最高の日
「葵、俺と結婚してくれ」
俺は、もう葵なしで生きてはいけない。
この天使と共に人生を歩みたい。そう思った。
「えっ、私でいいの?」
嬉しさと戸惑いとで、頭の整理ができていないようだ。
「もちろん、葵じゃなきゃダメなんだ」
「でもでも、私だよ?純平くんを騙して嘘をついて、強引に自分のものにしようとしてた私なんだよ?」
騙していた。たしかに言い方を悪くすればそうなるのかもしれない。
でも、それってそんなに重要な事なのかな?
誰だって嘘をつくことはある。
大きいものから、ほんとに些細な事まで嘘をついたことが無いという人はいないだろう。
嘘は相手を傷つけたらダメだけど、葵は俺の事を思ってくれてたのだから、それを咎める必要はあるだろうか?
「葵は俺の事を騙していたって言うけど、それは騙して俺を利用しようとしてたのか?」
「そんなことないよ!純平くんやお姉ちゃんを利用しようと思った事なんて無いよ!」
「じゃあ、いいじゃん」
「えっ?」
葵はキョトンとした顔でこちらを見てきた。
「だって利用しよう思って無かったんだろ?俺の事を気遣ってくれてたんだろ。だから俺は葵が悪いとは思わないし、葵も胸を張ってお姉ちゃんに報告できるんじゃないか?」
「純平くん…」
頬に流れる涙に、やっと葵は呪縛から解き放たれた。
自分の姉に対する罪悪感の呪縛から。
こんな時、彼氏はどうしたらいいのか?
その答えは簡単であろう。
そっと葵を抱きしめ、葵は俺の胸の中でしばらくの間泣き続けていた。
葵が泣き止んでから、オレはまだ聞いていないことを聞きたいと思った。
「それでさ、まだプロポーズの答えを聞いていないから聞かせてもらいたいな」
「私も純平くんが大好き。これから一生よろしくお願いします」
そこには、やっと本物の葵の笑顔があった。
カラーン!カラーン!
「お兄ちゃん、おめでとう!」
桃華の祝福の言葉。
どこを見ても知った顔の人たちがいる。
学校を卒業してすぐに俺達は結婚した。
盛大な祝福に俺は少し恥ずかしくなる。
「まったく、お前らが結婚するとは思ってたけど、まさかこんなにも早いとか」
笑いながら勇気が言ってくる。
「純平くん」
周りが盛大に祝福してくれる中、俺に耳打ちをしてきた。
「今日は人生で最高の日だよ。」
だから、俺も耳打ちで返してやった。
「今日はじゃないよ、今日から最高の日が始まるんだ」
「そうだね」
これから、苦労や辛いことが多くあると思う。
それでも葵となら乗り越えられる。
だって二人での幸せな日々はこれから始まるのだから。
皆様お久しぶりです。
エンディングをどうしようか考えながら1月ほどたってしまい申し訳ありません。
葵ルート最終話、いかがでしたか?
これまでイチャイチャしてたのに、いきなり真面目なお話?みたいになったり、読者様を困らせる物語ですいませんでした。
それでも私なりに楽しく書いたり、伝えたい事を込めたりで楽しくかけました。
次回からは、お待たせしました。なんと桃華のルート行きます。
桃華ルート以外に行くところないだろってのは言ってはいけませんよ。
それでは、葵ルート最終話お楽しみください。