説を書かせていただきました。
子どもの頃に遊んだおもちゃや、遊具が、危ないからと壊されてしまうのは悲しいですね。
これを読んでいただいて、その後、思い出の場所などに行ってみてはいかがでしょう?
今回も楽しんでください。