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お墓参り

 お墓参りに行くために、ある人物と待ち合わせをしていた。

 駅に着くとその人物は既に待ってくれていた。

「おはよう、純平くん」

 その人物とはもちろん葵の事だ。

「いきなりでごめんな」

 俺の謝罪に、葵は大丈夫だよと首を振ってくれた。

「でも、お兄ちゃん突然どうしたの?」

 桃華には一切の説明も無しに、いきなり墓参りに行くぞと言ってついてきてもらった。

「思い出したんだよ。ある程度の事を...」

 昨日、俺の過去にあった事を思い出してしまった。

 二人は俺のために、今まで過去の事について触れてこなかったんだと思った。

 三人仲良く駅の中に入っていく。

 お墓の場所までは、電車で三十分ぐらいの所にある。

 電車の中は夏休みもほぼ終わりで、最後の旅行に行こうとする人達でいっぱいだった。

 人の多い電車の中、人が多いためか様々な話が聞こえるのだが、俺達は口を開くこともなく無言である。

 三人の中に重い空気が流れる。その空気の中で葵が口を開いた。

「純平くんは思い出したんだよね?どうしてお墓参りに行こうと思ったの?」

 俯きながら質問してくる。

 何年間も思い出せず、いや、本能的に思い出すまいと自制していたのかもしれない。

 そんな人間がいきなりお墓参りなんて、おかしいとまでは言わないが、不思議に思われるのは仕方の無い事だと思う。

「少し思い出して、俺が生きられたのは皆のおかげなんだって気が付いたんだ...それなのに俺は...」

 今までそんな事も忘れて、のうのうと生きてきた。

 そんな自分が嫌だった。

「それなのに、俺はそんな事も忘れて生きていた。俺に全てを捧げてくれたのに、そんな事も忘れて今まで...」

 俺があの時、死ぬべきだったとも思える。

 自らの命を捧げてまで救ってくれた彼女、それを忘れて生きてきた俺、俺はそんな自分が嫌いだ。

 そんな俺の手を桃華がそっと握ってくれた。

 間接的に誰かを殺してしまったこの手を、他人を犠牲にしてしまったこの手を握ってくれた。

「お兄ちゃん、私はお兄ちゃんが生きていてくれて嬉しかったよ。葵さんには辛い思いをさせてしまってほんとにごめんなさい。だけど、あの時お兄ちゃんが生きていてくれて嬉しかったんだ」

 桃華が申し訳なさそうに、葵に向かって頭を下げる。

 本当ならば頭を下げるのは俺のはずだ。それなのに妹に頭を下げさせて...

 辛そうな顔の俺と、頭を下げる妹。

 葵はそんな二人をみて微笑んでくれた。

「桃華ちゃんが謝るような事じゃないよ。お姉ちゃんが純平くんを助けようとしたのはお姉ちゃんの意思で、私はお姉ちゃんの考えが正しかったと思ってるよ。だって純平くんはこんなにもかっこよくなってて、今でもお姉ちゃんの事を思い出して考えてくれてるんだから」

 葵は俺の事を買いかぶりすぎだと思う。

「でも、俺は今までそんな事も忘れてしまってて」

「今までなんて関係ないよ」

 関係ないはずがない、だって俺は姉を殺してしまったんだ。

「過去は変わらないよ」

 何があっても過去は変えられない。

「だから、過去はおいていくことにしたんだ」

「先を見て生きようと思うの。今までは変えられないけど、これからは変えることが出来るから」

「過去なんて時々振り返るだけで良いから」

 そう言って微笑んでくれた。

 この言葉を出すためにどれだけの苦労をしたのか、考えなくても分かるものだった。

「お姉ちゃんに言ったら、薄情だなんて怒られそうだけどね」

 薄情だなんて思われるわけがない。

 ほんとに薄情だったのは俺の方なんだから。


 数多くの墓石がある。おそらく数百ぐらいあるだろう。

 その中のたった一つ、たった一つが大きな意味を持つ。

 数百あろうとも、一つ一つに生き残ってしまった人の思いが詰まってる。

 数の多さでもお墓の大きさでもない、たとえアイスの棒に名前を書いただけであって、毎日掃除をして手を合わせて亡き人のために涙できるなら、それは立派なお墓だと思う。

 お墓は綺麗に掃除されており、花が添えられていた。

「純平くん、辛い事を思い出させてごめんね」

 俺以上に辛い思いをしてきたのに、葵は俺に謝ってくれる。

「葵の方が辛いはずなのに、それなのに俺は今まで ...」

「せっかく来てくれたんだし、笑顔でお姉ちゃんに会って欲しいかな」

 そうだな。と、無神経に言えるならどれだけ楽だっただろうか。

「私が来た時と変わってないですね。もしかして葵さんが毎日掃除に来てるのですか?」

「さすがに毎日は来れないかな。でも毎週必ず来てるよ」

 桃華はここに来たことがあるらしい。

 桃華いわく、俺が入院してる時に来たそうだ。

 そうとう前の事だが、覚えてるって事はよっぽど印象に残っていたらしい。

「二人ともありがとね。お姉ちゃんも喜んでるよ 」

 葵のその言葉に合わせたように、白い蝶がお墓の周りを楽しそうに飛び回っていた。

陽も短くなりつつある良き夏の終わりの...

ダメだ自分らしくない!

そんなわけで、皆様大変お待たせ致しました。

ほんとにいつもお待たせしてしまい申し訳ありません。

モブ俺の最新話の更新でございます。

前回から今回まで、過去の思い出からお墓参りになるのですが、時期が遅れている!

前回はちょうどお盆ぐらいで、今回が夏の終わりの投稿。

そりゃ遅れますよね、すいませんm(_ _)m

最近、朝晩が涼しくなってきて体調を崩されるかと思います。

そんな時は無理をせずに、しっかりと休んでくださいね。

休めない状態にある事もあると思います。

でも、体を壊してしまっては意味が無いので、絶対に無理だけはしないで下さい。


そして、皆様にお礼を。

小説の投稿にあたり、ご協力して下さっている友人の方々、私の小説をおすすめして下さる皆様、そして何より、時間が無い中この小説を読んで下さっている皆様、本当にありがとうございます。

私が今も書き続けられているのは皆様のおかげでございます。

投稿はゆっくりで、長くお待たせしてしまう事があるかと思います。

それでも、絶対に投稿は致しますので、これからもよろしくお願い致します。

それでは、今回はここらへんで失礼いたします。

本当に皆様お読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願い致します。



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